ヘルニアと聞くと腰のヘルニアを思い浮かべる人が多いと思いすが、腰と同じように首にも起こります。
首にヘルニアが認められる場合、
頚椎椎間板ヘルニア
と医療現場では言います。
頚椎椎間板ヘルニアは、肩や腕、指先に痛みや痺れ、だるさなどの症状が現れます。
今回この記事では、頚椎椎間板ヘルニアの概要とリハビリテーションを中心とした治療についてお伝えしていきます。
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ヘルニアの語源
語源は脱出を意味するラテン語のherniaで、臓器もしくは組織が体内の裂け目を通って、本来の位置から脱出した状態を言う。
つまり、頚椎椎間板ヘルニアでは、首の骨の間にある椎間板という組織が逸脱してしまった状態を言います。
厳密に言うと、椎間板という組織に線維輪(せんいりん)と髄核(ずいかく)という物質が含まれ、髄核が脱出してしまった状態(下の画像の青丸)を言います。
しかし、髄核が逸脱したとしても必ずしも痛みや痺れなどの症状が起こるかといえばそうではありません。
あくまでも組織が逸脱した状態をヘルニアと呼びます。
頚椎の解剖と頚椎椎間板ヘルニア
頚椎は7つの骨で構成されています。そしてそれぞれ頚椎の間には、クッションの役割となる椎間板という組織があります。
この椎間板の髄核が逸脱して飛び出すことをヘルニアと言うことは先に述べましたが、神経に触れてしまうことで症状を引き起こすようになってしまいます。
頚椎椎間板ヘルニアの原因
首は細くて周囲で守られる筋肉なども小さいため、負担がかかりやすい部位になります。
そのため、首の負担を減らすために存在する椎間板はストレスを受けやすい構造となります。
例えば
ストレートネックなどは、本来首のクッション性を保つためにS字カーブを描く構造となっていますが、まっすぐになってしまうことでクッション性が低下します。
よって、椎間板への負担も増えてしまいます。このことによって頚椎椎間板ヘルニアを引き起こす要因にもなります。
ストレートネックについては以下の関連記事に詳細に説明していますので、合わせてお読みください。
また、頚椎椎間板ヘルニアは主に老化現象と言われていますが、デスクワークでの不良姿勢や、首はストレスがかかりやすい部位であるが故に、スポーツによる影響も受けます。
ボクシングやアメフト、サッカーなどは首に負担がかかりやすいということが想像できると思いますが、単純に首のトレーニングをやり過ぎるというのも注意が必要です。
ゴルフスイングで「頭を残す」というのは首に負担をかける
ゴルフに限っていえば、
頭を残す
という指導をよくされると思いますが、ゴルフスイングにおいて頭を残しすぎるというのは、首の負担を増やすことになります。
首の前屈と横に倒れる側屈、回る回旋という3つの動きが強く働きますので、首の筋肉だけでなく、椎間板へのストレスも容易に増大します。
ヘッドアップはゴルフにとってはNGですが、残しすぎるというのも体のことを考えるとNGです。
体の捻転とともに首も同調して回していく必要があります。
【関連記事】
頚椎椎間板ヘルニアの症状
症状としては首肩周りに痛みが起こり、症状が酷くなるにつれ腕や指先まで痛みや痺れ症状が起きることもあります。
また、首のどの部分が損傷するかで症状が出る範囲が変わってきます。
例えば、頚椎の6番・7番の間のヘルニアで神経を圧迫するのであれば第7頚髄神経が原因となりますので、デルマトームの図のC7という部分の領域に症状が出ます。
主に症状としては、
- 痛み
- 痺れ
- 感覚低下
- 筋萎縮(筋肉が痩せる)
- 筋力低下
このような症状が出ます。
頚椎椎間板ヘルニアの診断
診断は、レントゲン・CT・MRI検査などにより診断されます。
MRI撮影をすることで詳細に知ることができます。
また、画像所見に加え、上に説明をしたデルマトームと臨床症状も指標となります。
整形外科テストでは、スパーリングテストとジャクソンテストというテスト方法があります。
首を痛い方に横に倒し(黄色矢印)、検者は頭部へ圧迫を加える(青矢印)。
患側へ症状の再現が認められた場合に陽性となります。
首を後ろに後屈させ(黄色矢印)、検者は頭部へ圧迫を加える(青矢印)。
患側へ症状の再現が認められた場合に陽性となります。
頚椎椎間板ヘルニアの治療とリハビリテーション
治療は保存療法が中心となりますが、改善があまり見られない場合や症状の増悪が見られる場合は手術が適応されることがあります。
ここでは主にリハビリを中心とした保存療法について説明をしていきます。
まず保存療法で中心となるのが、薬物療法に加えて、
この4つとなります。それぞれ説明をしていきます。
患部の安静
患部の安静では、頚椎カラーを着用します。
但し、必要以上の安静は首回りの筋肉を萎縮させますので、必要に応じて着用します。
また、着用期間については症状の程度やヘルニアの状態によって変わりますので主治医の指示に従うようにしてください。
物理療法
物理療法でよく行われる方法としては以下の通りです。
温熱療法ではホットパックやマイクロ波というものが使用されますが、マイクロ波はリスクもあるため、使用しない施設も増えてきました。
ホットパックは深部まで熱が届かないのですが、皮膚と皮下組織との癒着なども痛みの原因になることもあり、また、リラクゼーション効果もあるため、副交感神経が優位になれば痛みの軽減にもつながります。
家庭でも使えるようなものもたくさん販売されていますので、是非検討してみてください。
電気治療についても、痛みの軽減のみならず、筋肉の萎縮予防にもなりますので有効な手段になります。
牽引療法は整形外科のクリニックなどでもよく行われる方法ですが、牽引療法の目的としては、骨と骨を引き離して圧迫から解放するという目的になります。
急性期では行われませんが、回復過程においてどの程度の強さで引っ張るかは、症状の程度などで変化しますので、主治医の指示に従って行います。
徒手療法
徒手療法では、首や肩周りの筋肉、筋膜などの軟部組織の柔軟性を獲得するように行います。
方法は様々ですが、マッサージやストレッチなどを行います。
軟部組織に癒着が起きて
トリガーポイントが形成されることで、頚椎椎間板ヘルニアに似た症状を引き起こすことがあります。
トリガーポイントのケアをする方法は、以下の関連記事で説明していますので合わせてお読みください。
運動療法
頚椎椎間板ヘルニアでは、不良姿勢も影響してきますので、姿勢を修正する運動が効果的です。
以下の関連記事で詳細に説明していますので、合わせてお読みください。
また、首回りに負荷がかかる運動は、椎間板に負担をかけることがありますので、症状が改善してから少しずつ開始していきます。
この辺は理学療法士などの専門家に、どんな運動方法で頻度としてどの程度やればいいのか相談してください。
まとめ
頚椎椎間板ヘルニアの概要とリハビリテーションについてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
まずは適切な診断がとても大切です。
症状が長引く、増悪するという場合は、なるべく早めに整形外科を受診し、適切な診断を受けるようにしてください。
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
首にやさしいおすすめ商品のご紹介
首は衣服でも隠れにくい場所なので、冷えないようにネックウォーマーなどで冷やさないように注意してください。
また、首に負担をかけないためにも枕も非常に大事です。自分に合った枕を選ぶようにしてください。
個人的にはテンピュールの枕が合っていたので、約10年近く使っていました。
最近ではエアウィーブがとても有名になりましたね。
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