<2017年9月13日修正・追記>
理学療法士の井上(@Rehacon)です。
理学療法士として働いてきた中で足の重要性は極めて重要であることを感じています。
しかしながら、足に着目する理学療法士が意外と少ないと感じてきました。
足を医療現場では「足部(そくぶ)」と言います。
足部とは足首からつま先までを言います。
歩くときに足部は極めて重要なのははっきりと分かっていることです。
足部から得られる情報は足そのものや膝、股関節、腰痛、等々の痛みに関与していることが多いのです。
是非足部の重要性を理解してくださいね。
ここで書く記事は一般の方向けです。
また、新人理学療法士もいいかもしれません。
それでは、足部の基礎をやさしく解説していきます。
目次
足(足部)とは?
足部というのは割と軽視されがちなのですが、臨床上実は凄く重要な場所です。
人間の体全体で名前のついている骨は「206個」あります。
そのうち片方の足には「28個」、両足合せて「56個」も骨が集まっています。
人間の体全体の骨のうちの1/4が足に集まっているという事実を知ってくださいね。
この足の骨はそれぞれお互いに関節を作り、それぞれ動きがあります。
そして1つ1つ筋肉や靭帯、腱などの組織で支えられています。
体重がかかることや地面からの衝撃吸収、こういう負荷にも耐えられる構造になっているんですね。
かつて芸術家のレオナルド・ダ・ビンチは足の事をこう表現しています。
足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である。
骨の内訳
ちょっと専門的になりますがお付き合いください。
片方の足の内訳
- 踵骨(しょうこつ)
- 距骨(きょこつ)
- 立方骨(りっぽうこつ)
- 舟状骨(しゅうじょうこつ)
- 内側・中間・外側楔状骨(けつじょうこつ)
- 第1~5までの中足骨(ちゅうそくこつ)
- 種子骨(しゅしこつ)
- 趾骨(しこつ)(親指2個であとは3個ずつ)
合計28個 左右合計56個
専門家でないと細かな骨の名前などを覚えるのは難しいですので、めちゃくちゃ骨が多い、そして小さな骨が多いと理解してもらうくらいでいいです。
筋肉や腱も20以上あると理解していただく程度でいいです。
足の関節
骨と骨のつながり部分を関節と言いますが、骨が多い=関節も多い ということになります。
かなり専門的になってしまうので細かく関節名は挙げませんが、重要な関節をご紹介させていただきます。
何といっても重要な関節は、「距骨下関節(きょこつかかんせつ)」です。
なぜ重要なんでしょうか。
距骨下関節
上の絵を見ながら確認してくださいね。
距骨は足関節(足首)複合体のキーストーンと言われています。
つまり、鍵になる骨ということです。その距骨の下に踵骨があります。
そのつなぎ目部分を距骨下関節といいます。
距骨と踵骨で構成される関節のため、距踵関節とも呼ばれています。
距骨下関節の動きとしては回内・回外という動きをします。
この回内外の過剰な動きが出てくると、体の後ろから見て距骨が内側に回ってきて、踵骨が内側へ倒れてくる動きをします。
回外は逆です。
これを過回内・過回外と言います。
下の画像は過回内の画像です。
距骨下関節の動きが制限されたり過剰に動いてしまうと、距骨下関節 → 足首 → 膝 → 股関節 → 骨盤の動き → 背骨 → 肩甲骨 → 肩 → 首と下から上に向かって連動して関節というのは影響していきます。
つまり、距骨下関節の影響は全身に影響していくというのがお分かりいただけると思います。
人間は2足歩行です。
つまり立っているときに唯一地面に接しているのが足の裏であって、歩くというのは足の裏から連鎖的に体は動いていく、そしてその反応を受け取るのに感覚も優れているということを覚えてくださいね。
この時に鍵になるのが距骨下関節であり、足のアーチということになります。
足のアーチ
足の裏には内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチという3つのアーチが存在します。
アーチの役割
足のアーチの役割は何といっても衝撃吸収です。
地面に足をついて、その瞬間に床からの衝撃を吸収して、足部や足首、膝、股関節など先ほど説明した全身の衝撃を軽減してくれます。
このアーチが崩れると、足の裏にある足底筋膜(腱膜)というところに負担がかかり、足底筋膜炎や外反母趾、胼胝(たこ)などといった足のトラブルに見舞われます。
このように足の存在はものすごい大きいのですね。
ウィンドラス機構とトラス機構
足部には「トラス機構」と「ウィンドラス機構」という重要な役割があります。
トラス機構
トラス機構の役割は「衝撃吸収」です。
体重が足にかかった時、足底筋(腱)膜は伸ばされうまく衝撃を吸収してくれています。
この機能により足アーチはうまく保たれています。
これをトラス機構といいます。
ウィンドラス機構
ウィンドラス機構の役割は「足部の安定性」です。
簡単にいうと、足の指が上に持ち上がると足底筋(腱)膜は引っ張られ、土踏まずが持ち上がることで硬くなり、足部の安定性に貢献します。
その張力によって足の指をうまく使えるため、歩くときの「蹴り出し」に大きく貢献をします。
これをウィンドラス機構といいます。
このトラス機構とウィンドラス機構、つまり、衝撃吸収機能と足部の安定性の2つの機能によって足元というのは支えられています。
この機能が低下・破綻すると、扁平足や外反母趾、浮き趾などの足のトラブルが起きます。
また、慢性的な足腰の疲労や肩こりまで起こすことも珍しくありません。
トラス機構とウィンドラス機構を保つためには足裏のケアが重要
トラス機構とウィンドラス機構の機能低下が起きないように、セルフケアをすることが大切です。
足裏をケアし、正しい足アーチをつくっていきましょう。
セルフケア方法については、詳しくは以下の記事をお読みください。
まとめ
足部の構造と機能について要約して解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
簡単にまとめると、
- 足は小さな骨の集まりで、小さな骨達や関節達が協力し合って体を支えてくれていること
- 体の土台になってくれていること
- 解剖学的に優れた構造であること
- トラス機構・ウィンドラス機構は足部で重要な機能をもつということ
- 鍵になるのは距骨、距骨下関節であるということ
- 足から全身への影響は大きいということ
このあたりを抑えておく程度で大丈夫です。
それでは、参考になれば幸いです。
もっと詳しく知りたい方は以下の関連記事をお読みください。
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