内くるぶしの痛み・扁平足の原因『後脛骨筋腱機能不全症』の症状・原因・リハビリ治療(筋トレ・ストレッチ含む)について解説します。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
後脛骨筋腱機能不全症(こうけいこつきんけんきのうふぜんしょう):PTTD
 
あまり聞きなれない言葉かもしれません。
 
名前の通り、後脛骨筋の機能が低下してしまうことを後脛骨筋腱機能不全症と言います。
 
後脛骨筋の機能低下が起きると、足のアーチ構造が低下・破綻して扁平足になってしまいます。
 
 
このサイトでも足のアーチについては数多くの記事を書いてきましたが、今回は、後脛骨筋機能不全症とはどんな病態なのか、症状や予防方法、どんなリハビリテーションが行われるのかについてをお伝えしていきます。
 

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足のアーチ

 
足のアーチ 足のアーチ
 
足のアーチは、
 
  • 内側縦アーチ
  • 外側縦アーチ
  • 横アーチ
 
この3つのアーチで構成されています。
 
アーチの役割はウィンドラス機構やトラス機構など様々な役割があり、簡単に言うと、足首や膝、股関節などの全身への機械的なストレスを軽減させたり、歩く・走る際の推進力に影響します。
 
足のアーチの解剖や機能などについては、以下の記事で詳細に分かりやすく解説していますので、合わせてお読みください。
 
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後脛骨筋とは?

 
後脛骨筋
 
後脛骨筋は、脛骨(けいこつ)という、いわゆる「すね」に該当し、骨の後ろに位置する筋肉です。
 
ふくらはぎの深い位置にある筋肉になります。
 
後脛骨筋は足の内くるぶしを通り、足の舟状骨・楔状骨・中足骨という骨に付着します。
 
  • 足首を下に降ろす(底屈)
  • 足首を内側へ回す(内反)
 
この2つが主な作用となります。
 
足の土踏まずを作る上で、とても重要な役割をします。
 
 

後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)の原因と症状

 
後脛骨筋腱機能不全は、急性外傷や運動のやり過ぎ(オーバーユース)、腱(いわゆるスジ)が変性し、筋力低下が起こるなどして機能不全が起こります。
 
40歳以上の女性に多い傾向にあります。
 
後脛骨筋がうまく作用しなくなると、扁平足になり、土踏まずが潰れてしまいます。
 
後脛骨筋は土踏まずを構成する上で極めて重要な役割をしていますので、足のアーチを整える上でも後脛骨筋の機能を改善させるということは重要なポイントになります。
 
どのように判断されるかは、
 
Too many toes sign
 
が認められるかどうか。

Too many toes sign
引用画像:引用画像 京都府立医科大学 足・足関節クリニック
足を後ろから見て、踵(かかと)が外に向いて足首が内側に潰れていないか、足の指がたくさん見えているかどうか、左右差がどの程度あるか、というところを確認します。
 
踵(かかと)が外に向いて足首が内側に潰れている場合、専門用語としては、距骨下関節の過回内(オーバープロネーション)と言います。
また、この他の症状としては、
 
  • 内くるぶし周辺の炎症所見(熱感・腫れ・痛み・動きが悪い)
  • 運動後や運動の翌日に、内くるぶし周辺に痛みが残る
  • 足首の前後運動で内くるぶし周辺に違和感、痛みが出る
 
このような症状が認められます。
 
 

後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)に対する治療

 
まずは保存療法が選択され、安静や消炎鎮痛剤などの薬物療法が行われます。
 
保存療法で改善が見込めない場合、手術が適応されることがあります。
 
  • 腱移行術後
  • 滑膜切除術
  • 骨切り術
  • 関節固定術
 
このような術式がとられますが、状態によって医師が選択します。
 
PTTD手術例
引用画像:引用画像 京都府立医科大学 足・足関節クリニック
 

後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)に対するリハビリテーション

 
後脛骨筋腱機能不全症に対するリハビリテーションでは、局部の炎症を抑えるために超音波療法が行われたり、後脛骨筋の機能回復のために、後脛骨筋のストレッチや筋力トレーニング、足のアーチを整えたり、足裏を整えるインソール(中敷き)が行われます。
 
以下に、それぞれ説明していきます。
 
 

局所の炎症抑制

炎症を抑えるには、必要に応じた安静、アイシング、超音波療法などがあります。
 
引用画像:メディックス
上の写真は超音波になりますが、患部に当てて深部熱を加えます。

よく整形外科では行われる方法になります。

こちらはアイシングで使う「氷嚢(ひょうのう)」というものです。

アイスノンなどでも代用できますが、安価なものですので、1つ持っていても損はないものです。

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後脛骨筋腱機能不全症に対するストレッチとマッサージ

後脛骨筋にトリガーポイントが形成されると、アキレス腱に沿って足裏まで痛みが波及していくことがあります。
 
トリガーポイントは筋力をうまく発揮できなくなる、筋出力低下も引き起こします。
 
しっかりとストレッチやマッサージをすることで筋肉や筋膜などの組織の柔軟性を保つことはとても重要です。
 
また、後脛骨筋にトリガーポイントが形成されるのとでシンスプリントと似た症状を起こすこともあります。
 
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後脛骨筋トリガーポイント

上画像の✖︎印を圧迫・解放を繰り返してマッサージを行ない、下画像のようにストレッチや筋膜リリースを行うようにしてください。

 
 
 
 
 

後脛骨筋腱機能不全症に対する筋力トレーニング

 
下腿三頭筋トレーニング
カーフレイズ
カーフレイズはふくらはぎをトレーニングしたり、後脛骨筋をトレーニングしたり、足のアーチを作るのにはとてもシンプルかつ効果的なトレーニングです。

負荷が足りないと感じる方は、片足立ちで行ったり、手に重りをつけて行うとより負荷をかけて行うことができます。

 
 

足のアーチを整える方法

 
足のアーチを整える方法は、ストレッチや筋力トレーニング、健康グッズなどを利用した方法などいくつもあります。
 
このブログでも詳細な記事をいくつも紹介していますので、合わせてお読みください。
 
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後脛骨筋腱機能不全症に対するインソール療法(中敷き)

 
最近はとても優秀なインソールが既製品として販売されるようになってきました。
 
個人的にもインソールは作るのですが、最近は既製品のインソールに付加パッドで調整することが多くなりました。
 
それが一番安価でスピーディ、かつ高性能なインソールを提供することができると個人的には思っています。
 
現時点でおすすめする既製インソールは3種類です。参考にしてください。
 
  • ソルボインソール
  • リアラインインソール
  • BMZインソール
 
ソルボインソールは「人工筋肉」を素材に使っているので、装着時の不快感がないというのが特徴です。

私自身もソルボインソールを多用していますが、3つのアーチを支えてくれるインソールで何よりも安価で効果的です。

 
続いてリアラインインソールですが、最近では特にこれがおすすめですね。

足の立方骨部分を支えて、自然に足の形状を整えてくれるインソールになります。

立方骨パッドに3つの種類が用意されており、色別に硬さが違います。3つあるので、履きながら自分に合うものを使用するようにしてください。

唯一の欠点としては、既製品のインソールでは割と高価であるという点ですが、それでもオリジナルインソールよりはずっと安いのでおすすめです。

私自身は最近、リアラインインソールをベースに付加パッドで調整するというのが一番しっくりきています。

 
ハイヒール用にもリアラインインソール・フェムというものが発売されており、こちらは仕事で履くハイヒールなどにおすすめです。

最後にBMZインソールですが、こちらも立方骨を持ち上げるタイプのインソールです。

アスリートのトッププロも使用している方が多く、種類によっては値段にばらつきがありますが、こちらのインソールも非常におすすめです。

 
 

まとめ

 
後脛骨筋機能不全症(PTTD)の概要とリハビリテーションについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
 
インソールや足部のことについてはたくさん記事を書いてますが、まず、筋肉などの軟部組織の柔軟性を確保すること、その後トレーニングをして強化する、良い状態を保つ・パフォーマンスアップのためにインソールを使用する。
 
こういったことが流れ的に重要です。
 
少しでも参考になれば幸いです。
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。