フレイル(虚弱)は身体的だけでなく認知・精神・心理・社会・オーラル・スキンと幅広く考える必要がある

フレイルとは?身体的・認知的・精神心理的・社会的・オーラル・スキン

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合同会社Relate代表理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
さて、先日公開しましたサルコペニア判断のポイントに続きまして、今回はフレイルについてまとめていきたいと思います。
 
フレイルは虚弱という意味なだけに、フレイルという言葉を聞くと、どうしても身体的な部分を想起しがちです。
 
ただ、フレイルは決して身体的なものだけでなく、より幅広く捉える必要があります。
 
この記事においては、フレイルとは何なのか、フレイルの種類、その判断とアセスメント方法についてまとめます。

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フレイルの定義

フレイルの定義

フレイルは2014年5月に日本老年医学会が定義しました。
高齢者が筋力や活動低下している状態を「フレイル=虚弱」と定義しています。

フレイルは本来人が持っている、良い状態を保つ・良い状態まで回復する機能である「恒常性機能」が低下した状態を指します。

 

フレイルの種類

冒頭にも書いたように、フレイルというのは身体的なものだけでなく、様々なフレイルが存在します。
 
  • 身体的フレイル
  • 認知的フレイル
  • 精神心理的フレイル
  • 社会的フレイル
  • オーラルフレイル
  • スキンフレイル
 
このように、包括的にフレイルを捉えることが必要です。
 
それでは以下に、各々の内容を簡単にまとめていきます。
 
 

身体的フレイル

身体的フレイルについて、結論から言いますとサルコペニアの対策をしましょう。ということになります。
 
サルコペニア対策には栄養と運動が欠かせませんが、もう一つの原因としてポリファーマシーというものがあります。
 
ポリファーマシーは薬剤絡みなので、専門外である私の方からは発言できませんので、こちらは除外させていただきますが、基本的にはサルコペニア対策と理解してしまっていいと思います。
 

身体的フレイルについてのアセスメントでは、日本の厚生労働省が日本版を作成したJ-CHS基準と自分でできるアセスメントということで開発された基本チェックリスト、この2つを活用することをおすすめします。

J-CHS基準
画像出典:ヘルスプロモーション研究センター フレイルとは:概念や評価法について

基本チェックリストについては、身体的・認知的・精神心理的・社会的・オーラル・スキンと包括的な指標となっています。

このJ-CHS基準を見て気づく方もいると思いますが、筋力低下・歩行速度の内容はサルコペニアの判断基準と全く同じ内容になります。

ちなみに、この評価バッテリーを使わないといけないなどの決まりはありません。施設単位で統一することが望ましいでしょう。

非常に簡易的にチェックできるものですので、是非活用してください。基本チェックリストは以下のページから無料でダウンロードできます。
 
 
 

認知的・精神心理的・社会的フレイル

認知的・精神心理的・社会的フレイル

認知的フレイルに関して、認知症だと診断されている場合は否定されます。

 
定められたアセスメント方法はありませんので、HDS-RやMMSEなどを活用することが望ましいといえます。
 
精神心理的フレイルに関しても同様に定められたアセスメント方法はありません。こちらは、躁うつや無力症など認知的フレイルよりもより幅広く捉えていく必要があります。
 
おかしいと思ったら、専門医を受診することが望ましいです。
 
社会的フレイルに関しては、以下のチェックリストが用意されています。
 

①独居である
②昨年に比べて外出頻度が減っている
③友人の家を訪ねている
④家族や友人の役に立っていると思う
⑤誰かと毎日会話している

これらの質問に対してはい/いいえで答えてもらい、2項目以上に該当すれば社会的フレイル、1項目に該当する場合は前段階の危険信号ということになります。

 

オーラルフレイル

オーラルフレイル

オーラルフレイルは、口腔機能の低下を意味します。オーラルフレイルは個人的にも非常に重要だと思っています。

 

発表されている論文によると、地域高齢者の16%にオーラルフレイルが認められ、その16%の方をその後2年間追跡調査した結果、身体的フレイル2.4倍、サルコペニア2.2倍、要介護認定2.3倍、死亡2.2倍という結果が出ています。

つまり、オーラルフレイルを適切且つ迅速に対応することができれば、これらを回避できるということになりますので、非常に重要なポイントになると思います。

オーラルフレイルも基本チェックリストが用意されていますので、うまく活用すると良いでしょう。以下の日本歯科医師会のページよりご覧ください。

⇒ 公益社団法人 日本歯科医師会

 

スキンフレイル

スキンフレイル

スキンフレイルは皮膚のフレイルとなります。
皮膚が乾燥することで表皮や真皮が薄くなり、皮膚トラブルを起こしてしまう可能性のある状態をいいます。

保湿剤などでスキンケアすることはもちろんのこと、内部環境から変えるということで「栄養」はとても重要です。

皮膚で栄養となると、コラーゲンがフォーカスされますが、コラーゲンとして合成させるには「たんぱく質」をしっかりと摂取することが大事です。

 

まとめ

フレイルの概要とフレイルの種類、フレイルのアセスメントに活用できるチェックリストをまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

身体的フレイルについては、特にサルコペニアとの関連性が強いので、合わせて覚えてしまいましょう。

栄養や運動については、サルコペニア・フレイル・ロコモで共通点が多いので、そちらは改めて近日中にまとめて公開していきます。

少しでも参考になれば嬉しいです。それでは、最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。