理学療法士が教える 正しい足アーチのつくり方 〜基礎・セルフケア編〜


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
これまで「足元は大事ですよ!」「靴の選び方・履き方は大事ですよ!」「足のアーチをしっかり作りましょう!」などと、だいぶしつこく記事を書いてきました。
 
先日の記事でも紹介した書籍ですが、「足の診療所」という足専門のクリニックを日本ではじめて開設した医師(桑原 靖先生)が執筆した、
 
『外反母趾もラクになる! 「足アーチ」のつくり方』
 
 
この本を読んで、改めて自分が考え経験し、実践してきたことが間違ってなかったんじゃないかと思うことができました。
 
今回は本書を引用しながら、理学療法士のエッセンスも交えながらご紹介していきます。
 
一般書として執筆されていますが、専門家が読んでもすごく勉強になりますよ。
 

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足の構造を今一度確認

 
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その体の疲れはもしかしたら足の影響?『足(足部)』の主な4大機能について解説します。の記事でも書いたので重複しますが、大事なことなので改めて説明します。
 
まず注目してほしいことは、人体の骨で名前が付いているものだけで206個もの骨があります。
 
そのうち足(以下、足部と称します)は左右それぞれ28個ずつの骨があり、両足部で56個の骨で構成されています。
 
身体全体のおよそ1/4が足部に集中しているということになります。
 
体重を支える起点となっているのが足部ということになります。
 
足部の骨は細かく小さな骨の集まりで構成されているため、それぞれの骨や靭帯、腱(スジ)、筋肉などで支え合う必要があります。
 
非常に複雑で緻密にできている部位ということがいえます。
 
本書には、
 
機械は部品がたくさんあるほど、動きが複雑なほど、そして酷使されるほど、故障が出やすいものです。
 
足だって同じです。
 
今は我慢できる程度のトラブルでも、やがて取り返しのつかないことにもなりかねません。

※本書より引用

 
 
このように示されています。
 
足部を整えることは身体全体へ好影響を与えます。
 
しかし、悪い状態をそのままにしておくとやがて変形性膝関節症などを引き起こす可能性があります。
 
このようなことが起きないように、早いうちから正しい「足のアーチ」を作ること、整えることはとても大事なことになります。
 
 

足の骨が形づくる「足アーチ」が体重を支えている

 
足部は上記に示したとおり、片足28個の骨が緻密に組み合わさり構成されており、アーチ構造をもちます。
 
 

アーチ構造とは

アーチ構造は力学的に、上からかかる力に対して非常に強く、荷重がかけられると強度を増すという優れた特性があります。
 
そのため、アーチ構造は古来から橋や門、ドーム型の屋根など、さまざまな建造物に利用されてきました。
 
古代ローマの水道橋や長崎市の眼鏡橋など、石造りのアーチ橋を思い浮かべてください。
 
これらの橋には接着剤や釘などは使われておらず、アーチ型の石積みが加わるほど、アーチを構成する石同士がぴったりと噛み合うので、接着剤や釘などは必要ないのです。
 
人の足も、土台にアーチ構造を備えることで、体重の数倍の力がかかってもびくともしない強さを保っているのです。

※本書より引用

 
 
引用したままになってしまいますが、足のアーチも同様に、上からの重みに強い構造となっており、さらに靭帯や腱(スジ)、筋肉、筋膜、脂肪、皮膚などの軟部組織で補強されています。
 
人間は二足歩行であり、歩く、走る、背伸びをする、飛ぶ、捻る、このような動作が日常的にあります。
 
また、スポーツをやっていればさらに負担が増えることは想像に難くありません。
 
つまり、足のアーチというのは日常的に常にストレスがかかっている部位であるということになります。

これまで何度かこのブログでも紹介してきましたが、アーチで支えることはもちろんのこと、脛骨直下に体重を落とすコントロールができると負担が少なくなります。

 
 

足アーチの役割

 
これも重複した内容になりますが、大切なことなので改めて説明します。
 
足のアーチの役割を簡単にいうと、
 
  • 地面からの衝撃吸収をする
  • 歩く時の蹴り出しを強くする
 
大きく分けるとこの2つがポイントになります。
 
足のアーチが崩れることで、地面からの衝撃吸収が不十分で膝や股関節、腰など他の部位への負担が増えてしまいます。
 
また、歩く際にうまく蹴り出せないことで歩行の効率が悪くなります。
 
うまく蹴り出せないというのは、足の指をうまく使えないということになります。
 
足の指をうまく使えずに蹴り出せない、歩行効率が悪いということは、走ることへも影響します。
 
つまり、スポーツなどのパフォーマンスにも悪影響を及ぼしてしまうということがいえます。
 
さらに、ふくらはぎの機能もうまく使えなくなりますので、ミルキングアクションの作用が弱くなるということになり、循環が悪くなったりと全身への悪影響をも招くことにもなります。
 
 

足のアーチが崩れると様々なトラブルが引き起こされる

 
ここまで足のアーチの重要性について解説してきました。
 
では、足のアーチが崩れるというのはどういうことなのでしょうか。
 
一般的にいわれるアーチの崩れによって起こるトラブルというのは、
 
  • 扁平足
  • 外反母趾
  • 内反小趾
  • 浮き趾
 
これらが挙げられます。
 
詳細については、以下の記事を合わせてお読みいただけると幸いです。
 
このように足のアーチが崩れるだけで様々なトラブルが引き起こされます。
 
 

足アーチを整える前に必要なこと

 
足アーチを整える重要性はお分かりいただけたと思います。
 
その足アーチを整える前にまず大切にしていただきたいことがあります。以下に本書を引用します。
 
詳細は本書をご覧になってください。
 
 
  • 足爪の切り方は「スクエアオフ」が基本
    短く切り過ぎないように注意!
  • 爪やすりは一方向に動かすこと
    足は毎晩洗って清潔に!
  • 泡をしばらくつけておくのがコツ
  • 洗ったあとは保湿ケアを
    かかとを重点的に保湿する
※本書より引用
 
 
その他は足に合った靴を選ぶこと、足にやさしい靴の履き方をすることが大切です。
 
これは過去の記事でも何度も書いていることなので、以下の記事を参考にしてください。
 
 

足アーチを整えるためのセルフケア・セルフトレーニング

 
足アーチを構成する筋肉を考えると、正しい足アーチを作るためには、足の裏のケアだけでなく、ふくらはぎや太もものケアも大切です。
  
このブログでもたくさん紹介しているのですが、足アーチを作るためによくやられる方法として「タオルギャザー」が用いられます。
 
タオルギャザーはとても大切ですが、足の指をうまく使えない方が結構いらっしゃいます。
 
うまく使えないと効果的なトレーニングが行えません。
 
タオルギャザーをやってもなかなかうまくできないなぁと思われる方は、まず、ふくらはぎと脛(すね)の筋肉のストレッチや筋膜リリースをしてから行うと効果的です。
 
筋肉・筋膜をセルフケアで整える → 筋力トレーニングという流れがベストです。
 
 

「足裏」のストレッチと筋膜リリース

ストレッチ

足裏ストレッチ  足裏ストレッチ
 
  1. 両膝を床につき、足の指先を立てる。
  2. 身体を後ろに反らせる。
  3. 足裏が伸びていると感じているところで30秒キープ。

 

筋膜リリース

足裏筋膜リリース

  1. ゴルフボールやテニスボールを使用して足裏にセットする。
  2. ボールを床に対して押し当て、押し当てた圧力を一定にキープしてそのまま前後にゆっくりと動かす。
  3. 内側・中央・外側と順番にリリースしていく。
 

「ふくらはぎ」のストレッチと筋膜リリース

ストレッチ

ふくらはぎストレッチ
 
  1. ストレッチしたい方の足を後ろにし、足裏は浮かないようにする。
  2. 体重を前に移動させ、ふくらはぎが伸ばされていると感じるところで30秒キープ。
  3. 膝が曲がらないように注意する。

筋膜リリース

ふらはぎ筋膜リリース

  1. 椅子の背や壁に手を置き、リリースしたい方の足を後ろにする。
  2. 体重を前にかけていき、ふくらはぎが伸ばされているところでキープ。
  3. ②を維持したまま、上半身と下半身を引き離すように20秒リリース。
  4. 足裏は浮かないようにし、腰が反らないように注意する。

 

「すねの筋肉」のストレッチと筋膜リリース

 

ストレッチ

前脛骨筋ストレッチ  前脛骨筋ストレッチ 
 
  1. 上の写真のように足をセットする。
  2. 体重を少し後ろに移動させる。
  3. すねの部分の筋肉が伸ばされていることを感じたところで30秒キープ。

筋膜リリース

前脛骨筋筋膜リリース
  1. ゴルフボールやテニスボールをすねの筋肉のところにセット。
  2. ボールを床に対して押し当て、押し当てた圧力を一定にキープしてそのまま前後にゆっくりと動かす。
  3. 1か所だけでなく、外側・内側と少し横にずらして順番にリリースしていく。
 

「太もも(前側)」のストレッチと筋膜リリース

 

ストレッチ

大腿直筋・腸腰筋ストレッチ 大腿直筋・腸腰筋ストレッチ  大腿直筋・腸腰筋ストレッチ
 
  1.  仰向けで横になり、ストレッチしたい方の膝を曲げる。
  2. ①だけで伸ばされていると感じれば、そのまま30秒キープ。
  3. ①では伸ばされていると感じない場合は、②→③につれてストレッチ強度が上がりますので、状況に応じて強度を上げる。

筋膜リリース

大腿直筋・腸腰筋筋膜リリース
  1. 椅子などに手を置き、リリースしたい方の足を後ろにする。
  2. リリースしたい方の膝を曲げ、伸ばされていると感じるところでキープ。
  3. 上半身を上に引き上げ、30秒キープ。
  4. 腰を反りすぎたり、股関節が曲がらないように注意する。

 

「太もも(後側)」のストレッチと筋膜リリース

 

ストレッチ

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  1. 両足を開き、体重を前に移動させる。
  2. もも裏が伸ばされていると感じるところで30秒キープ。
  3. 膝が曲がらないように注意する。
  4. 一方だけストレッチしたいときは、足の指に向かって体重を移動させる。

筋膜リリース

ハムストリングス筋膜リリース
  1. 椅子に腰かけ、足元に足台を置く。
  2. ハムストリングスを選択的にリリースするため、膝は軽く曲げる。
  3. 骨盤に手を当て、骨盤を前に倒すように体重を前に移動させる。
  4. もも裏が伸ばされていると感じるところで30秒リリース。

 

「足全体」を筋膜リリースする方法

足全体(裏側)の筋膜リリース
  1. 両足のかかとを壁に当てる。
  2. 膝は伸ばしたまま、つま先を自分の顔の方に近づける(青矢印)。
  3. 下半身の裏側全体が伸ばされていると感じたら、そのままキープして下半身全体を上に引き上げる(黄色矢印)。
  4. 20秒キープする。
  5. 写真は切れてますが、枕を必ず使用してください。
下半身(前側)筋膜リリース
  1. 両足のかかとを壁に当てる。
  2. 膝は伸ばしたまま、つま先を今度は壁側に伸ばす(足の裏を壁につける)。
  3. 下半身の前側全体が伸ばされていると感じたら、そのままキープして下半身全体を上に引き上げる。
  4. 20秒キープする。
  5. 写真は切れてますが、枕を必ず使用してください。
 
 
ここまでストレッチ方法や筋膜リリース方法について解説をしました。

物を使わずにセルフ筋膜リリースをとても分かりやすく解説されている本があります。理学療法士で筋膜博士と呼ばれる「竹井 仁」先生が執筆されている一般書です。

凄くおすすめ書なので、是非読んでみてください。

 
 
 

足アーチを作るためのトレーニング方法

タオルギャザー

タオルギャザー
タオルギャザー
  1. タオルを足の指でつまみ、手前に引き寄せる。
  2. 引き寄せたら、そのまま足首を少し上に持ち上げる。

 

カーフレイズ/足指足踏み

下腿三頭筋
カーフレイズ
  1. かかとを上げ下げする。
  2. つま先立ちになり、そのままその場で足踏みをする。
 
 

まとめ

 
正しい足アーチを作るため、足部・足アーチの概要とセルフケア方法について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
だいぶ長い記事になってしまい、申し訳ありませんでした。
 
長い記事とはいえ、ここで説明したことはあくまでも一部にしか過ぎません。
 
ここで引用させてもらった書籍は一般の方にも、専門家にもとてもおすすめの本になります。
 
より理解を深めるために、是非手に取って読んでみてください。
 
これまでもたくさんインソールのことは書いてきているのですが、こちらの本でもインソールの重要性について多く書かれています。
 
次回も引き続きこちらの本を引用しながら、インソールやサポーターについて解説していきます。
 
それでは、次回も読んでいただけると幸いです。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。