「脊椎圧迫骨折」に対するリハビリの超絶基礎知識。誰でも分かるように解説してますよ!


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<2017年6月5日追記>

理学療法士の井上(@Rehacon)です。

さて、今日は高齢者に多い骨折の1つである「脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)」について誰でも分かるように解説していきます。

脊椎という言葉を使うと難しく感じるかもしれませんが、要は背骨が潰れちゃう骨折のことです。

めちゃくちゃ多い骨折です。本当に。

臨床でもよく担当する機会が多い骨折です。

転移性圧迫骨折などもあるのですが、ここでは「骨粗しょう症を原因とした圧迫骨折」の説明をしていきます。

では、だいぶ長文になりますが少しは役にたつと自負しておりますので、最後まで読んでくださいね。

【骨折の部位別記事はこちら】
大腿骨頚部骨折(人工骨頭置換術)のリハビリテーション
肋骨骨折のリハビリテーション
橈骨遠位端骨折(手首の骨折)のリハビリテーション
上腕骨近位端骨折のリハビリテーション

【対象者】一般の方・新人療法士
【Keyword】脊椎圧迫骨折・痛み・リハビリ・予防


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そもそも脊椎って何?

脊椎というのは、いわゆる「背骨」のことをいいます。

  • 首の骨(頸椎:けいつい):7個
  • 胸の骨(胸椎:きょうつい):12個
  • 腰の骨(腰椎:ようつい):5個
  • 仙骨(せんこつ)
  • 尾骨(びこつ)

これらの骨達の総称を脊椎といいます。世の中ではよく背骨といいますよね。

背骨は首の骨が7個、胸の骨が12個、腰の骨が5個あります。

背骨は首の骨が7個、胸の骨が12個、腰の骨が5個あります。


 

では本題の圧迫骨折の概要です

転倒して尻もちをついたりして骨が潰れてしまいます。

転倒して尻もちをついたりすると骨が潰れてしまいます。

IMG_2240

脊椎の圧迫骨折では、主に「骨粗しょう症」が原因で、そして尻もちをつくことにより発症しやすい骨折です。

時には自然に骨折している場合もありますし、お辞儀や勢いをつけて立ち上がるなどの日常生活での単純な動きでも骨折することがあります。

特に胸椎と腰椎の移行部、つまり先ほど説明した胸の骨の12番目から腰の骨の1番目辺りで骨折しやすいと言われています。

ただし、胸の骨や腰の骨ならどこでも起きます。

ですから、腰の骨で圧迫骨折を起こした場合は「腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)」、胸の骨で圧迫骨折を起こした場合を「胸椎圧迫骨折(きょうついあっぱくこっせつ)」と呼びます。

 

主な症状

これはもうなんといっても「痛み」につきます。

私は骨折したことないですが、見ているととても痛そうです…

骨折具合とか痛みの程度は人によって違いはありますが、とにかく痛みが主症状です。

あとは骨折してしばらくしてから出てくる「遅発性(ちはつせい)麻痺」というものもあります。

 

遅発性麻痺とは

骨のつきが悪かったり、さらに骨が押しつぶされたりすると「神経症状」が出てくる可能性があります。

骨折してしばらくしてから症状が出てくることから遅発性と呼ばれています。

骨折の治癒過程(治るまでの過程)は以下の記事でまとめていますので、合わせてお読みください。

そもそも「骨折」ってどういうこと?「骨折」のメカニズムをやさしく解説します。

2015.11.23

 

診断はどのようにされるのか

これは、「レントゲン」ではっきりと分かります。

ただし、骨のつぶれがひどかったり、神経症状がある場合はCTやMRIの検査も必要になります。

圧迫骨折 MRI

 

治療方法

まず整形外科で処方されるのは「鎮痛薬」です。

鎮痛薬とは痛み止めのことです。

ロキソニンセレコックスなど痛み止めといっても沢山種類があります。

そして単純な骨折では、「コルセット」がまず処方されます。

コルセットにも硬い、柔らかいとあり、それぞれ硬いコルセットを「硬性コルセット」、柔らかいコルセットを「軟性コルセット」と呼びます。

どちらが選択されるかは主治医の先生がレントゲンや痛みの具合によって決めることが多いですが、明らかに骨折具合が悪ければ最初は硬性コルセットが処方されます。

コルセットが処方されるということは、基本的にお辞儀を深くしたり、体を捻る動作に制限がかかります。

ということは、当然お辞儀をする・体を捻るというのはダメですよ!ってことになります。
 

注意!
コルセットをすることで動きに制限がかかり、それが嫌で外してしまう方もいらっしゃいます。
当然痛いですし、骨のつきが悪くなったりつぶれがひどくなれば痺れなどの神経症状が出てくることもありますので、基本的にコルセットはしましょう!

 
コルセットは骨がしっかり安定すれば外す許可が出ますので、それまでの我慢ですよ。

あとは基本的に安静は必要です。

3~4週でだいぶ改善するとされています。骨がついたかどうかはレントゲンを再度撮らないと分かりません。
 

注意!
骨折具合、糖尿病などの内科疾患がある、服薬状況、年齢などで骨のつく期間に遅れが生じることもよくあります。
一般的には3~4週といわれていますが、ご参考程度にしておいてください。
 
安静といってもずっと寝ているわけではなく、患部の安静であってそれ以外のところは「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」が起こらないようにしないといけません。

「廃用症候群」撲滅!たった5分でリハビリと予防について理解できます。

2015.11.12

骨折がひどい場合、骨のつきが悪い場合、神経症状がある場合については手術になることもあります。

骨

骨にセメントを注入する手術


 

上の画像のようにセメントを埋め込む手術があります。

要は、セメントを入れることで骨の強度を高める手術になります。

では、廃用症候群を予防していくには…?

リハビリが必要になってきます。ここでやっとリハビリの出番です。

 

廃用症候群

過度な安静によって筋力が落ちたり、関節が硬くなったり、筋肉の短縮(短くなる)が起きたり、呼吸循環器系も弱くなったりします(呼吸機能低下、心機能低下など)。

はっきりいっていいことがありません。

このように廃用症候群が起きないためにリハビリが重要になってきます。

「廃用症候群」撲滅!たった5分でリハビリと予防について理解できます。

2015.11.12
 

リハビリの基本中の基本、ポイントは5つ!

  1. 過度な安静をしないこと
  2. 廃用症候群の予防が重要
  3. 痛みが強いうち、骨がつかないうちは体の動かし方・使い方が重要
  4. 痛みの軽減を図ること
  5. 痛みの範囲内で動くことは重要


こんなところがポイントとなります。

では、以下に1つずつ説明していきます。

 

過度な安静をしないこと

これは上述した通りなんですが、過度な安静により廃用症候群が起きるからです。

 

廃用症候群の予防が重要

まずは体を起こすことが大切です。医療現場では「離床(りしょう)」と言います。

体を起こすことで呼吸循環器系がうまくサイクルしてきます。これを「ワッサーマンの歯車」と言います。
 

「早期離床」と「ワッサーマンの歯車」。まさかこれを知らない療法士はいませんよね?すぐに理解できます。

2015.10.26
 
体を起こすって言ったって、痛いじゃん!そう思われた方もいると思います。

そうなんです。痛いんですよね。ですから、体の動かし方・使い方が重要になるんです。
 
注意!
体を起こすことはめちゃくちゃ重要です。

ただし、医療現場では「安静度」という言葉がありまして、お体の状態によってまだベッド上生活、ベッド60°までなら上げてOK、車椅子までならOK、歩いてOKなど主治医から指示があります。

これは主治医の指示に従ってください。

在宅生活している方であれば入院する程度ではないので、当然体を起こすことは問題ありません。

 
そして筋力トレーニングも重要です。

安静度がベッド上だとしても骨折部に負担のかからない運動はできますし、座ってでもできます。

さらに、姿勢を保持するための筋力を鍛えることも重要です。

高齢者では姿勢が崩れていき、その崩れた姿勢が日常的になると骨の圧迫などが強くなっていきます。

知らぬうちに圧迫骨折が起きていたり、そのことで「円背姿勢(腰が曲がった姿勢)」なども作られていきます。

予防的に姿勢を保持する筋肉を鍛えていくことも重要です。

僧帽筋中部・下部線維

姿勢保持筋(僧帽筋中部・下部)のトレーニング

「姿勢」と「腰痛」には密接な関係性があります。腰痛の治療・ストレッチ・体操など予防方法について解説します。

2016.02.05

「spoband(スポバンド)」これめっちゃヤバい!もう「セラバンド」は時代遅れかもしれないですよ。

2016.01.31

筋力トレーニングと聞くとすごく大変なイメージを持たれるかもしれませんが、「筋肉を使ってあげる」というイメージをもってもらうといいと思います。

筋肉はつけるのは大変ですが、落ちるのはあっという間に落ちてしまいます。

簡単にできる筋肉を使う運動を一部ご紹介します。

下半身のトレーニング(一部)

下半身のトレーニング(一部)

 

痛みが強いうち、骨がつかないうちは体の動かし方・使い方が重要

これまで上述してきた通り、圧迫骨折は体の前屈・回旋(お辞儀する・捻る)の動作はよくありませんし、この動きをするとめちゃくちゃ痛いです。

つまり、まずこの動作は避けることです。

お辞儀に関しては、低い位置からの立ち上がりだとお辞儀を深くしないと立つのが大変です。

「椅子は高めにすること」、低ければクッションなどをいれて高さを調整することが大事です。

在宅の方では、電動ベッドを使用している方も多くいらっしゃると思いますが、電動で高さを調整してください。

ケアマネさんや介護現場で働く方は利用者さんにアドバイスしてくださいね。

捻る動作は、寝てて寝返りを打つときや起き上がるときに起こる動きです。

ポイントは「上半身と下半身を一緒に回すこと」です。

丸太のように回るといったイメージです。

上半身と下半身を別に動かすと捻る動きが入りますから痛いです。

無題

寝返り
 

痛みの軽減を図ること

リハビリでできる痛みの基本的な軽減方法は、低周波療法・温熱療法・マッサージなどです。

話を戻しますが、筋肉というのは使わないでいると、どんどん弱くなったり筋肉が短縮してきます。

要は短くなってくるということです。

コルセットをしているとその周囲の筋肉はあまり使われません。

すると短くなってきたり、硬くなってきたりします。

さらに「防御性収縮(ぼうぎょせいしゅうしゅく)」と言って、痛みを回避するために力みが入ります。

例に挙げると、歯医者さんで歯を削られるときに痛いのを予想して、まだ痛くもないのについ口元に力が入ったりしませんか?

そんなイメージです。それが「防御性収縮」です。

この防御性収縮が繰り返されると筋肉はどんどん硬くなっていきます。

そして「トリガーポイント」が形成されます。

痛みの原因はこれかもしれない。「トリガーポイント」についてやさしく解説します。

2015.11.22

それを予防するために基本的なリハビリとして、「低周波療法」や「温熱療法」「マッサージ」などが行われます。
 
低周波療法については、家電屋さんで家庭用低周波機器も売っていますのでそれもいいかもしれません。

私は訪問リハビリで普段勤務していますが、時々使用することがあります。

ではマッサージについてですが、これはやり方には注意が必要です。

注意
いわゆる「指圧」はよくありません。指圧というのは言葉の通り、指で圧力をかけます。押しますね。
圧迫骨折の方に対して、垂直に押すと再骨折というのが考えられます。圧力をかけて押すことはだめです。

ではどんなマッサージがいいのか。

これは筋線維に対してゆっくりと滑らせるように行います。

よく業界では「リリース」という言葉を使います。

こういうマッサージでしたら体への負担もないですし、リラクゼーションにもなります。

リラクゼーションは痛みを軽減するのにも有効だと思いますよ。というか私の臨床経験で効果は感じています。

 

痛みの範囲内で動くことは重要

安静という言葉を聞くと、全く動かないというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、そうではなくて痛みに応じて動くことは重要ということです。

歩く許可が出ている人は痛みの範囲内で歩く、痛みの出ない・患部に負担のかからない運動を理学療法士に教えてもらって時間のある時は自主トレを行うことが重要です。

 

まとめ

かなりかみ砕いて、要約して説明したつもりですが、お分かりいただけたでしょうか?

大きなポイントとしては、

  • 脊椎というのはいわゆる背骨のこと
  • 脊椎は首・胸・腰・仙骨・尾骨で構成されている
  • 診断は基本的にレントゲンでわかる
  • 状態がひどいときはCTやMRIの精査も必要
  • 治療は基本薬とコルセット、患部の安静が必要
  • 過度な安静はだめで各リハビリテーションが重要であること
  • 予防的なリハビリも重要であること


こんなところがポイントになります。

だいぶ長くなってしまいましたが、基本的なものはある程度網羅できていると思います。

必要情報は気付き次第随時更新していきますので、時々チェックしてみてくださいね。

それでは、参考になれば幸いです。


>>次のページは
高齢者に多い骨折!「大腿骨頚部骨折」に対するリハビリの基礎知識。「人工骨頭置換術」を中心にやさしく解説しますよ。

 

おすすめ書籍

 

参考資料/引用画像

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2 件のコメント

  • はじめまして。同じくPTのKと申します。臨床経験は5年ですが、初めての就職が老健(維持期)だったこともあり、発症からの様子や治療の流れ、必要な装具や動作指導などに触れる機会が実習でしかなかったこともあり、情けないことですが今でもわからないことがいっぱいです。思考過程がとてもわかりやすく救われた気持ちです・・。勉強しなおそうと思います。これからも参考にさせて下さい。ありがとうございました・・。

    • コメントありがとうございます。
      そう言っていただけると私もとても嬉しいです。

      私自身もまだまだ分からないことだらけです。
      もっと分かりやすく良質な情報を提供できるように頑張ります。

      内容などでおかしな表現やご指摘等ありましたら、遠慮なく教えてください。

      今後ともよろしくお願い致します。

      井上

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    ABOUTこの記事をかいた人

    井上 直樹

    リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。