在宅でのリハビリを提供していると「めまいがする」と訴える方は非常に多いです。
めまいと言っても様々な原因がありますが、体を起こしたときに起こるめまいに、
起立性低血圧
があります。
在宅に限らず、急性期のケースでは離床させた際に起立性低血圧が起こることがよくあります。
在宅で起立性低血圧が起こる理由としては、寝たきりになっていることが挙げられますが、どうしても活動量が減ってくることが多いため、起立性低血圧は起こりやすくなります。
しかし、起立性低血圧は予防することができますし、改善させることは十分に可能です。
今回は起立性低血圧の概要と予防方法についてお伝えしていきます。
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起立性低血圧が起こるメカニズムと原因
主な原因は以下の通りです。
- 循環血液量の減少
- 姿勢変化に対する静脈系の適応能力の低下
- 心筋機能の低下
文字を見ていただくと分かりやすいかと思いますが、
起きた時、立った時に血圧が下がってしまう状態のことを起立性低血圧と言います。
起きた時や立った時は、血流が重力によって下がってしまいます。
つまり、姿勢の変化などによって血流が下がってしまうことで脳の血流量が減ってしまい、めまいや立ちくらみなどの症状を起こします。
その他にも、顔面蒼白・冷や汗・悪心・動悸などの症状も起こります。
また、長期的に寝たきり状態などが続くことや、脱水、脊椎の手術後などでも認められます。
血圧の調節は自律神経が担っている
血圧の調節は自律神経が担っているのですが、自律神経のバランスが乱れていたり、高齢になってくることで機能が弱くなると血圧の調節がうまくいかなくなります。
自律神経は循環器・呼吸器・消化器などを調整する神経で、交感神経と副交感神経に分類されます。
- 交感神経:興奮時に活性化する
- 副交感神経:リラックス時に活性化する
大雑把ではありますが、このように覚えておくと良いと思います。
自律神経の乱れは低血圧などの症状を引き起こします。
起立性低血圧のガイドラインに基づいた診断基準
仰臥位・座位から立位への体位変換後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか、収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、または拡張期血圧の10mmHg以上の低下が認められた際に起立性低血圧と診断する。
失神は朝起床後、食後・運動後に悪化する。原因としては体液量減少・血管拡張性薬剤が最も多く、高齢者では薬剤によるものが多い。重症自律神経障害に本症が高頻度に合併する。
ガイドライン上では、体位変換後3分以内に、上の血圧が20以上下がり、下の血圧が10以上下がると起立性低血圧、また、上の血圧そのものが90未満に下がった場合に起立性低血圧と診断されます。
あくまでも目安ではありますが、1つの基準になります。
但し、一時的に下がったとしても、比較的すぐに血圧が上がってくればそれほど問題にはなりません。
ですので、体を起こしたり、立ち上がったりした際に適宜血圧の測定をすることが望ましいです。
介助量が多い方の場合などは、手首用の血圧計を使用すると非常に便利ですので、常備しておくことをおすすめします。
私の経験則になりますが、個人差はありますが、上の血圧が30mmHg、下の血圧が20mmHg以上下がると症状を訴える方が多いので1つの目安にしています。
たとえ上の血圧が30mmHg以上下がったとしても、焦らずに様子を見ながら適宜血圧を確認するようにしてください。
離床時には様々なことを考慮しないといけません。
その場合にこちらの本が参考になります。
このサイトでもまとめていますので、以下の関連記事も合わせて参考にしてみてください。
起立性低血圧の予防方法
起立性低血圧の概要についてここまで説明してきましたが、起立性低血圧が頻繁に起きてしまう高齢者の方は多いです。
起立性低血圧の予防をするポイントとしては、
- 弾性ストッキングを利用する
- 弾性包帯を巻く
- 起きる前に下半身の運動を行う
- 日頃から下半身の筋肉を使うようにする
こういったことが予防になります。
弾性ストッキングを利用する
弾性ストッキングを着用することで、血流が必要以上に下がらなくなります。
また、筋肉を強制的に圧迫しているため血流を戻しやすくなります。
弾性ストッキングはたくさん市販されていますので、必要に応じて購入してもらうこともあります。
弾性ストッキングは着用しておけるメリットがありますが、着用するのに大変だったり、気軽に脱ぐことができない、圧迫されすぎて痛い、などがデメリットとなります。
弾性包帯を巻く
弾性包帯も弾性ストッキングと同じ目的になります。
弾性包帯のメリットは、一時的に巻いて対応できるのに対して、1人で巻くのが大変であったり、巻き方によっては簡単に取れてしまったり、効果が巻く人によってバラつきがあるというのがデメリットとなります。
起きる前に下半身の運動を行う
下半身の筋肉を使うことで血流を戻しやすくなります。
また、筋力を使うことで心筋にも良い影響を与えますので、体を起こす前に軽く運動を行うと予防できます。
以下の写真のように、足を持ち上げる・お尻を持ち上げる運動を行います。
また、臥位のまま足首の上下運動も行うようにしてください。
日頃から下半身の筋肉を使うようにする
これも上記と同様ですが、なるべく下半身の筋力を日頃からつけておくと起立性低血圧の予防になります。
定期的な運動を心がけましょう。
上記写真の運動に加え、腰かけることが可能であれば、腰かけた状態のまま足首の上下運動も行うとより効果的です。
まとめ
起立性低血圧の概要と予防方法についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
医療や介護現場では頻回に見られる症状だと思います。
定期的な血圧測定や日頃の平均血圧、予防方法などが分かっていれば十分に対応できますので、参考にしていただけたらと思います。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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