「テンセグリティー」をご存知ですか?人間の身体を考えたときにとても重要な概念です。


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PT井上(@Rehacon)です。

みなさん、「テンセグリティー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 
医療関係者や「筋筋膜系」の勉強をしたことのある方は馴染み深いかもしれません。
 
人間の身体はある一部が動けば、連動して身体全体が動いていきます。
 
この考えを基に治療方法がたくさんあります。
 
 
このテンセグリティーという概念は、理学療法士・作業療法士をはじめ、柔道整復師やボディワーカーの方々など身体に関わる仕事をしている方にとっては重要な考え方になります。
 
そして、一般の方々もこの理解があることで人間の身体の仕組みを知ることができますし、自分自身の身体のメンテナンスに役に立ちます。
 
 
今回は「テンセグリティー」について分かりやすく解説していきます。
 
 
【key word】テンセグリティー・筋膜・ボディワーク
【対象者】一般の方・PT・OT・柔道整復師・鍼灸師・ボディワーカー など
 

テンセグリティーとは

Tensional(テンショナル:張力
Integrity(インテグリティー:統合
 
この2つの言葉の造語で、「Tensegrity:テンセグリティー」といいます。

張力によってバランスが保たれているという構造です。

 
テンセグリティー構造は建築業界で生まれたそうです。
 
建築テンセグリティー
 
 

人間の身体の構造からテンセグリティーを考える

テンセグリティー
テンセグリティー2
 
画像を見てもらえればわかりますが、各棒に伸び縮みのするゴムが付いていると仮定してください。
 
このゴムを引っ張ると当然、棒は引っ張られ動きます。
 
引っ張られると、「伸びる部分」「圧縮される部分」が出てきます。
 
このように、ある一部が動くと身体全体が連動して動くことが分かっていただけると思います。
 
 
では、人間の身体に例えてみます。
 
棒を「骨」、ゴムを「筋膜」とご理解下さい。
 
筋膜というのは、身体をボディースーツのように覆い被っていて、第2の骨格と呼ばれます。

リハビリ業界でも「アナトミートレイン」など筋膜の重要性が最近では活発になっています。

 
 
筋膜が引っ張られると、骨は動きます。
 
一部の筋膜がずっと引っ張られた状態が続くと、そこに関わる骨もずっと本来あるべき位置からズレてしまうということです。
 
つまり関節がズレるということです。
 
このように、筋肉や腱(スジ)、皮膚、筋膜という軟部組織の張力によって人間の身体はコントロールされているといえます。
 
 

テンセグリティーから考える治療方法

上記で説明した通り、筋膜などの軟部組織が引っ張られ続けることで関節のズレが生じることが考えられます。
 
そして、引っ張られ続けるということは筋肉・筋膜の「張力」が落ちるということになります。
 
つまり、人間の身体では筋力の低下や筋出力(筋力を発揮する力)の低下が起きます。
 
なぜそのようなことが起きてしまうのか。
 
いくつか考えられますが、例に挙げてみます。
 
一部の筋肉を過剰に使っていることや、過去の怪我などに影響を受けます。
 
  • スポーツ(同じ運動の繰り返し・怪我)
  • 習慣化した姿勢や動き
  • 筋力のアンバランス  など

 

このようなことで筋膜の一部分に硬さが出てきます。

 
そしてこの一部分の硬さは周囲の筋膜の張力を邪魔したり、痛み(筋膜は痛みの受容器が豊富)を伴います。
 
こういう理屈によって痛みは引き起こされたり、筋力の低下や筋出力の低下が起こります。
 
 
治療方法は様々です。
 
私の考え方になりますが、まずは筋膜の硬さを取り除くということが重要なんじゃないかと考えています。
 
筋膜の硬さを取り除くことで痛みを取り除く可能性が高いですし、張力のバランスを整えられ、関節のズレを修正しやすくなるからです。
 
 

筋膜の硬さを取り除く治療方法

  • ロルフィング
  • トリガーポイント療法
  • 筋膜リリース
  • 筋膜マニュピレーション
 
細かく割愛しますがこのような方法があります。
 
このような考え方をすると、「骨格矯正」はどうなんだろう?
効果は一時的なんじゃないかな?

という風に感じてしまいます。

 
骨格矯正をしても、結局再発するのはこのような筋膜とテンセグリティーの理屈で理由付けできる気がしてます。
 
 

予防的な考え方

誰かに治療してもらうという考えでは、上記に挙げた治療をしてもらうことや姿勢修正するトレーニングを教えたもらう必要があります。
 
また、それに応じた筋力トレーニングも必要になります。
 
全身の筋膜を正常に働かせ、自ら予防できるのは「ボディワーク」ということになると考えます。
 
ボディワークは、「ヨガ」「ピラティス」が有名ですね。
 
その他にもロルフィングにもボディワークがありますし、アレクサンダーテクニックやジャイロキネシスなど様々です。
 
色々良さもあるでしょうから、これがいいんじゃないかとは言えません。
 
 

まとめ

 
いかがでしたでしょうか。
 
テンセグリティーを人間の構造で考えると、とても重要なことがお分かりいただけたかと思います。
 
この考え方をすると、やはり「筋膜」に着目することは重要ですし、自ら身体のメンテナンスをする重要性が分かります。
 
自分自身の身体をまずは怪我や痛みを引き起こさないように予防していくことが重要ですね。
 
メンテナンスしていても、それでも痛みが出るときは出ます。
 
その時は理学療法士などの専門家に相談しましょう。
 
 
それでは、参考になれば幸いです。
 
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。