高齢者は腹筋よりも『背中の筋肉』の方が圧倒的に筋力低下している。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
リハビリの仕事をしてきて、体幹が弱いからと体幹トレーニングを行う療法士は非常に多いです。
 
もちろん、体幹は大事です。
 
私が普段働きながら感じていることですが、
 
体幹よりも圧倒的に背中側の筋肉の方が弱い方が多い。
 
ということです。
 
最終的には体幹部分と背中の部分、バランスのとれた筋力が必要になってきますが、私は体幹よりも背中側の筋力をつけるようにまず介入をしています。
 
結果はもちろん、こちらの方が良いことが多いです。
 
今回は、高齢者は腹筋よりも背中側の筋肉をつけた方が効果的である、ということを解説していきます。
 

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姿勢から考えてみる

 
重力下で生きている人間は、歳を重ねると次第に筋力というのは自ずと衰えてきて、身体は丸まる姿勢になってきます。
 
また、若い方でも長時間のデスクワークなどにより「猫背姿勢」となっている方が多いです。
 
猫背姿勢
 
このような姿勢になると、背中側の筋膜や筋肉は伸びきってしまいます。逆にお腹側の筋膜や筋肉は短くなってしまいます。
 
背中側の筋膜や筋肉が伸びきってしまうと、筋力を発揮する筋出力というのが低下してしまい、次第に筋力も落ちていきます。
 
 

特に高齢者は猫背になり、背中側の筋膜は伸びきり、筋力が落ちている

 
転倒予防の記事でも書いたように、高齢者が筋力を鍛える=大腿四頭筋ということがよく言われています。
大腰筋を鍛えることが重要
 
確かに間違いではないですが、どちらかといえば、背中の筋力と腸腰筋の筋力を鍛えるほうが重要です。
 
この記事では「背中の筋力」にフォーカスをあてていきますので、腸腰筋については以下の記事でまとめていますので、合わせてご覧になって下さい。
 
 

背中の筋肉を鍛えるセルフケア・セルフトレーニング方法

 
ここまで説明してきた通り、お腹の筋肉の柔軟性を保ち、背中の筋肉を鍛えることが大切です。
 
以下に背中の筋肉を鍛えるセルフトレーニング方法についてご説明します。
 
トレーニングといってもご高齢の方でも家で簡単にできる方法ですので、是非参考にしてみて下さい。
 

筋膜リリース

【方法】

  1. バスタオルを丸めたものを肩甲骨の下端に置く。
  2. お腹を床に押し付けるようにして両手をバンザイする。
  3. アゴをあがらないように引いて行う。
  4. 30秒間行う。
  
【方法】
  1. 姿勢を真っ直ぐに、両手を前方へ伸ばす。
  2. 伸ばしたところから肩甲骨をより前方へ押し出すようにする。
  3. そのまま20秒間キープ。
  4. 3の後、両肘を後ろに引く。
  5. そのまま20秒間キープ。
  6. 5の後、肘を少し前に戻し、手のひらが前を向くようにする。
  7. そのまま20秒間キープ。

【注意点】
アゴを引いて、背筋をしっかり伸ばしたまま行う。

 
筋力をつける運動をする前に、筋膜を整えて、それから運動を行うことでより効果が期待できます。

セルフ筋膜リリースを行ってから、以下の運動を行うようにしてください。

筋膜リリースをもっと知りたいという方は、以下の本をおすすめします。

 
 

ブリッジ運動

 
【方法】
  1. 膝にボールなどの伸縮性のあるものを挟み、お尻を持ち上げる。
  2. これを繰り返し行う。
  3. 慣れてきたら、お尻を持ち上げたところで10秒間キープする。
 
ブリッジ運動は、腰の下の方からお尻の筋肉を鍛える運動になります。
 
一般的にはお尻の運動と言われていますが、背中の筋力をつけるのにも効果的な運動となります。
 
簡単にできますので、是非行ってみて下さい。
 
 

エロンゲーショントレーニング

 
以前に「のび体操」をご紹介させていただきました。
 
エロンゲーションとは「伸ばす」という意味で、両腕を上に挙げるだけという簡単な方法です。
 
手を挙げると、脊柱(背骨)は伸びる方向に働きますので、自然と背中の筋肉を使う運動になります。
 
寝て行って楽にできる場合は、セラバンドやスポバンドを使用して負荷をあげてもいいですし、座ってただ手を挙げるだけでも十分効果的です。
 
 
 
 

うつ伏せでのトレーニング

この運動は「マッケンジー体操」と言いますが、腰痛に行われる有名な体操の1つです。

この動きは背中の筋肉を使い、お腹側のストレッチ要素もあり手軽にできるおすすめの運動になります。

この運動をすることで腰に痛みが出る方は中止してください。

この運動は、四つ這い位で対側の手足を持ち上げる運動になります。

腰を反りすぎないように注意して行って下さい。

 
うつ伏せで行う運動の場合、腰を反る動きが強くなります。
 
 
また、この運動を行うことで腰やその他痛みを感じる方は無理せずやらないようにして下さい。
 
 

まとめ

 
背中の筋肉を鍛えると結果的に姿勢もよくなります。
 
ご高齢の方だけでなく、若くても猫背の方は大勢います。
 
背中の筋肉を使うということは、肩こりや頭痛、首の痛みなどにも効果的です。
 
トレーニングや運動となるとちょっときつそうだという印象を受けるかもしれませんが、非常に簡単なセルフトレーニングですので、是非行ってみて下さい。
 
参考になれば幸いです。
 
 
 
 
 

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2件のコメント

はじめまして。
83歳の父、75歳の母、100歳の祖母と暮らしています。父は、背中が前に曲がり、母は背中が右に曲がってきています。ところが、祖母は、背中がピンとまっすぐです。両親は背中が曲がっているため、腰への負担があり、ベルトを腰に巻いたりしています。どうして、父、母、祖母の姿勢が違うのか疑問に思って、検索していて井上直樹さんの記事を見つけました。井上さんの記事で、お年寄りは腹筋よりも、背筋力が衰えているという記事に興味を持ちました。正しい姿勢を保つためには、筋力が必要なのですね。また、筋力をつける前に、筋膜をリリースすることも必要だとうことも、勉強になりました。
井上さんの、これらの説明を読んで、父、母、祖母の過去を振り返りました。(本人には確認せず、今まで聞いてきた話をもとに)
父は、銀行に勤めて、デスクワーク。運動は、スキー、ゴルフ。定年後、農業をして、運動はウォーキング。母は、主婦で、運動はなにもしていないです。祖母は、お嫁に来てから、田、畑、リンゴ、家畜の世話等、すべて、若い頃から続けてきた人です。
父は、ネギの仕事、母は重いものを右手で持つことをして、背中が曲がったと思っていましたが、姿勢のバランスをとる筋力が鍛えられていなかった。祖母は、若い頃からの過酷な農作業のおかげで、腰の曲がらない市政を保っているのだと気づきました。
井上さんの、他の記事も読んでみます!

少しはお役に立てたようで嬉しく思います。
他の記事も是非宜しくお願いします^ ^

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ABOUT US
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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。