『ゴルフ肘』を起こすスイングメカニズムと修正方法・トレーニング方法について科学的に解説をします。


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理学療法士・ゴルフフィジオセラピストの井上(@Rehacon)です。
 
 
 
前回の記事で「ゴルフ肘」の概要と一般的に行われる治療・リハビリについて解説をしました。
 
その記事内で、痛みが取れてもまた再発を繰り返したら意味がなく、最終的にはゴルフスイングを変える必要がありますとお伝えしました。
 
私はゴルフの専門家ではないので、技術的なスイング指導はできませんが、ゴルフに特化した身体の専門家である認定資格を保有しています。
 
現在この資格を取得できるのは、基本的に理学療法士と医師のみとなっています。
今回は、ゴルフ肘が起こるスイングのメカニズムについての説明と、ゴルフ肘が起こらないようにどうスイングを変えていく必要があるのかを科学的に基づいた視点でお伝えしていきます。
 

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ゴルフ肘のおさらい

 
要約するとゴルフ肘のポイントは、
 
  • 肘の内側の痛み
  • プロでは殆ど見られず、アマチュアゴルファーに多い
  • 原因はダフる、手の動きが極端に多いこと。いわゆる手打ち。
  • 右利きの場合は右肘を痛めやすい
  • 部分的なスイング修正では再発をする
  • 一般的な治療だけではなく、最終的にはスイング全体を修正していくことが必要
 
これらが挙げられます。
 
詳細は以下の関連記事を読んでいただけると幸いです。
 
 

ゴルフ肘を起こすスイングメカニズム

 
ゴルフを始めたばかりの人は「スライス」が殆どです。
 
そこでよく言われること。
 
 
「腕を返すように振りなさい」
 
 
実際にこういう指導は多いです。
 
しかしこれはゴルフ肘の始まりです。
 
どんなスポーツでもそうですが、ある一部分の動きだけを修正するというのは必ずどこかに負担がかかります。
 
なぜなら、身体は常に連動して動くからです。
 
ゴルフで腕を返すように振る必要があるならば、手首・肘・肩・肩甲帯(肩甲骨)・首の連動も必要です。
 
さらに、胸郭や骨盤・腰・股関節…等々
 
つまり、全身なんですね。
 
特にゴルフは下半身スポーツといわれる位、下半身から全身への運動のつながりがとても重要です。
 
 
腕がうまく返らない=腕を返せばいい
 
 
こういう理屈では怪我をします。
 
 
腕をうまく返せないには理由があります。
 
  1. アドレス時に左足がパラレル(平行)・クローズドスタンスになっている
  2. ダウンスイング時に体重が右足に残っている
  3. インパクト〜フィニッシュ時に左側の肩甲帯や体幹、骨盤が回っていない
 
 

アドレス時に左足がパラレル(平行)スタンス・クローズドスタンスになっている

img_3142 img_3143
 
クローズドスタンスの方は稀ですが、パラレルスタンスの方は多いです。
 
このようなスタンスの方は、よほど股関節や足首が柔らかくないとどうしても最終的に身体が回りにくくなります。
 
体幹や肩甲骨周り、肩、胸郭、骨盤が回りにくくなり途中でブレーキがかかりやすくなります。
 
そうなると、クラブが身体の前を通りにくくなるため膝が伸び上がり、身体が起き上がったり、無理矢理手を返すような動きになります。
 
 

ダウンスイング時に体重が右足に残っている

img_3156 
 
ダウンスイング時に右足に体重が残っているというのは「体重移動」ができていないということになります。
 
体重移動ができていないと、パラレルスタンスの時と同様に身体が回りにくくなります。
 
つまり、手打ちになります。
 
 

インパクト〜フィニッシュ時に左側の肩甲帯や体幹、骨盤が回っていない

 img_3154 img_3147
 
右足に体重が残ると肩や骨盤が回らず、手を無理矢理返す動作が入ります。
 
つまり、手打ちになります。
 
 
 
以上のような原因で、肘に機械的なストレスが増え、ゴルフ肘を引き起こすと考えられます。
 
つまり、ここを修正しないことには連動して腕は返らないということです。
 
そして、無理に腕を返そうとすると部分的な負担が重なり結果的に怪我をします。
 
これは人間の身体の動きの仕組みで、バイオメカニクスといいます。
 
バイオメカニクスを考えてスイング改善をしないと一時的に修正できたとしても結局は怪我をします。
 
ですので、一般的なリハビリを含む治療を行うことはもちろん必要ですが、その後痛みが再発しないためにはスイングを変える以外ないということになります。
 
 

ゴルフ肘を改善させるためのスイング修正

 
上にあげたゴルフスイングにおける問題を改善させる必要があります。
 
つまり、
 
  1. アドレスではオープンスタンスにする
  2. 体重移動をしっかり行う(右足に体重が残らないようにする)
  3. 身体の回転をしっかり行う
 
 

①アドレスではオープンスタンスにする

 
(右利きを想定)
img_3141
オープンスタンスにすることで身体を回転させやすくなります。 
 

②体重移動をしっかり行う(右足に体重が残らないようにする)

 
img_3157
 
 

③身体の回転をしっかり行う

 
img_3159 img_3161
体重だけ移動しても身体がしっかり回転しないと膝が伸びてしまう要因にもなり、「ヘッドアップ」が起こったり「手打ち」になってしまいます。
 
体重移動をするのと並行して身体の回転が必要になります。
 
 

トレーニング方法

 
上に挙げたスイング修正をするトレーニングを以下に説明します。
 
img_3149 img_3151
 
 

肘の痛みを引き起こす代表的な筋肉とトリガーポイント

 
肘の痛みはスイング修正で十分可能ですが、 なかなか痛みが取れない場合や、普段からのケアにトリガーポイントをセルフケアしておくと非常に効果的です。

以下の関連記事でトリガーポイントや筋膜のこと、肘に痛みを引き起こすトリガーポイントについてまとめていますので、是非合わせて読んでいただけたらと思います。

【関連記事】
痛みの原因はこれかもしれない。「トリガーポイント」についてやさしく解説します。
筋膜とは?トリガーポイントとは?筋膜の機能異常をどう捉えるか。
トリガーポイントの症状・種類・原因について解説をします。
『肘の痛み』を引き起こす代表的な5つの筋肉とトリガーポイント

 
 

まとめ

 
ゴルフ肘を引き起こすスイングメカニズムと修正方法・トレーニング方法をお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
 
長いことゴルフをやっている人ほどスイングができあがっているため、修正していくのはとても大変です。
 
しかし、ゴルフを生涯スポーツとして楽しんでいくためには身体の痛みがないのが一番です。
 
ゴルフ肘で悩んでいる方は時間がかかるかもしれませんが、是非一度試してみてください。
 
参考になれば幸いです。
 
 
 
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。