尿漏れの原因『骨盤底筋群』の概要とセルフケア・トレーニング方法について解説をします。

骨盤底筋群

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<2017年9月25日修正・追記>

理学療法士の井上(@Rehacon)です。

 
 
最近「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)」という言葉をよく聞くようになりました。
 
骨盤底筋群は「尿漏れ」予防として非常に有名ですが、安定した姿勢や呼吸などにも貢献します。
 
今回は骨盤底筋群の構造や機能などの概要と、自宅でできる簡単なセルフケア方法をご紹介していきます。
 

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骨盤底筋群とは

 
骨盤底筋群は、名前の通り、骨盤の底に広がる薄い筋肉の集合体を総称したものを言い、3層構造からなります。
 
骨盤底筋群 骨盤底筋群
 

第1層(表層)

  • 外肛門括約筋
  • 外尿道括約筋
  • 球海綿体筋
  • 坐骨海綿体筋
 

第2層(中間層)

  • 深会陰横筋
  • 浅会陰横筋
 

第3層(深層)

  • 肛門挙筋
    ①恥骨直腸筋
    ②恥骨尾骨筋
    ③腸骨尾骨筋
 
これら複数の筋肉の総称を「骨盤底筋群」と呼びます。
 
1つ1つの筋肉をみると、とても細かくて小さな筋肉だとお分かりいただけると思います。
 
 

骨盤底筋群の機能

 
主な機能としては、5つあります。
 
  1. 内臓を支える
  2. 呼吸機能との連携
  3. 安定した姿勢を作る
  4. 排泄(排尿・排便)への関与
  5. 妊娠・出産への関与
 

1.内臓を支える

骨盤底筋群は構造的にハンモックのような形状になっていて、膀胱や子宮・直腸などの内臓を支える役割りがあります。
 
筋力低下や筋肉そのものの柔軟性が悪くなると内臓をうまく支えられなくなってしまいます。
 
 

2.呼吸機能との連携

骨盤底筋群と呼吸筋である「横隔膜」は連動して働きます。
 
横隔膜
 
横隔膜というのは息を吸うと胸郭が開き、空気を取り込みやすいように働き、息を吐くと肺が萎み、胸郭が閉める働きをします。
 
この横隔膜と骨盤底筋群は連動して動いています。
 
つまり、骨盤底筋群の機能が落ちていると呼吸機能へも悪影響を及ぼしてしまいますが、骨盤底筋群の機能がよくなってくると呼吸機能へも好影響を与えるということになります。
 
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3.安定した姿勢を作る

骨盤底筋群の第2層(中間層)というのは、腹横筋(ふくおうきん)と筋膜上で連結し、さらに、腹横筋は多裂筋(たれつきん)と筋膜で連結をしています。
 
多裂筋・腹横筋
 
腹横筋はコルセット筋とも呼ばれるのですが、腰痛などにも影響し、多裂筋も深層にあるインナーマッスルでこちらも腰痛との関係性があります。
 
多裂筋はインナーマッスルであるため、姿勢を保つ筋肉としても非常に重要な筋肉になります。
 
つまり、骨盤底筋群の機能は多裂筋に影響を及ぼすということになります。
 
よって、安定した姿勢にも関与するということになります。
 
この辺りのことは、仙腸関節障害とも非常に関連してくることで知られています。
 
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4.排泄(排尿・排便)への関与

女性の骨盤底筋群は、出産や肥満・便秘・加齢・ホルモンバランスの崩れなど、様々な要因によって機能の低下が起こります。
 
骨盤底筋群は筋力低下が起こることで、膀胱や子宮が下がり、尿道を締めにくくなるために「尿漏れ」が起こりやすくなります。
 
いわゆる「尿失禁」です。
 
尿失禁を予防していくためにも、骨盤底筋群を鍛えておくことが大切です。
 
 

5.妊娠・出産への関与

妊娠中は骨盤内の臓器だけでなく、大きくなる子宮も骨盤底筋群が支えています。
 
出産では、赤ちゃんが産道を通るため、骨盤底筋群は強く伸ばされてしまったり、損傷を受けやすくなります。
 
この妊娠・出産を機に尿漏れしやすくなるということがあります。
 
 

骨盤底筋群のセルフケア・セルフトレーニング方法

 
ここまで簡単ではありますが、骨盤底筋群の構造や機能について解説をしてきました。
 
骨盤底筋群は緩むと尿漏れを起こしやすいというのは説明してきた通りですが、硬すぎても良い機能を発揮できないというデメリットもあります。
 
柔らかすぎず、硬すぎず、バランスのとれた柔軟性が必要になります。
 
それでは以下に、骨盤底筋群のセルフケア方法について解説をしていきます。
 
 

骨盤底筋群の緩ませ方

骨盤底筋群の緩ませ方

【方法】

  • 正座で両手を前に出し、腰をゆっくり曲げていきます。
  • 骨盤底筋群が伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。

 

骨盤底筋群の緩ませ方 骨盤底筋群の緩ませ方

【方法】

  • 仰向けになり、両膝の裏に手を当て足を持ち上げる。
  • ゆっくりと膝を胸に近づけながら、頭もお臍を覗くように持ち上げる。
  • 骨盤底筋群が伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。
 
 

骨盤底筋群のトレーニング

ドローイン

ドローイン ドローイン
【方法】
  • お腹に手を当てて、ゆっくりとお腹を凹ませる。
  • 凹ませたところで10~20秒間キープ。

 

ケーゲル体操

ケーゲル体操は骨盤底筋群を調べていると必ず出てくるトレーニング方法になります。

ケーゲル体操
 【方法】
  • 仰向けになり、両膝を立てる。
  • 骨盤底筋群を矢印方向に閉めるように力を入れる。
  • 10~20秒間キープ。

 

その他の方法

骨盤底筋群トレーニング

【方法】

  • 四つ這い位になり、骨盤底筋群を矢印方向に閉めるように力を入れる。
  • 10~20秒間キープ。

 ブリッジ運動(骨盤底筋群トレーニング)骨盤底筋群トレーニング

【方法】

  • 仰向けになり、両膝を立てる。
  • お尻を上に持ち上げて10~20秒間キープ。
  • 両膝が外に開かないように注意する。

 

まとめ

 
骨盤底筋群の概要とセルフケア方法について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
高齢化だけではなく、女性は出産を機に尿漏れに悩まされることがあります。
 
しかし、これは生理的なものですので、あまり気にしないようにしてください。男性の理解も必要です。
 
また、予防は妊娠中からもできます。
 
妊娠中の必要以上の安静はデメリットが多いとも言われます。
 
今は妊娠中に行うヨガなども専門家が活発に行なっていますので、医学的知識のある専門家が行うサロンに相談してみるのも良いと思います。
 
それでは、参考になれば幸いです。
 
 

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おすすめの参考書

 
ガスケアアプローチは理学療法士の中でも非常に有名なアプローチですが、骨盤底筋群のケアを理論的に説明している一冊。必読書です。
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。