<2017年10月2日修正・追記>
理学療法士の井上(@Rehacon)です。
「ストレートネック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
割とメジャーなので聞いたことのある人も多いかもしれません。
肩が凝る・頭痛・首が痛いなどの症状があり、整形外科でレントゲンを撮ると、
「首が真っ直ぐですね。ストレートネックです。」
このように診断されたことのある人も多いと思います。
ただ、厳密に言うと、
ストレートネック=凝る・痛みが出る
ということではありません。
今回はストレートネックの概要と、ストレートネックからくる首の痛みや肩こり・頭痛・予防方法について解説していきます。
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首の形状と役割
画像を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、首・胸・腰に該当する骨はS字カーブを描く構造となっており、本来、首の形状はカーブがあります。
このカーブを彎曲(わんきょく)といいます。
彎曲しているには理由があり、頭の重さ(3〜4㎏)を支えてくれる役割があります。
支える時にうまく重さを吸収するために彎曲が生理的にあるということになります。
改めて上の画像を見ていただきたいのですが、首は骨が細い構造となっています。
つまり、強度が弱い構造であることが解剖学的にもいえます。
弱い構造ということは、それを補うために他の部分で代償するということになります。
首でいえば、首回りの筋膜や筋肉に負担がかかりやすいということになり、怪我などのトラブルを起こしやすいということになります。
ストレートネックとは
ストレートネックとは、上に書いた「彎曲」が減少してしまい、真っ直ぐに近い状態、あるいは真っ直ぐになってしまっている状態をいいます。
以下の画像はレントゲン画像になりますが、首が真っ直ぐになっているのがお分かりいただけると思います。
引用画像:稲毛整形外科
ストレートネックの原因
原因は多岐に渡りますが、最近特に言われているのは、パソコンやスマホによるストレートネックです。
「テキストネック」などと呼ばれるようにもなるくらい、現代病の1つです。
パソコンやスマホが原因ということで、「うつむく姿勢」が関与してきます。
いわゆる
「猫背」になってしまうのが原因の1つです。

その他の原因としては、
- 柔道・ボクシング・レスリングなどの格闘技
- 交通事故などのむち打ち
- 加齢による骨の退行性変化(年とともに劣化してくる)
このような原因があります。
しかし、首だけを考えると上記のような原因となるのですが、首といえども、脊椎(背骨)の一部となります。
首・胸・腰に該当する骨はそれぞれ頚椎・胸椎・腰椎と呼ばれ、生理的にS字カーブを描く構造となっています。
つまり何が言いたいかというと、頚椎の影響は胸椎や腰椎にも影響するということです。
逆に腰椎の影響は胸椎や頚椎にも影響を及ぼすということです。
このようなことを考えると、ストレートネックだからといって首だけに原因があるとは言い切れません。
もしかしたら、元々腰痛があり、腰椎の形状が崩れていることで頚椎に影響し、ストレートネックになってしまった。ということも考えられます。
このような場合は、首のケアをして一度は痛みが治まったとしても再発を繰り返してしまうことがあります。
つまり、腰のケアもしていかないと根本的には改善しないということになります。
細かいことを言ってしまうと、骨盤や股関節・足などの影響も受けます。
身体全体の動きには様々なつながりがあるということです。
ストレートネックの検査と診断
ストレートネックはレントゲンを撮ればすぐに分かります。
しかし、わざわざ病院に行かなくても分かる簡単なセルフチェック方法がありますのでご紹介します。
この写真のように、壁に背を当て顎を引いてください。
この時に、後頭部が壁につかないとストレートネックが示唆されます。
お尻の筋肉が発達しているなどの理由で後頭部が壁につかないこともあります。必ずしも後頭部がつかないとストレートネックということではなく、あくまでも1つのチェック方法だとご理解ください。
また、過去の記事でご紹介した
「ドクターズミー」というサイトで簡単なチェックができますので、試してみてください。
ちなみに私もやってみたところ、10問中3問該当して、予防をしたほうがいい!との結果でした。
ストレートネックのリハビリ治療と予防方法
ストレートネックを改善させる体操と筋膜リリース
【方法】
- 背筋を伸ばした状態で両手を前に伸ばす。
- その状態をキープしたまま、肩甲骨をより前に押し出すように手を伸ばして20秒間キープ。
- 肘を後ろに引いて、20秒間キープ。手が下がらないように注意する。
- 少し手を前に戻し、手のひらを前に向ける。その状態を20秒間キープ。
【方法】
- タオルを首にかける。
- タオルを前に引っ張り、頭は後ろに引く。
- 顎を引いて、その状態を20秒間キープ。
こちらで紹介した方法は、筋膜リリース方法などでテレビにもたくさん出演されている、理学療法士の竹井仁先生がご紹介している方法です。
一般書もたくさん執筆されていますので、是非手にとって見てみてください。
筋膜系書籍はたくさんありますが、ちゃんと科学的根拠をもって説明しているものは竹井先生のものくらいしかありません。
私も持っていますが、非常におすすめです。
「頭痛」・「首の痛み」・「肩こり」を引き起こすトリガーポイント
首の痛みは肩こりや頭痛と並行して出てくることが多いです。
ストレートネック自体も首の筋肉に負担をかけますので、筋膜や筋肉にトリガーポイントを形成しやすい状況にあるといえます。
首の痛み・肩こり・頭痛を起こす代表的な筋肉とトリガーポイントについて以下の記事でまとめていますので、合わせてお読みいただくと理解が深まります。
日常生活で注意すること
ストレートネックの大半は、パソコンやスマホを操作しているときの姿勢が影響しています。
猫背にならないように姿勢を意識することが大切です。
また、枕が合わないという方は高さを確認することが大切です。
首の隙間ができないように、肩までしっかりバスタオルを入れて傾斜が15〜20°くらいになるように調整してください。
横向きになっている場合も、理想的な横向きの姿勢を保てる傾斜を調整してください。
引用画像:姿勢の教科書
自分なりの高さが分かったら、枕も選びやすくなります。
まとめ
ストレートネックとストレートネックからくる肩こりや頭痛・首の痛みに対する概要と治療・予防方法について解説しました。
ここでは細かく記載しませんでしたが、首の問題だから首だけに問題があるわけではありません。
腰や骨盤、股関節などが原因でストレートネックになることもあるのです。
なかなか痛みが改善しないなどの場合は、早めに専門医や理学療法士などの専門家に診てもらうことが悪化させないためにも必要です。
それでは、参考になれば幸いです。
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