「膝蓋骨(しつがいこつ)」というのは、いわゆる「膝のお皿」のことを言います。
膝蓋骨の骨折は、転倒して膝を打ったり、交通事故で膝を打ったりすることで起きる骨折です。
頻度としてはそれほど多い骨折ではありませんが、なかなか膝の痛みや腫れが引かない場合は注意が必要です。
骨折をしても、状態によっては手術をしなくてもいい骨折です。
今回は膝蓋骨骨折の概要とリハビリテーションについて解説をしていきます。
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膝蓋骨の概要
まず、膝蓋骨はどんな骨なのか説明をしていきます。
画像を見ていただけるとお分かりいただけますが、膝蓋骨は膝のお皿と言われる骨で、丸っこい比較的小さな骨となります。
この膝蓋骨の上には、大腿四頭筋腱(だいたいしとうきんけん)というスジが付着しており、そのまま膝蓋骨を覆うように膝蓋腱膜(しつがいけんまく)という膜で覆われています。
また、その膜は膝蓋靱帯(しつがいじんたい)という靱帯で連結しており、膝蓋骨の下に付着します。
つまり、膝の関節を上下で結んでいますので、膝の曲げ伸ばし(屈曲・伸展)に影響します。
膝蓋骨骨折の症状と診断
膝蓋骨骨折は冒頭に説明したように、転倒や交通事故などにより起こる骨折です。
膝蓋骨骨折の症状
- 膝の痛み
- 膝の腫れ
- 膝の発赤(赤くなる)
- 膝の曲げ伸ばしがしにくい、できなくなる
このような炎症所見と機能障害が起こります。
膝蓋骨骨折の診断と分類
膝蓋骨骨折の診断は上記のような症状と、レントゲン撮影にて診断されます。
レントゲンだけでは分からない粉砕骨折もあり、CT撮影がされることもあります。
骨折は、
この3つに分類され、この中でも「横骨折」が最も多い骨折になります。
膝蓋骨骨折の治療とリハビリテーション
手術
膝蓋骨骨折の治療は骨折の状態によって、手術が必要になるか手術をせずに保存療法になるかを医師が選択します。
手術ではプレート固定術やワイヤー固定術などが行われ、保存療法では一定期間ギプス固定が行われます。
ギプス固定の期間としては概ね3〜4週間程度になりますが、骨のつき具合などによって前後します。
リハビリテーション
この記事では、保存療法を中心としたリハビリの方法について説明をしていきます。
膝蓋骨骨折におけるリハビリの目的は、
- 膝関節の可動域の改善
- 膝関節の筋力の改善
- 膝関節周囲の痛みを出さないこと
この3つが主な目的となります。
保存療法の場合、ギプス固定やニーブレイスというもので固定することが一般的です。
前述した通り、固定期間としては概ね3〜4週になりますが、骨折の状態に応じて前後します。
この辺りは主治医が判断をして決めていきます。
固定期間が長くなればなるほど、関節は動きづらくなり、筋力も落ちていきますので、リハビリでは関節可動域訓練や筋力強化訓練といったことが中心となります。
以下に、それぞれの方法を説明していきます。
骨折からの期間でリハビリの内容は変わります。どの時期にどんなリハビリをしたらいいのかは個人差がありますので、主治医や理学療法士などの専門家に聞きながら行うようにしてください。
関節可動域訓練
病院によって違いはありますが、術後であれば、CPMという機器を使って膝の曲げ伸ばしを強制的に行うことがあります。
保存療法では、理学療法士などの専門家が徒手的に膝の曲げ伸ばしを行い、膝蓋骨の動きも悪くならないようにモビライゼーションという技術を用いて行います。
筋力強化訓練
筋力強化訓練では主に、
大腿四頭筋
のトレーニングが行われるのが一般的ですが、大腿四頭筋だけでなく、相反する筋肉であるハムストリングスの強化も並行して行うことが大切です。
また、足の指の機能低下も起きていることが多いですので、
タオルギャザーのような足の指のトレーニングも行います。
タオルギャザーは膝とは直接関係ありませんので、膝を固定している期間も積極的に行うようにすることが大切です。
大腿四頭筋トレーニング
【方法①】
- 椅子に腰かけて、背筋を伸ばしたまま足を伸ばす
- 足を伸ばしたまま、つま先も上に持ち上げる
- その状態を10秒間キープ
【方法②】
- 仰向けになり、足を伸ばしたまま上に10㎝程度持ち上げる
- もう一方の足は膝を立てる
- 足を持ち上げたまま、つま先も上に持ち上げる
- その状態を10秒間キープ
ハムストリングストレーニング
【方法①】
- 立ったままセラバンドやスポバンドを使用して、足に引っかける
- 足を後ろに引く
【方法②】
- 仰向けになり、クッションなどを小さな台に置いて足を持ち上げる
- そのクッションをつぶすように下に押し付ける
- もう一方の足は膝を立てる
タオルギャザー
【方法】
- 椅子に腰かけて、足の裏にタオルをセットする
- 足の指でタオルをたぐり寄せる
0 D&M(ディーアンドエム) 2011-11-23
協調性訓練
関節可動域の改善や筋力の改善はとても大事ですが、関節がバランスよくスムーズに動くためには協調性が必要です。
そのために、膝蓋骨骨折ではキャスターボードやボールなどを使用した協調性訓練も大切になります。
椅子に腰かけて、キャスターボードやボールを足の裏にセットし、膝の曲げ伸ばしを行います。膝が外や内に向かないように真っ直ぐ動かすようにしてください。
膝周りの筋筋膜の柔軟性も整える
固定期間が長く続くと、使っていなかった筋膜や筋肉、皮膚などの軟部組織は癒着が起こりやすくなり、
トリガーポイントを形成してしまいます。
そうならないために、専門家にマッサージやストレッチ、筋膜リリースなどの徒手的な治療を行ってもらうことが大切です。
また、リハビリの前段階で行うと運動療法もより効果的になります。
膝蓋骨骨折を過去にしていて、骨はくっついているのに痛みが残っている方は、このトリガーポイントが原因になっていることも考えられるので、セルフケアをすることをおすすめします。
以下の記事でまとめていますので、是非参考にしていただければと思います。
まとめ
膝蓋骨骨折の概要とリハビリテーションについて解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
頻度としては少ない骨折ですが、ちょっとしたことで折れてしまったりすることがあります。
たいしたことないと思っていても実は骨折してたということは珍しくありませんので、転んで膝を打ってしまった、膝をぶつけて痛みがなかなか引かない、腫れが引かないという場合は、早めに専門家を受診することをおすすめします。
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
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