ゴルファーに多い親指の怪我『母指CM関節症』の原因・リハビリ治療・スイングメカニズムについて解説をします。


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理学療法士・ゴルフフィジオセラピスト(GPTH)の井上(@Rehacon)です。
 
 
ゴルファー向けの記事をいくつか書いてきました。

 
 
ゴルファーはコンタクトスポーツではありませんので、自ら怪我を予防しやすいという側面があります。
 
アマチュアゴルファーに多い怪我の1つに「母指CM関節症(炎)」という怪我があります。
 
先日、ゴルフ仲間でもある友人から左親指の付け根が痛くなったと相談がありました。
 
そんなこともあり、今回は「母指CM関節症」の概要と治療方法、CM関節症を引き起こす要因となるスイングメカニズムについて解説をしていきます。
 


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母指CM関節症とは

 
手の骨には「手根骨(しゅこんこつ)」という小さくて細かな骨があります。
 
 
 
そして、手根骨と中手骨という骨のつなぎ目部分である関節をCM関節といいます。
 
 
 
この親指部分のCM関節に炎症や機能障害が起こることを母指CM関節症といいます。
 
 

母指CM関節症の症状と原因

 

症状

  • 親指の付け根の痛み:圧痛(押すと痛い)、つまむ動作、ビンの蓋を開ける動作など
  • 腫脹(腫れ)
  • 可動域制限(関節の動きが悪くなる)
 
主にこの3症状の機能障害が起こります。
 
 

引用画像:日本整形外科学会

 

原因

  • 使い過ぎ(オーバーユース)
  • 軟骨の変性
  • 骨折、脱臼等による外傷後
 
原因はこれらが考えられていますが、「使い過ぎ」というのが一番多く、使い方というのもとても大切になってきます。
 
 

母指CM関節症の診断と治療

 

問診・整形外科テスト

CM関節部分に圧迫を加え、痛みが出た場合に陽性となります。
 
お茶の湯飲みやコップを指全体で持ってもらうと痛みが出れば陽性。
 
ビンの蓋を開ける動作をしてもらうと、痛みが出れば陽性。
 
このようなテストで痛みが誘発されれば「陽性」となります。
 
 

レントゲン

骨の硬化・骨の変形・骨棘(トゲのような突起)など関節の変性具合を確認します。
 

引用画像:古東整形外科

状態によってステージ分けされることがあります。
 
ステージⅠ:レントゲンでの変化は殆ど見られない。関節の隙間が保たれている状態
ステージⅡ:関節の隙間がやや狭くなり、関節症変化の兆しとして、骨硬化が若干見られる状態
ステージⅢ:関節の隙間が殆どなくなり、骨硬化が進み、骨棘の形成も見られる状態
ステージⅣ:完全に関節の隙間がなくなり、骨棘の形成も見られる状態

引用:古東整形外科

 
 

母指CM関節症の治療とリハビリテーション

 
一般的な方法としては以下の通りになります。
 
  • 内服
  • 注射
  • 安静
  • 患部の固定(装具やサポーター、テーピング)
 
患部の安静はどんな場合にも「ある程度」は必要になります。
 
母指CM関節症の場合は、2〜3週間の安静が推奨されていますが、状態によって前後します。
 
親指は日常的によく使う部位なので、関節自体も他の指と違い、様々な方向に動けるように作られています。
 
その場合、必要以上に使わないようにサポーターなどを使うことをおすすめします。
 
 
また、ゴルフの練習をするなど、スポーツ場面ではテーピングを使用し、患部の負担を減らすようにすることが必要です。
 
 
 
母指のテーピング方法の動画を貼り付けておきます。参考にしてみて下さい。
 

 
一般的な治療法としては上記の通りですが、痛みや変形の具合により手術が適応されることがあります。
 
 

軽視されがちな筋筋膜治療

 
ここまで関節への負担について説明をしてきましたが、関節だけでなく、筋膜や筋肉のトラブルで痛みが引き起こされることがあります。
 
その場合は、筋膜リリースやトリガーポイント療法で改善することも多いです。
 
 

母指に痛みを引き起こす代表的な筋肉とトリガーポイント

  1. 母指対立筋(ぼしたいりつきん)
  2. 母指内転筋(ぼしないてんきん)
  3. 橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)
  4. 腕橈骨筋(わんとうこつきん)
 
この4つが代表的な筋肉になります。
 
 
  
  
 

トリガーポイント

 

母指対立筋トリガーポイント

母指内転筋トリガーポイント

橈側手根屈筋トリガーポイント

腕橈骨筋トリガーポイント

 
【関連痛パターン】
母指対立筋の関連痛パターンは、親指と手首に痛みを引き起こします。
 
母指内転筋の関連痛パターンは、母指と手の外側に沿って痛みを引き起こし、母指球まで波及することもあります。
 
橈側手根屈筋の関連痛パターンは、主に肘の外側で、それに次いで母指周囲に痛みを引き起こすことがあります。
 
腕橈骨筋の関連痛パターンは、主に肘の外側と前腕ですが、母指に痛みを引き起こすことがあります。
 
 
ここで示したトリガーポイントに対して、親指やゴルフボール、テニスボールを押し当て、30秒圧迫+30秒解放を何度か繰り返してみてください。

【トリガーポイント関連記事】
痛みの原因はこれかもしれない。「トリガーポイント」についてやさしく解説します。
筋膜とは?トリガーポイントとは?筋膜の機能異常をどう捉えるか。
トリガーポイントの症状・種類・原因について解説をします。

母指CM関節症を引き起こすことが考えられるゴルフスイングのメカニズム

 
アマチュアゴルファーで母指CM関節症になる方は非常に多いです。
 
プロでも、松山英樹プロが数年前に母指CM関節の怪我をしています。
ゴルフスイングからみた場合、アマチュアゴルファーで母指CM関節症を起こす原因となるのが、
 
  • 力み(握りすぎ):グリッププレッシャー
  • トップが深く、腕を使いすぎ・手首をこねすぎ
 
この2つが大きな要因として考えられます。
 
 

力み(握りすぎ):グリッププレッシャー

力みについては特に言うこともないですが、特に左の親指を痛める場合は右手の圧力が強く、左の親指を圧迫していることが多いです(右利きの場合)。
 
つまり、「握りすぎ」ということです。
 
握りすぎてしまうと、親指は「反る」要素が強くなります。
 
反る動きが強く、その動きが繰り返されると、関節に負担がかかりますし、その周囲の筋膜や筋肉にも負担がかかります。
 
また、親指周囲だけでなく、握りが強いと前腕のストレスも増え、橈側手根屈筋や腕橈骨筋にトリガーポイントを作ってしまうことが考えられます。
 
 

トップが深く、腕を使いすぎ・手首をこねすぎ

スイングレベルで見た時、これは非常に多いです。
 
身体の回転は胸郭や骨盤の回転がとても重要です。
 
身体の回転時に胸郭や骨盤の回転不足が起こると、その動きを補うために腕や手首の動きが多くなります。
 
結果的に母指CM関節に負担がかかるだけでなく、肩や肘、手首にも負担がかかり怪我をしやすくなります。

 
 

胸郭・骨盤周囲の柔軟性を作るセルフケア方法

 
胸郭の動きや骨盤の動きには、腹斜筋群や肋間筋など複数の筋膜や筋肉が関与します。

以下のセルフ筋膜リリースを行い、柔軟性を高めましょう。

 

呼吸をしながら20秒間筋膜リリース。

 
  

上の写真の筋膜リリースに慣れてきたら、少し捻る動き(赤矢印)をより加えてみましょう。

同じく20秒間筋膜リリース。 

 

胸郭・骨盤の動きを意識するセルフトレーニング

以下の関連記事でまとめていますので、合わせてお読みください。

 
 

傷害予防がとても大切

 
何度かこのブログでも書いていますが、ゴルフはコンタクトスポーツでないため、傷害予防をしやすいという側面があります。
 
但し、
 
  • 身体を捻る動きが多い
  • 同じ方向への捻る動き
 
このような動きが多いため、柔軟性がないと怪我をしやすいです。
 
筋力ではないです。
 
柔軟性です!
 
まず柔軟性を作り、それからトレーニングをしていくということが必要です。
 
 

まとめ

 
ゴルフに限らずですが、運動=トレーニングと思っている人が多いですが、まずは身体の柔軟性を作ることが必要です。
 
そうしないと、そもそも効率の良いトレーニングが行えません。
 
ゴルフをしていて親指や肩、肘、手首が痛い方はここでのセルフケアとセルフトレーニングを是非行ってみてください。
 
それでは、参考になれば幸いです。
 
 
 
 
 

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ABOUTこの記事をかいた人

井上 直樹

リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。