リハビリの基礎知識
スポーツ傷害の代表格。すねの痛み『シンスプリント』の原因・症状・リハビリ治療について解説します。
<2017年12月14日修正・追記>
理学療法士の井上(@Rehacon)です。
スポーツによる怪我は様々あります。
その中でもランナーに多いとされている「シンスプリント」という怪我があります。
ランナーに多いとはいわれていますが、準備運動を怠ったり、オーバーユース(使いすぎ)でどんなスポーツにでも起こりえる怪我です。
全てのスポーツ選手、あるいはスポーツ愛好家の方にはおよそ60%を占める割合で多い怪我といわれています。
このシンスプリントは、放っておくと二次的に疲労骨折を起こすことも珍しくありません。
早めの対処によって治すことのできる怪我です。早め早めの対処でスポーツパフォーマンスに影響のないようにしましょう。
今回は「シンスプリント」についての概要とリハビリテーションについてお伝えしていきます。
シンスプリントとは
シンスプリントを日本語では「脛骨疲労性骨膜炎(けいこつひろうせいこつまくえん)」といいます。
痛みの場所は、脛骨の内側あたりに出やすいといわれています。
ちなみに脛骨は、いわゆるすねのことをいいます。
どちらかというと、局所的なものというより筋肉に沿って痛みが起こりやすいという特徴があります。
もしも局所的な痛みである場合は、疲労骨折が疑われます。
シンスプリントの原因
冒頭にも書きましたが、準備運動をせずに急に運動をしたり、使い過ぎによるオーバーユースにより起こしやすくなります。
さらに、足元の衝撃吸収がうまくできないと地面から返ってくる衝撃が強くなり筋肉の負担が増え、脛骨の骨膜に付着している部分は引っ張られるようになります。
この繰り返しにより、骨膜部分に炎症が起こりシンスプリントを発症します。
足元の衝撃吸収を担うのが内側縦アーチ(土踏まず)です。
内側縦アーチに関与する筋肉は以下の関連記事で解説していますので、合わせてお読み下さい。
また、脛骨の内側に付着する主な筋肉は、「ヒラメ筋」と「長趾屈筋(ちょうしくっきん)」になります。
長趾屈筋は内側縦アーチを構成する筋肉の1つです。
シンスプリントの診断
診断は、シンスプリントと疲労骨折の区別が必要になります。
そのためには、整形外科を受診し、レントゲン、場合によってはMRIを撮る必要があります。
補足
シンスプリントや疲労骨折の初期段階ではレントゲンでは区別できないことがあります。そのため、はっきりさせるためにMRIを撮ることがあります。
シンスプリントに対するリハビリ治療
シンスプリントの治療としては、主に以下の通りです。
- 必要に応じて安静
- 関連する筋筋膜の柔軟性改善
- 関連筋の筋力トレーニング
- 足元の内側縦アーチを補整
- 運動後のアイシング
必要に応じて安静
シンスプリントがもうすでに起きてしまった場合は、上でも説明した通りオーバーユースの可能性がありますので、まずは運動量を減らすことは大切です。
ただし、過度な安静は不要です。
どの程度運動をしていいのかの判断は、担当医や担当療法士にアドバイスをもらってください。
関連する筋筋膜の柔軟性改善
筋筋膜の柔軟性を得るには以下のセルフケアを行ってみてください。
関連筋の筋力トレーニング
痛みの強い時に筋力を鍛えてもあまり効果は望めません。
痛みがある程度治ってきてから少しずつ始めましょう。
以下に一部ご紹介しますが、どのようなトレーニングが必要か、どのくらいの量をやる必要があるのか、この辺りは担当療法士と相談してください。
足元の内側縦アーチを補整
内側縦アーチを作るには、上に説明した、カーフレイズやタオルギャザーを行う必要があります。
それ以外にトレーニングではなく、日頃の生活から自然と内側縦アーチを整える方法としてはインソールをおすすめします。
以下の関連記事を参考に合わせてお読み下さい。
運動後のアイシング
必ずしもアイシングを行う必要はありません。
運動後に痛みや熱感(熱をもっている)がある場合は、炎症を起こしている可能性があります。
その場合はアイシングが効果的です。
氷嚢などを利用するといいですよ。
【応用編】シンスプリントに対するトリガーポイント
シンスプリントに関与する筋筋膜にトリガーポイントが起こることがあり、痛みを引き起こすことがあります。
私の経験上、長趾屈筋・前脛骨筋にトリガーポイントができ、シンスプリントに似た痛みを引き起こしているという方を何度かみています。
このトリガーポイントにゴルフボールやテニスボールをゆっくりと押し当てます。
すねの痛みなど、同じ痛みが再現される場合、こちらの筋肉に原因がある可能性がありますので、✖印に対して30秒程度圧迫します。同じように30秒程度圧迫から解放します。
これを何度か繰り返します。
まとめ
シンスプリントのポイントをまとめると、
- スポーツ傷害に多い
- 脛骨(すね)の内側が痛くなる
- 局所ではなく、筋肉に沿って痛みが出る
- 局所痛の場合は疲労骨折の疑いがある
- 早めの対処で予防することができる
- 痛みの原因が、シンスプリントに似た痛みを引き起こすトリガーポイントによるものであることがある
こんなところがポイントになると思います。
シンスプリントはスポーツ傷害に多いですが、早めの対処で予防することができます。
二次的な骨折が起こらないようにするためにも、早めの対処が必要です。
参考になれば幸いです。
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