『栄養ケアなくしてリハビリなし』栄養とリハビリテーションについて誰でも分かるように解説します。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。

リハビリというのは、筋トレや歩く練習などがみなさんのイメージでしょうか?

確かにそれはそうなんですが、この筋トレをしたり歩く練習をするにしても避けては通れないものがあります。

それは、

栄養

です。

栄養がなければ筋トレしても歩く練習をしても効果はありません。むしろ負担をかけることになりかねません。

そうならないためには、栄養の指標を確認して栄養状態に応じて、

  • 運動の内容
  • 運動の種類
  • 運動の量

を決めていくことが重要です。

「栄養ケアなくしてリハビリなし」

今日は栄養とリハビリテーションについて誰でも分かるように解説していきます。

【Keyword】栄養・血清総蛋白・アルブミン・リハビリ
【対象者】PT・OT・ST・看護師


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低栄養の定義

 
低栄養は英語でProtein Energy Malnutritionで「PEM」と略されます。
 
人間の体は栄養状態が悪くなると、最初のうちは体内に元々貯蔵されている栄養素を利用することで体力を保持しようとします。
 
  1. 糖質
  2. 脂肪
  3. タンパク質
 
この順に利用していきます。
 
低栄養状態になると、生活活動が低下し、体重減少や骨格筋の筋肉量や筋力の低下、体脂肪の低下、感染などを起こしやすくなります。
 
そして血液中のタンパクが低下する「低アルブミン血症」などが認められます。
 
 

低栄養の原因

 
低栄養の原因はたくさんありますが、「食欲低下」・「食事量の減少」が主な原因になります。
 
高齢者であれば、活動量が減ればお腹はそれほど空かないですし、嚥下機能が低下していれば食事量が少なくなったり食べる物が限定されたり、一人暮らしであれば寂しさなどで精神的な要因から食欲が出ないなど色々です。

補足
タンパク質は筋肉や血液、臓器を作る材料になります。若い人でも、過度なダイエットによってタンパク質が不足し、貧血や脳出血、骨折など様々な病院のリスクが最近は問題視されています。「新型栄養失調」などと言われてますね。
 
 

低栄養は様々な問題を起こす

 
低栄養になり運動機能が低下してくると生活活動が低下し、「寝たきり」を引き起こす可能性があります。
 
例えば飲み込みが悪い「嚥下障害」のある方なら、うまく介助して食事摂取するようにしないと簡単に低栄養になります。
 
さらに栄養状態が悪くなれば「褥瘡」、いわゆる床ずれが起き、治るのに時間がかかるようになります。
 
このように低栄養は様々な問題を起こすことが分かりますね。
 
 

栄養の指標になるものとは

 
リハビリを行う上で栄養状態を確認する必要な検査データとしては主に2つに着目します。
 
  1. 総蛋白(TP)
  2. アルブミン(alb)
 
この2つです。

注意
これ以外にもトランスサイレチレン、総リンパ球数、総コレステロールなども栄養の指標になります。
 
実はこれ、凄い重要なんですが確認していない療法士が非常に多い。
 
はっきりと言いますが、栄養状態を確認せずにリハビリを提供している療法士は全くもって問題外です。

見覚えのある療法士がいたらすぐ明日から確認してください。

 
栄養はリハビリをするうえで基本中の基本です。
 
もちろん対象外もあって、整形外科外来に来るクライアントさんは外来で来れるくらいですから基本栄養は問題ない方が殆どです。
しかし、急性期や回復期、療養型、訪問にいる療法士では基本中の基本ですよ。
 
 

総蛋白とアルブミンの基準

 

総蛋白(TP)

基準値:6.5~8.0g/dl(成人)

血液中の蛋白の量を調べる検査になります。
 

アルブミン(alb)

基準値:3.7~5.5g/dl(成人)

血液中のアルブミンの量を調べる検査になります。

アルブミンは総蛋白の50%~70%を占めています。

アルブミンは、食事から摂取した蛋白質などを材料として肝臓で作られるため、食事の摂取不足や吸収不良があるとアルブミンの材料である蛋白質が不足するため低値となります。

 
 

検査数値とリハビリ

 
では、どの程度の数値ならどの程度の運動が行えるのかということを説明していきます。
 

総蛋白(TP)

6.0以下

6.0以下では「ネフローゼ症候群」の診断基準の参考値にもなります。

ネフローゼ症候群は腎機能の問題ですので、リハビリとしても注意が必要な数字になります。

 
 

アルブミン

数値 栄養障害 身体機能低下
2.8~3.6 軽度栄養障害 筋肉量減少
2.0~2.7 中等度栄養障害 免疫機能障害、創傷治癒障害
2.0未満 高度栄養障害 生体適応の障害

高度栄養障害

基本的には拘縮予防や認知症予防、褥瘡予防など「コンディショニング」「リラクゼーション」を目的に行います。
運動負荷は殆どかけません。

記事の最初にも書いたように、この状態で負荷をかけても全く効果はありません。それどころか負担をかけてしまうことになります。

 

中等度栄養障害

「離床」を進めましょう。
運動負荷としては「2.5以下」では基本負荷をかけません。せいぜい自分で動かす程度(activeでの運動)に留めます。

「2.5以上」で低負荷から徐々に運動を開始していきます。

 

軽度栄養障害

「3.0以上」あればそんなに運動負荷量を考えなくても大丈夫です。

ただし、運動負荷は少しずつ上げていくようにします。疲れの範囲内で運動をすすめていきます。

 
 

まとめ

 
栄養の数値指標と数値と運動量について簡単ですが説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
 
栄養の重要性がわかっていただけたと思います。
 
そして、「栄養とリハビリテーション」の密接な関係と重要性をご理解いただけたと思います。
 
こんなこと信じたくないですが、私がこれまで勤めてきた病院の療法士の方々で栄養に着目してリハビリをすすめてる方は非常に少数派でした。
 
今は分かりませんが、私が学生だった頃の療法士教育の中では、栄養について触れることがあっても細かく勉強することは実は少なかったのです。
 
臨床に出て重要性を強く感じました。
 
ここの記事では大まかには触れていますが、今では認定資格の「NST専門療法士」というのもありますし、もっと細かく勉強したい方はいいかもしれません。ただ、認定されるには非常に長い道のりのようです…
 
 
 
 

おすすめ書籍

 
栄養とリハビリのことを勉強するなら、若林先生執筆のものがおすすめです。

若林先生は医師ですが、リハビリテーションに非常に理解のある先生だと思います。

栄養とリハビリテーションは切っても切れない関係にあります。

以下におすすめ書を3つご紹介しますので、参考にしてください。

 

参考資料

 
・厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
・健康長寿ネット-低栄養
 
 

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ABOUTこの記事をかいた人

井上 直樹

リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。