陸王
観てますか?
超面白いですよね。
池井戸潤原作なので、半沢直樹や下町ロケットと同じ作りやナレーションなのですが、何だかんだハマっちゃいますね。
陸王は理学療法士の視点から観ていても非常に興味深い部分がありますし、役所広司さんのドラマ出演というのもあり、話題性としても申し分ありません。
しかし、役所広司さんの演技力はすごいですね。
来年公開される映画「虎狼の血」も楽しみですね。
さて、今回陸王にもよく出てくるキーワードに、
- 半腱様筋(はんけんようきん)損傷
- ミッドフット着地
この言葉がよく出てきます。
半腱様筋損傷はランナーに多い怪我で有名です。
今回は、半腱様筋損傷とはどんな怪我なのか、どんなリハビリテーションが行われるのか、また、ミッドフット着地とは何なのか?
この点についてお伝えしていきます。
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半腱様筋(はんけんようきん)とは
まず、半腱様筋とはどんな筋肉なのかご説明します。
半腱様筋は、太ももの裏に存在する筋肉の1つで、ハムストリングスという複数の筋肉(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)を構成する1つの筋肉となります。
太ももの裏にある筋肉の主な機能としては、
- 足を後ろに反らす(股関節の伸展)
- 膝を曲げる(膝関節の屈曲)
この2つの動きに大きく関与します。
つまり、半腱様筋損傷は狭義の意味であり、広義ではハムストリングスの肉離れということになります。
半腱様筋損傷(ハムストリングス肉離れ)の原因・症状
半腱様筋損傷とは、筋肉の損傷になるので、肉離れが一般的に多い怪我として知られています。
肉離れはハムストリングスに一番多く、それに次いで、大腿四頭筋(太もも前の筋肉)、腓腹筋(ふくらはぎ)で多いです。
ハムストリングスは、大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋で構成されることは説明しましたが、ランナーに多い原因としては、走行時に足を前に出して踵を接地した瞬間にハムストリングスに機械的なストレスが加わり損傷をします。
つまり、床からの反力が大きく、支えるハムストリングスが支えきれなくなると怪我をします。
原因は、
- 筋肉の過労(オーバーユース)
- 筋肉の柔軟性低下
- 筋肉・筋力のつき方がアンバランス
- ランニングフォーム
- 過去に肉離れしたことがある
こういった原因が挙げられます。
筋肉・筋力のつき方がアンバランスというのは、ハムストリングスは太ももの裏にありますが、その相反する作用をする筋肉は太ももの前(大腿四頭筋)にある筋肉であり、太ももの前後の筋肉のつき方や筋力のバランスが崩れているということになります。
半腱様筋損傷(ハムストリングス肉離れ)の診断と治療
診断は受傷機転や痛みの部位などの問診に加え、超音波検査やMRI検査などで画像所見から診断されます。
ハムストリングス肉離れの重症度分類(奥脇の分類)
Ⅰ型(軽症) |
出血所見のみが認められる |
Ⅱ型(中等症) |
筋腱移行部、特に腱膜の損傷が認められる |
Ⅲ型(重症) |
筋腱付着部の損傷が認められる |
ハムストリングスの肉離れでは、奥脇の分類がスタンダードであり、MRIの結果から判断される分類になります。
Ⅰ型とⅡ型では保存療法が行われ、Ⅲ型では手術が適応されることもあります。
ハムストリングス肉離れの治療は、受傷後48時間以内であれば
RICE処置が行われます。
RICE処置については、以下の関連記事にまとめていますので、合わせてお読みください。
半腱様筋損傷(ハムストリングス肉離れ)に対するリハビリテーション
リハビリテーションでは、肉離れの原因となる事を改善させるということになります。
ですので、筋肉の過労(オーバーユース)・筋肉の柔軟性低下・筋肉、筋力のつき方がアンバランス・ランニングフォームこの原因をどのようにして取り除いていくかということになります。
筋肉の過労(オーバーユース)に対するリハビリ治療
これについては安静が一番です。
RICE処置をしっかり行い、理学療法士や医師に怪我の状態をチェックしてもらいながら、少しずつ運動を再開していくことが重要です。
無理して運動を再開することや、段階を超えて運動負荷を強くしていくことは再発や完治の妨げになるだけなので注意が必要です。
筋肉の柔軟性低下に対するリハビリ治療
筋肉は柔らかければ柔らかいほどいいというわけではないですが、硬すぎてしまっているのは怪我の元です。
ウォーミングアップやクールダウンでのメンテナンスはとても重要ですが、それに加えて、日々のメンテナンスも怪我予防になります。
ハムストリングスの柔軟性だけでなく、相反する作用をもつ大腿四頭筋のストレッチも行うようにしてください。
丁寧に組織の癒着を取り除く必要がありますので、専門家に行ってもらうようにしてください。
筋肉・筋力のつき方がアンバランスに対するリハビリ治療
怪我によって安静にしていた分、少しずつ筋力を取り戻すことが必要です。
柔軟性低下の部分と重なりますが、ハムストリングスの筋力強化だけをするのではなく、相反する作用をもつ大腿四頭筋の筋力強化も合わせて必要です。
ランニングフォームを変える
ハムストリングスの肉離れはランナーに多い怪我で有名です。
ドラマ、陸王でもランニングフォームを変えることを推奨していますが、日本人の多くは踵から接地する「ヒールストライク走法」が多いと言われています。
陸王でも言われている、ミッドフット走法は身体への負担が軽減できるというメリットがあります。
以下に、ミッドフット着地走法についてご説明をしていきます。
ミッドフット着地走法
陸王の中でも、半腱様筋損傷は繰り返されること、それをカバーするにはミッドフット着地走法にすることがピックアップされています。
足は、医療現場では
「足部(そくぶ)」と呼ばれ、足部は
前足部・中足部・後足部と3つに分類されます。
この3つの分類のうち、中足部のことをMid Foot(ミッドフット)と言い、中足部接地で走ることをミッドフット着地走法と言います。
前足部接地走法:フォアフット走法
後足部接地走法:ヒールストライク走法
ミッドフット着地走法のメリットとは
ミッドフット着地のメリットとしては、
足裏全体を使っていく走法
というところです。
厳密には違うのですが、中足部接地を意識していくと、つま先や踵接地と違い、面で支えるようになります。
つまり、点ではなく面で支えるようになるので、床や地面から返ってくる反発力(床反力)をうまく分散させることができます。
床反力をうまく分散させることができれば、膝や股関節、腰などへの衝撃を少なくすることができます。
ミッドフット着地走法に適したランニングシューズ
以前よりミッドフット着地走法を推奨しているニューバランスや、アシックスからもミッドフット着地走法に適したランニングシューズが発売されています。
ハムストリングスの肉離れを起こしたことのある方や、普段ランニングなどで身体に痛みを感じる方は検討してみても良いと思います。
但し、靴を選ぶ際はまず、自分の足に合っているのか、サイズが適切なのかを決める方が大事です。
靴屋さんでも最近はサイズ計測をしてくれるところが増えてきました。
一度、しっかりと自分の足の状態を確認してみることをお勧めします。
このサイトでもいくつか記事を書いているので、合わせて参考にしてみてください。
インソール(中敷き)はやっぱりおすすめ
足部の状態を整え、足に合った靴を選び、尚且つ、インソールを入れると3つの相乗効果を得ることができます。
インソールは怪我の予防にもなりますし、スポーツのパフォーマンス向上にもなります。
今は既製品のインソールでもとても良いものが販売されていますので、是非検討してみてください。
少し前までは、しっかりとオリジナルインソールを作ることをおすすめしていましたが、今は既製品のインソールをベースに、付加パッドなどで微調整するだけでもいいんじゃないかと考えています。
安価でスピーディーに調整することが可能ですし、それだけでも高品質のインソールを提供できる時代になってきたと感じています。
私自身は、以前より
ソルボインソールをおすすめしていますが、その他には、
リアラインインソールを今は非常におすすめしています。
ソルボインソールは人工筋肉と言われるソルボ素材を使用しており、違和感が少ないのが特徴です。
リアラインインソールは立方骨という骨を持ち上げる機能があり、立方骨を持ち上げることで足のアーチを自然に作るという機能になります。また、トゥサポートは靴の中での足の遊びを抑えることができます。
ソルボインソールにはランニング用、リアラインインソールはランニングに使用するのであれば「トゥサポートつき」のものがおすすめです。
但し、リアラインインソールは既製品インソールの中でも高価になりますので、まずはそこまで高くなくてもいいという場合は既製品のソルボインソール、高くてもいいものを使いたいという方は、リアラインインソールをおすすめします。
参考にしてみてください。
【関連記事】
まとめ
今回は、半腱様筋損傷の概要とリハビリテーション、ミッドフット着地走法についてまとめてみました。
ドラマなどでミッドフット着地が注目されると、ミッドフット着地がいいんじゃないか?と考えがちですが、決してそれがいいというわけではありません。
身体の特性や身体機能など各々に合った走法がありますし、従来やってきたことを変えるのはスポーツをする上では非常にリスクとなります。
そういったことを踏まえながら、専門家の指示を仰ぎながらよく相談して決めるようにしていってください。
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
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