膝の痛みの代表格『変形性膝関節症』は保存療法が重要。リハビリ治療について誰でも分かるように解説します。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 

前回、「変形性膝関節症(膝OA)」(以下よりOAと略します。)の原因・症状・治療方法の基礎知識について解説しました。

 
前回の記事に「保存療法」が最初に基本的には選択されること、つまり「リハビリテーション」が非常に重要ですよと書きました。
 
今回はリハビリ教育で学ばれる基本中の基本から、私がこれまで経験してきて臨床上効果を感じているものについてご説明していきます。
 
これですべて網羅できるものではありませんし、人によって全然症状や効果も違います。

ですが、少しでもみなさんの生活や療法士の方であれば臨床で活かせるものをご紹介できればと思います。
 
 
【Keyword】変形性膝関節症・リハビリ・予防
【対象者】一般の方・療法士・リハビリ学生
 


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変形性膝関節症(膝OA)に対するリハビリの考え方

 
OAの症状としては、基本的に「痛み」「関節の動きの制限」「内反変形」と前回ご説明しました。

リハビリで「変形」を治すことは困難です。

基本的には痛みや関節の動き、筋力などへ対応し、立つ・歩くといった日常生活への負担軽減を目的にしています。

 
 

まずどうのように膝の痛みを考えるかが重要

 
つまり評価が大事なんですね。

本当にこのOAによって痛みがある方というのは、いつも同じ部位に痛みを訴えます。

前回の記事も見比べていただけるといいのですが、膝のOAの場合、クッションである軟骨が摩耗し機械的なストレスを「膝の内側」に起こすことで変形を起こし、痛みを生じます。

つまり「問診」が重要です。

 
療法士
膝のどこが痛みますか?
Aさん
このあたりです。
Aさん
このあたり全体です。
 
こういう曖昧な答えはOAによる「構造的な異常」による痛みでないケースが経験上多いです。

こういう場合を「機能的な異常」といいます。

 
いつもここが痛いと同じところを訴えるクライアントさんは、やはり構造的な異常で痛い場合が多く、痛みを取りきれない・変わらないという方々がいるのも事実です。

この場合には膝を保護するためにサポーターを導入したり、筋力を鍛えるということが中心になっていきます。

その後痛みが酷くどうにもならない場合に手術という選択になることもあります。

 

どこが痛いかはっきりしない場合はリハビリで改善するケースも多い

痛みの場所がはっきりしない場合はリハビリで改善することも多いのです。

では痛みがはっきりしないというのはどういうことなのか。
 
これは私自身の経験に基づく評価になりますが、膝OAの場合膝の内側が痛くなってきます。

そうすると内側に体重を乗せるのを体は無意識に嫌がります。

つまり外側に体重をかけるようになります。するとどうなるか。

 
膝の外側だけでなく、足全体外側に体重がかかっていくことになります。
足の外側の筋肉の負担が増え、硬くなっていきます。それと同時に内側の筋肉は使われることが少なくなり、筋力が落ちていきます。
 
 

ポイントになる筋肉

 
私の臨床経験上の話になりますが、外側の筋肉の負担が増えていくと「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」・「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」・「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」にトラブルを起こしやすくなります。

あとは「大腿直筋(だいたいちょっきん)」

左から前脛骨筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋
※引用画像:筋肉ガイド

TA   大腿直筋   TFL
そして足だけでなくお尻の筋肉にも負担がかかります。

ポイントになってくるお尻の筋肉は「中殿筋(ちゅうでんきん)」・「小殿筋(しょうでんきん)」です。

そして、この筋肉は歩くときに支えになる重要な筋肉なのですが、外だけに体重を逃がしていくと当然体が外側に倒れてしまいます。

ですので、内側の筋肉でもバランスを保とうとします。ここで重要になる筋肉は「縫工筋(ほうこうきん)」です。

左から小殿筋・中殿筋・縫工筋
※引用画像:筋肉ガイド
小殿筋   中殿筋   縫工筋

まだ重要になる筋肉はありますが、多くはこれらの筋肉にトラブルをかかえやすい印象をもっています。

今例に挙げた筋肉は筋膜のつながりで膝との関連性が強い筋肉ともいえます。

これらの筋肉に対して様々なアプローチをしていくということになります。

 

物理療法

 
物理療法はたくさんあるのですが、OAに対して基本的に行われる方法をご紹介します。
  • 低周波療法
  • マイクロウェーブ
  • ホットパック

 

低周波療法

膝の痛い方で病院に行ったことのある人は経験あるかもしれません。

低周波は人によっては「効果がない」と言われる方も多いのですが、これはどの位置に低周波を設定するかで効果が変わります。

ただ膝が痛いからといって膝に当てても効果はありません。

上に挙げた筋肉でいうと、前脛骨筋・腸脛靭帯・縫工筋あたりに行うと効果があります。

また、筋肉に電気刺激を与えることによって筋肉の収縮を促すことができます。

これは筋肉の萎縮予防にもなります。

低周波は家庭用低周波も今は多く出ていますので、周波数は弱いので医療機器よりは劣りますがリラクゼーション効果としてはいいと思います。

リラクゼーションは脳で感じますが、痛みは脳との関連性も強いです。

そういう意味で考えても効果が全くないとはいえないと思います。

安いですし、自宅で試す価値はあると思いますよ。

 

マイクロウェーブ

マイクロも病院でやったことのある人は多いかもしれません。

これは病院でしか行えません。

それぐらい電磁波の強いものになります。

深部の筋肉まで熱が加わりますがリスクもあります。

※引用画像:ミナト医科学

マイクロ

禁忌事項

  • 急性炎症部位
  • 金属性物質が体内に埋め込まれている場合
  • 心臓ペースメーカー装着している方
  • 循環障害
  • 知覚障害がある場合の知覚感覚障害部位
  • 悪性腫瘍
  • 眼球・睾丸・妊婦のお腹
  • 子供の骨端線
このようにリスクも高いため、使用する病院も減ってきましたね。
 

ホットパック

このホットパック、おそらくどの病院もあると思います。

それぐらいメジャーなものですね。
マイクロウェーブと同じで温めるものになるのですが、これはマイクロほど深部には届きません。

あくまでも「皮膚」までといわれています。

そのため効果なしといわれることも多いのですが、これも決してそうではないと私は思っています。

まず皮膚には効果があるのです。

最近は「皮膚運動学」というのがとても有名になってきています。

これを考案した福井先生も理学療法士業界では超有名人ですね。

皮膚も可動域に影響してきます。

皮膚が緩むと可動性は改善しますし、筋運動、姿勢の改善と効果は明確になってきました。

 
 
そして低周波と同様にリラクゼーション効果があります。

「リラクゼーションは医療ではない」なんていう方がいますが、リラクゼーションと脳の関係性を考えれば効果はあると思います。

ただし、どこの部位にやるかが重要です。

ホットパックも家庭用が多く出ていますね。
 
 

筋力トレーニング

膝のOAの情報をネット上などで見ていると、リハビリはほとんどが筋力トレーニングとなっています。

それぐらい膝OA=筋トレみたいな認識になっているんですね。

膝OAにおける筋トレの意義としては、膝周りの筋力をつけて「関節の保護をする」という意味合いが強いと理解してください。

これは一時的なものではなくて「予防」として継続していくことが望ましいです。

ではご紹介します。
 
 

腸腰筋

腸腰筋トレーニング
【方法】椅子に腰かけて太ももを持ち上げる。手で床に対して抵抗を加える。
【注意点】身体が後ろに倒れないようにする。
【頻度】1回10秒×3セット、1日に2回程度から始めてください。

腸腰筋トレーニング
【方法】仰向けになり、足を持ち上げてその位置でキープする。
【注意点】膝が伸びたり、股関節を曲げすぎないように注意する。
【頻度】1回10秒×3セット、1日に2回程度から始めてください。
 

大腿四頭筋訓練

大腿四頭筋訓練
【方法】膝をしっかり伸ばして、足首も上にあげる。そのままキープ。
【注意点】足を伸ばす際に体が後ろに倒れないようにする
【頻度】1回10秒×3セット、1日に2回程度から始めてください。
 

中殿筋/小殿筋

中殿筋
【方法】 横になって上の足を伸ばしたまま上に持ち上げる。
【注意点】 持ち上げた足は自分の体より前に出ないようにする
【頻度】10回×1セット、1日に2回程度から始めてください。
 

内転筋群

IMG_1774
【方法】 バスタオルや伸縮性のあるボールを使って、足を閉じる。そのままキープ。
【注意点】 腰を丸めたり反ったりしないようにする。
【頻度】1回10秒×3セット、1日に2回程度から始めてください。
 
 

臨床経験で効果を感じているもの

私が普段臨床で効果を感じているのは「筋膜調整」です。

私は「ロルフィング」「トリガーポイント療法」を中心に行っています。

ロルフィングは評価としても使いますが、大きくは「全身調整」という理解でいいです。

このロルフィング技術を用いて行っていると、ある部分に硬いしこりの部分が見つかります。

そこの多くは圧迫を加えると強い痛みや関連部位に痛みを起こします。

ここを「トリガーポイント」といいます。

トリガーポイントについては過去の記事痛みの原因はこれかもしれない。「トリガーポイント」についてやさしく解説します。に詳しく説明しています。

ロルフィングを行いながら、トリガーポイントをみつけたらそこを徹底的にリリースしていきます。

私は肘や親指、指の関節を使ってそのトリガーポイントを緩めていきます。

これが実に痛いのですが、効果が高いです。

膝のOAの場合、トリガーポイントが原因ということが経験上多いです。

以下の関連記事でまとめていますので、参考にしていただけたら幸いです。

【関連記事】
『膝の痛み』を引き起こす代表的な6つの筋肉とトリガーポイント

 
    
もちろん、これ以外にも原因がある場合も多いです。

そして、痛みがとれても再発したらあまり意味がないですね。

再発させないためには、姿勢や普段の動きのパターンを聞き出してそこに問題がないかどうか修正してもらうことも時には必要になってきます。

この辺りは文字で説明していくのはかなり困難ですが、「歩く」ということに特化して考えればやはり「インソール」は必要です。

どんなことも土台が大事。人間の身体は足元から。『靴とインソール』についてお話しします。

2016.04.04
動きに特化したインソールでいえば有名どころの「入谷式足底挿板」「DYMOCOインソール」「FOIインソール」ですね。

ちなみに私はDYMOCOインソールを普段作ります。

インソールは膝の痛みに限らず、腰痛や肩こりにも効果的ですのでおすすめですよ。

ちなみに前にもご紹介しましたが、作らずに既製品を買うならこちらが↓おすすめです。
 
 
【インソール関連記事】
理学療法士が教える 正しい足アーチのつくり方~サポーター・テーピング・インソール編~
どんなことも土台が大事。人間の身体は足元から。『靴とインソール』についてお話しします。
● 【増加中!?】あなたも足のトラブル予備軍かもしれませんよ。自分の足を知ることが健康維持の基本です。

【インソール作製症例集】
【インソール作製】ふくらはぎの疲労と軽度の腰痛に対するインソール作製
【インソール作製】パーキンソン病・腰痛に対するインソール症例
【東京開催・モニター報告】王子『整体サロン てぃ~だ』さんをお借りして、足の計測・施術・インソール作製

 

まとめ

変形性膝関節症の一般的なリハビリについて解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。

膝OAに対するリハビリの基礎と私が普段行っていることをご紹介しました。

筋トレは大事ですが、筋トレしたからといって痛みがとれるわけではありません。

ですが、筋トレをしないと関節に負担がかかるのもまた事実なのです。

この筋トレは自分でできるものばかりです。自分で予防をして、体のメンテナンスをしてあげてください。

筋膜治療も色々ありますし、一概に何がいいのかも私は分かりません。

ただ私は自分で試して効果のあったものしか信じられない性格ですので、そう感じるものをご紹介しました。

では、もっといい方法があったら逆に教えていただけると嬉しいです。

少しでも参考になれば幸いです。

 
 
 
 
 

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ABOUTこの記事をかいた人

井上 直樹

リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。