膝の骨折『脛骨高原骨折(脛骨近位端骨折)』の概要とリハビリ治療について解説します。

脛骨高原骨折の概要とリハビリテーション

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<2017年9月17日修正・追記>

理学療法士の井上(@Rehacon)です。

 
 
すねの骨を骨折することを、
 
  • 脛骨高原骨折(けいこつこうげんこっせつ)
  • 脛骨近位端骨折(けいこつきんいたんこっせつ)
  • 脛骨プラトー骨折
 
このように表現されることが多いのですが、どれも同じ骨折になります。
 
この記事では脛骨高原骨折として表現します。
位置的には膝のすぐ下になるため、膝の骨折として扱われます。
 
比較的頻度の高い骨折の1つになります。
 
今回は、膝の骨折「脛骨高原骨折」についての概要とリハビリテーションを中心にした治療方法について解説をしていきます。
 

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膝関節の構造と脛骨高原骨折

 
膝関節
 
膝関節の構造は、大腿骨と脛骨からなる大腿脛骨関節という関節になります。
 
脛骨高原骨折とは、脛骨の関節面に骨折が起きたことを言います。
 
高原骨折という由来は、骨折面が高地に広がる平面に似た骨折ということからきています。
 
脛骨プラトー骨折とも言いますが、プラトーは英語で高原を意味します。
 
 

脛骨高原骨折の原因と症状

 
原因の多くは、高齢者であれば転倒によるもので、若い方では交通事故や高いところからの転落で起こります。
 
骨折した部分は陥没することもあり、熱感・発赤・腫脹などの炎症所見が認められます。
 
痛みや腫れによって膝の曲げ伸ばしが困難になり、歩行障害が起こります。
 
 

脛骨高原骨折の診断

 
骨折ですので、その多くはレントゲン撮影にて確認できますが、より詳細に確認するために、CT撮影やMRI撮影が行われることもあります。
 
脛骨高原骨折
引用画像:一般社団法人 骨折治療学会
脛骨高原骨折
引用画像;一般社団法人 骨折治療学会
 

脛骨高原骨折の分類

 
脛骨高原骨折では、
 
  • Hohl分類
  • AO/OTA分類
 
この2つを指標として分類され、どのように骨折したかによって治療方針が決定されます。
 
Hohl分類
引用:関節外科 Vol.32 10月増刊号 2013
AO/OTA分類
引用:関節外科 Vol.32 10月増刊号 2013
 
 

脛骨高原骨折の手術療法

 
手術が適応されるかどうかは、骨折部分の状態によって判断されます。
 
折れている部分がズレていたり、陥没してしまっている場合は手術が適応されます。
 
手術の方法としては、プレートやスクリューで固定する方法や関節鏡による手術が適応されます。
 
脛骨高原骨折
引用画像:一般社団法人 骨折治療学会
 
 

脛骨高原骨折術後のリハビリテーション

 
足に体重をかけていくのは術後4週以降となります。
 
骨折具合や術後の経過によっていつから開始していくのかは変わってきますので、主治医の指示に従ってすすめていくことが大切です。
 
術後のリハビリの目的としては以下のようになります。
 
  • 膝関節の動きを獲得する
  • 膝周りの筋力を取り戻す
  • 骨折前の歩行レベルの獲得する
  • 骨折前の日常生活を獲得する
 
そのために、関節可動域訓練や筋力強化トレーニング、荷重訓練、歩行訓練などが行われます。
 
以下に、リハビリの内容を一部ご紹介していきます。
 
 

関節可動域訓練

脛骨高原骨折は関節部分の骨折で、膝関節の拘縮など制限が起きやすい部分でもあります。
 
膝の動きをしっかり獲得することは極めて重要で、医療機関によってはCPMという機器を使用することがあります。
 
引用画像:ガテリウス・メディカル株式会社
 
CPMがない医療機関も多いため、その際は徒手で理学療法士による治療が行われます。
 
関節を動かすだけでなく、その周囲の皮膚や筋膜、筋肉などの軟部組織を緩めながら関節の動きを獲得していきます。
 
 

筋力強化トレーニング

術後は筋肉の萎縮や筋力低下が起きやすくなるため、術後の経過をみながら、どんな筋力強化を行うのか理学療法士が評価をしながら決定していきます。
 
患部を積極的に動かせない場合も、患部以外は積極的に強化していきます。
 
タオルギャザーなどはよくリハビリでは行われる方法となります。
 
タオルギャザーは筋力強化目的だけではなく、足をつけない期間が長くなるため、感覚を入れる目的や神経筋を促進させる目的で行われます。
 
タオルギャザー
 
 

協調性訓練

術後の経過に応じて、膝の曲げ伸ばしをリズミカルに行うために協調性訓練が行われます。
 
方法としては、自転車エルゴメーターやボールなどを使用して膝の曲げ伸ばしを自然に行えるようになることを目的として行われます。
 
 
 
 

荷重訓練

荷重訓練は長期に渡り行うことになります。
 
上記にも説明しましたが、骨折具合や術式によっていつから・どの程度の体重をかけていくかは個人差があります。
 
よく行われる方法としては、平行棒内で体重計を使用して、医師より指示された荷重量を守りながら体重をかけていく練習をしていきます。
 
 

歩行訓練

歩行は、荷重量に応じて歩行補助具を変更していきます。
 
  • 両松葉杖
  • 片松葉杖
  • サークルウォーカー
  • 歩行器
  • 四点杖
  • T字杖
 
等々
 
どの歩行補助具を使用して、どの程度体重をかけていくのか。
 
この辺りは、担当の理学療法士と相談しながらすすめていくことが大切です。
 
経験上、自己判断で荷重量を変えてしまったりする方はうまくリハビリが進まないだけでなく、骨の癒合期間(骨のつく期間)が遅れてしまうことがあります。
 
【関連記事】
 
どんな歩行補助具を使うのか、歩行補助具の使い方、荷重量、これらはしっかりと守りながら進めていくことが予後に大きく影響します。
 
 
 
 
リハビリがうまく進んでいき、全荷重の許可が出れば、その後はバランス訓練や日常生活に合わせたリハビリが行われます。
 
 

まとめ

 
脛骨高原骨折の概要とリハビリテーションについて解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
この骨折は比較的頻度の高い骨折の1つです。
 
関節内骨折ですので、拘縮も起きやすく膝関節の動きをしっかり獲得すること、また、しつこいようですが、荷重量をしっかり守りながら進めていくことがリハビリのポイントとなります。
 
主治医・理学療法士とよく相談しながら進めていくようにしてください。
 
少しでも参考になれば幸いです。
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。