サルコペニアの判断(評価)のポイントはたったの4つ!

サルコペニアの判断(評価)のポイントはたったの4つ!

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合同会社Relate代表理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
ちょうど先日、「低栄養虚弱高齢者に対するリハビリテーションの考え方と介護ケアへの活かし方」というテーマでお茶の水ケアサービス学院さまにて講師をしてきました。
 
5時間話すというのは初めての事だったので、ちょっと不安もあったのですが、何とか無事に終えることができ、改めて話すボリュームのコントロールが難しかったなぁというのが自分の課題として残りました。
 
少し予定より早く終わってしまったので、受講生の方々には大変申し訳なかったと思っています。
 
今回、低栄養というキーワードでご依頼をいただきましたが、資料を作るにあたり改めて深堀しましたが、サルコペニア・フレイル・ロコモは共通点が凄く多いです。
 
アセスメント(評価)内容、栄養、運動、これらの共通点は非常に多いので各々で覚えるのではなく、セットにして覚えてしまったほうがいいです。

その共通事項をまとめていきたいなと思っていますが、まずはそれぞれのポイントをまとめて公開していきます。

今回は、サルコペニアについてのポイントのまとめとなります。

サルコペニアの全体の概要については、過去に記事にしていますので、全体像を知りたいという方は以下の記事をお読みいただけますと幸いです。
「サルコペニア」とは?診断基準や栄養・予防方法について分かりやすく解説します。

サルコペニアは下半身(下肢)の筋肉にのみ着目されている

サルコペニア 下半身(下肢) 筋肉

まずサルコペニアですが、サルコペニアという言葉はギリシャ語で、

 
  • Sarco 筋肉
  • Penia 喪失、減少、不足
 
となります。
 
ですので、サルコペニアは「筋肉の喪失・減少・不足」という意味になります。
 
ここで理解したいのは、筋肉だけにフォーカスがあてられているということです。

また、筋肉量の減少率について、下肢・上肢・体幹の順に減少率が高いという報告が論文で多数発表されている背景からか、運動方法については下肢の筋トレが推奨されています。

 
 

サルコペニアの基本アセスメント ポイントは2つ!

続いてアセスメントについてですが、本来サルコペニアのアセスメントは欧州のワーキンググループが発表している論文「EWGSOP」をベースとしますが、日本ではアジアワーキンググループが発表している「AWGS」を用いています。

そのAWGSでは、サルコペニアの判断をする基本アセスメントは以下の2つです。

  1. 握力測定(男性26kg、女性18kg未満)
  2. 歩行速度(0.8m/秒)
 
この2つが基本となります。
 

まず握力について、握力は身体全体の筋力がどの程度あるのか指標にすることができます。実際に相関も高く、数多くの論文も発表されていることからこの指標が採用されているのだと考えられます。

歩行速度に関しては、横断歩道を渡れるかというものが1つの指標になります。というのも、日本の横断歩道は1m/秒あれば安全に渡れるように設計されているからです。この指標はフレイル・ロコモでも同じものが採用されています。

但し、これでは簡単にチェックできる指標とはならないため、10m歩行テストを用い、歩行速度の指標にすると数値化もできるため私は推奨します。10m歩行テストは転倒リスクの指標にもなるため、一石二鳥となります。

 

歩行速度の算出方法 10m歩行テスト

距離÷時間

これで算出することが可能です。

10mを10秒間で歩ければ1m/秒なので、ここが1つの指標となります。0.8m以下では、12.5秒というのが指標となります。

 

筋肉量のアセスメントには下腿周囲長を活用する

本来、筋肉量の評価には、DXA値・BIA値が用いられます。

ですが、特定の機器が必要なため、リハビリの現場や介護現場でこれを計測するのは困難です。現場ですぐに活かせる方法として、下腿周囲長が推奨されています。

下腿周囲長 ふくらはぎ
                                                                   画像出典:イラストで学ぶ 高齢者リハビリテーション栄養

ふくらはぎの一番太いところで周径しますが、それでは主観的となりやすいため、検査の再現性を担保する必要がありますので、膝蓋骨下縁(膝のお皿の下)から10㎝の位置から周径などと、周径する場所を決めて行うことが重要です。

 

下腿周囲長のカットオフ値

在宅高齢者:男性34㎝ 女性33㎝
入院高齢者:男性31㎝ 女性30㎝

このように1つの指標としてカットオフ値が提示されていますが、30㎝以下でサルコペニアが強く示唆されると理解しておけば間違いないでしょう。

 

サルコペニアの判断をフローチャートで理解する

サルコペニアをフローチャートで理解

フローチャートを見ていくと理解しやすいため、上記画像を活用していただければと思います。上述したように、DXA値やBIA値の代替として筋肉量の判断は下腿周囲長を行うことを前提に表では黄色背景となっています。

 

サルコペニアの判断のポイントはたったの4つ!

まとめますと、以下の4つがポイントとなります。

  1. サルコペニアは「筋肉(下肢)」だけにフォーカスされている
  2. 基本アセスメントは「握力」と「歩行速度」
  3. 上記いずれかが該当する場合、「下腿周囲長」を行う
  4. 下腿周囲長のカットオフ値は30㎝以下

以上が4つのポイントとなります。このあたりをポイントとして理解しておくと、サルコペニアの判断として非常にすっきりするのではないかと思います。

次回は、フレイルのポイントを整理してお届けします。

 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。