これから少しずつアナトミー・トレインについて解説をしていこうと考えています。
筋膜のことを勉強するには色々とありますが、一番メジャーなのは、
アナトミー・トレイン
です。
アナトミー・トレインを勉強しておけばいいかといえばそうではないですが、理解しておくことは必要ですし、臨床上、非常に役立ちます。
今回はアナトミー・トレインで提示されている「スパイラルライン(SPL)」についての概要と、トリガーポイントを活用した臨床への活かし方を解説していきます。
本記事は専門家向けの内容になっています。
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スパイラルライン(SPL)とは
この画像のように身体全身に巻きついている筋膜のラインをスパイラルライン(SPL)といいます。
他のラインとは異なり、頭から下に向かって走行するのが特徴です。
主に身体の回旋に作用するラインになります。
スパイラルライン(SPL)の筋膜の走行と骨の付着部位
筋膜の走行
- 頭・頸板状筋
- 大・小菱形筋
- 前鋸筋
- 外腹斜筋
- 内腹斜筋
- 大腿筋膜張筋
- 腸脛靭帯
- 前脛骨筋
- 長腓骨筋
- 大腿二頭筋
- 仙結節靭帯
- 仙腰筋膜
- 脊柱起立筋
このように頭から逆の肩・脇・腹部を下に向かって走行し、また逆方向に向かい、腹部から下肢外側、足の裏を通り、下肢後面、脊柱起立筋を上行し、頭に到達します。
身体全体を巻き込んでいる筋膜の走行になります。
骨の付着部位
- 後頭骨稜/乳様突起/軸椎横突起
- 下部頚椎棘突起/上部胸椎棘突起
- 肩甲骨内側縁
- 外側肋骨
- 腹部腱膜、白線
- 腸骨稜/上前腸骨棘
- 脛骨外顆
- 第1中足骨底
- 腓骨頭
- 坐骨結節
- 仙骨
- 後頭骨稜
スパイラルライン(SPL)の機能
スパイラルラインは身体を二重らせんとなり、すべての平面において身体のバランスを保ちます。
つまり、身体の回旋動作に関与し、バランスを調整する機能があります。
スポーツでは身体の回旋動作は多いため、アスリートやスポーツ愛好家の方にとって非常に重要なラインとなります。
ただし、ここで説明はしませんが、SPLの多くはSBLやSFL・LLなどの他のライン(カーディナルライン)とも関わりが強く、SPLに問題があればこれらのラインにも影響を及ぼし、逆も然りです。
SBL:スーパーフィシャルバックライン
SFL:スーパーフィシャルフロントライン
LL:ラテラルライン
これらは今後の記事で解説する予定です。
スパイラルライン(SPL)上にあるトリガーポイント
筋筋膜上に起こるトリガーポイントをある程度理解しておくと臨床で非常に役立ちます。
画像上に赤い点で示した部分はトリガーポイントが形成されやすい部位になります。
この画像のようにスパイラルライン(SPL)上にはたくさんのトリガーポイントがあります。
トリガーポイントは治療点となり得るので、覚えておいて損はありません。
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スパイラルライン(SPL)を治療にどう活かすか
この筋膜の連結をどう活かすかは人それぞれです。
私が個人的に行うロルフィング技術を用いた筋膜リリースでは、このラインを直接リリースしていきます。
アナトミー・トレインの著者である、トーマス・マイヤースもこの技術を使っています。
これを学びたい方はこちらの参考書がおすすめです。
ジェームズ アールズ,トーマス・W. マイヤース 医道の日本社 2012-06-01
また、個人的には、筋膜リリースを直接行いながら、リリース途中で筋膜の癒着部位(トリガーポイント)を見つけたらその部分に虚血圧迫を加えたり、摩擦(フリクション)を加えたりします。
これが実に痛いのですが、効果が高いです。
この筋膜の癒着が起こりやすい部位はトリガーポイント療法で提示されているポイントと非常に近いものがあります。
また、筋膜マニピュレーションで提示されているポイントや東洋医学でいう経穴(ツボ)ともかなり酷似しています。
この辺りは、筋膜マニピュレーション創始者の先生も認めている部分です。
経穴は経験則からきたもので、筋膜マニピュレーションで提示しているポイントは研究から科学的に証明されているものです。これが決定的に違う部分です。
ロルフィング技術を使った筋膜リリースのデメリットはリリースに時間がかかることや、衣類などが邪魔になることがデメリットです。
こういう時は、私はトリガーポイントで提示しているポイントを筋膜の連結上でリリースするということを行なっています。
セルフケアやトレーニングの取り入れ方としては、セルフで行える筋膜リリース方法を指導したり、ヨガの動きとも似ている部分も多くありますので、そういうのを利用するというのも良いと思います。
結局、この筋膜の連結を活用してどうアプローチするかは人それぞれです。
まとめ
今回はスパイラルラインについての概要と、アナトミー・トレインにトリガーポイントを組み合わせた捉え方、活かし方について解説をしました。
個人的な見解もかなり多いのですが、アナトミー・トレインやトリガーポイントは臨床で利用しやすいので覚えておいて損はないと思います。
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
おすすめ参考書
ジェームズ アールズ,トーマス・W. マイヤース 医道の日本社 2012-06-01
Clair Davies,Amber Davies エクスナレッジ 2010-03-10
Andrew Biel 医道の日本社 2014-08-01
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