高齢者に対しての運動強度(負荷)はどうすればいい?リハビリの専門家理学療法士が解説

高齢者に対しての運動強度(負荷)はどうすればいい?リハビリの専門家理学療法士が解説

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合同会社Relate合同会社ALLMERU代表の井上です。
 
筆者は、日頃から高齢者施設などのリハビリサポートをさせていただいております。
 
その中で、施設職員の方からよくある質問の1つに『高齢者に対して、どのくらい運動をやったらいいか分からない、どのくらい負荷をかけていいか分からない』といったご質問をいただくことが多いです。
 
サポートさせていただいているので、もちろんしっかり説明させていただくのですが、調べてみると意外とちゃんとエビデンスをもとにした内容でまとまってるサイトがないという印象でした。

実際に運動負荷に対する見解は数多く散見されますが、その多くは、若い方やアスリート向けのものとして述べられているものが多いです。

一方で高齢者向けとなると、明確な数値的なものはあまりなく、運動強度といえば「メッツ」というところに行き着きます。

 
今回は、メッツに加えて、数多く読んだ論文・参考書をもとに筆者の方でまとめ、その中で最適と考えられるご高齢の方への運動負荷量についてこの記事にまとめてみました。
 

運動強度のメッツとは?

メッツに関しては、運動強度としてはとてもメジャーなものとなります。下記に、厚生労働省より発表されている内容を紹介します。

身体活動の強さと量を表す単位として、身体活動の強さについては「メッツ」を用い、身体活動の量については「メッツ・時」を「エクササイズ」と呼ぶこととしました。

(1)「メッツ」(強さの単位)
 身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す単位で、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当します。

(2)「エクササイズ(Ex)」(=メッツ・時)(量の単位)
 身体活動の量を表す単位で、身体活動の強度(メッツ)に身体活動の実施時間(時)をかけたものです。より強い身体活動ほど短い時間で1エクササイズとなります。

・3メッツの身体活動を1時間行った場合
 3メッツ×  1時間=3エクササイズ(メッツ・時)

・6メッツの身体活動を30分行った場合
 6メッツ×1/2時間=3エクササイズ(メッツ・時)

引用:厚生労働省ホームページより

メッツでの考え方では、65歳以上の身体活動の基準は、強度を問わず下記の表に示すような身体活動を週10メッツ・時行うことが推奨されています。

具体的には、横になったままや座ったままにならなければ、どんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行います。十分な体力を有する高齢者は、3メッツ以上の運動を含めた身体活動に取り組むことが望ましいとされています。

3メッツ以上の運動となると、一番わかりやすいのは、下記表にある「自体重を使った筋力トレーニング」が3.5メッツなので、1つの指標にできます。自重トレーニングとも言います。

いわゆる散歩などのウォーキングについては、4.3メッツとなるため、強度としては非常に有効ということになります。ただし、有酸素運動の定義として、15分以上連続で行うことが推奨されますので、ウォーキングの場合は1回あたり15分以上を目安に行うことが必要です。

運動内容 メッツ
ボウリング・社交ダンス 3.0
自体重を使った筋力トレーニング(軽・中等度) 3.5
ゴルフ 3.5〜4.3
ラジオ体操 4.0
卓球 4.0
ウォーキング 4.3

このように、メッツによって1つの指標を参考にすることは可能ですが、自重トレーニングをやればいいということはわかったとしても、どの程度やればいいのか、どのくらい負荷をかけていいものなのか。ここがいまいちはっきりしないので、ここからは論文や参考書をもとに、明確にしていきます。

 

筋トレの適切な強度と計算

筋力増強は、運動強度(負荷量・ポジション)×運動量(反復回およびセット数)×週の頻度=1週間あたりの総負荷量で決定します。
 

筋トレ1回あたりの運動強度

下記の論文から一部抜粋して、まとめます
 
<論文①>
低負荷抵抗トレーニングと高負荷抵抗トレーニングの筋力と肥大の適応
高強度・低負荷トレーニングと低強度・疲労困憊までの反復トレーニングでは、最大等尺性筋力及び筋肥大の効果に違いは見られない

引用文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834797/

<論文②>
健康な若い男性の筋力、質量、およびエコー強度に対する低負荷、高繰り返しのレジスタンストレーニングと高負荷、低繰り返しのレジスタンストレーニングの失敗への影響
8週間の訓練機関においての比較検討において、政府か高反復。トレーニングと抗不可低反復のどちらのトレーニングおいても筋力増強効果肥大効果が見られており、違いは見られない

引用文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29016473/

<論文③>
60歳〜83歳の成人における抵抗運動と能力
中強度の負荷と高強度の負荷によるトレーニングの結果、筋力増加率は17.2%と17.8%であり、大きな差はないことがわかった

引用文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12110072/

筋トレの運動強度

こちらは、参考書より抜粋します。
2019年ニューヨーク私立大学のシェーンフェルドらは、世界で初めて筋肥大の効果と週単位のトレーニング頻度に関するメタアナリシスを報告(内容はまとめて下記参照)

参考文献:科学的に正しい筋トレ

結論的には、週1日のトレーニングでは効果がなく、週2日で筋肥大の効果が認められたということ。週3日でも同様の効果が認められた。つまり、1週間における「総負荷量」が同じであれば週2回でも週6回でも同じ効果になると結論づけています。

 

下記は、米国スポーツ医学会が出している運動処方の例です。

こちらは論文です。

筋力が落ち移動機能が低下した高齢者を対象に1時間程度の運動を週2回行った調査では、1年間で筋肉が5.5%増加しました。

引用文献:Yamada M,Arai H,et al.Journal of Fraility & Aging2012

超回復について

それなりの強度で運動を行った場合、筋肉は良い意味で破壊され、その修復に48-72時間かけて回復すると言われています。

但し、部位によって回復する時間が異なり、概ね腹筋や下肢に関しては24時間程度で回復すると言われています。

上肢は48時間、胸筋や背筋は72時間など。この結果、筋肥大と筋力増強につながります。これを超回復と言います。

アンダーソンの運動基準

運動の強度に加えて、高齢者では運動の開始基準・中止基準をしっかりと頭に入れた上で対応することが必要です。

アンダーソンの運動基準については、下記のリンクページで説明していますので参考にしてください。

参考ページ:介護従事者のみなさん!これだけは覚えておいてください。「運動の開始基準と中止基準」をやさしく解説します。

 

高齢者に対する運動強度(負荷)を論文・書籍を参考にした結論

ここまで、運動強度の指標であるメッツに加えて、論文・参考書から下記に結論づけてみました。

紹介した論文と参考書、超回復の定義をまとめてみると、在宅高齢者の方々では、週1回の運動では効果がなく(維持レベル)、週2〜3回(連続ではなく1日以上空けることが望ましい)を目安に20%以上(少し汗ばむ、息が少し切れる程度。ややきついと思う程度)の強度で1セットあたり、10回程度の運動を行うことによって、身体機能が改善していく可能性が高いということになります。

これはあくまでも「自重トレーニング及び低負荷でのトレーニング」の強度を指します。

高負荷でのトレーニングは効果がある一方で、ご高齢の方においては血圧上昇や頻脈など心臓への負荷も高まることから、内科的な疾患などを考慮しながら行う必要があります。

ですので、アンダーソンの運動基準をベースにしながら、自重や低負荷でのトレーニングを頻回に行なっていくことがベストであるということが言えます。

以上となります。

また新しい見解等あれば、加筆修正していきます。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。