<2017年11月21日修正・追記>
理学療法士の井上(@Rehacon)です。
足首の捻挫(ねんざ)は軽視されがちな印象を持っていますが、過去の捻挫から腰痛や膝の痛みなどにつながっているケースが多々あります。
捻挫だからといって放っておくと、後々身体にトラブルを起こす引き金となることが考えられます。
インソールの記事をいくつか書いてますが、過去の怪我で足の捻挫がなかったかどうかというのはインソールを作る上でも必ず聞く内容で重要項目です。
それくらい足の捻挫というのは悪影響を及ぼす怪我の1つです。
今回は足首の「捻挫」についての概要と基礎的なリハビリの解説をしていきます。
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捻挫とは
捻挫の捻とは「捻る(ひねる)」という意味があり、挫とは「くじく・くじける」という語源があります。
くじくとは、異常な力がかかって関節部を痛めるという意味があります。
よく足をくじいた。なんて言いますが、足を捻り、異常な力が足首にかかり痛めてしまうことを足首の「捻挫」と言います。
捻挫はどこでも起こすことがありますが、足首の捻挫が非常に多いのが特徴です。
足首の捻挫の原因
捻挫は外傷では非常に多く、靭帯の損傷のことをいいます。
靭帯の役割は、骨と骨を繋ぎ合わせ、必要以上に関節が動かないように安定させる役割があります。
必要以上に捻られて動いてしまうと捻挫を引き起こします。
その多くはスポーツです。
ジャンプして着地をした際に起こったり、横への動きへ対応しきれず必要以上に足首に負担がかかったりすると、靭帯が支えきれずに捻挫を引き起こします。
その多くは、足首の外側の捻挫です。
なぜ足首の外側に多いのか?
これは足首の関節の構造上、横方向への動きとして外側よりも内側に大きく動くという特徴があります。
つまり内側に捻って、外側の靭帯を痛めてしまうことが多いです。
外側に付いている靭帯は、
- 前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)
- 踵腓靭帯(しょうひじんたい)
- 後距腓靭帯(こうきょひじんたい)
この3つの靭帯を損傷することが殆どであり、この中でも特に多いのが「前距腓靭帯」です。
主な症状と診断
症状としては、
- 足首が腫れる(腫脹)
- 痛み(疼痛)
- 患部が熱をもつ(熱感)
- 患部周囲の内出血
このような症状が出ますが、靭帯が完全に断裂してしまった状態では、関節もグラグラして不安定となります。
足首の捻挫は以下の重症度によりグレード分けされます。
Ⅰ度 |
靭帯の損傷はあるが、断裂はない。痛みの程度は比較的軽度。 |
Ⅱ度 |
靭帯の部分断裂が起きている状態。痛みや腫れも強く、歩けるが走ることはできない。 |
Ⅲ度 |
完全な靭帯の断裂が認められる。上記症状が強く認められ、歩くのも困難となる。 |
診断ではまず、レントゲンで骨の損傷がないかを調べます。
靭帯損傷の程度を確認するためや軟骨の損傷状態などを確認するためにMRI検査が行われることもあります。
このように、どんな状態かを把握するにはまず病院受診をすることが大切です。
捻挫の治療
適切な処置が行われれば、早い改善が期待でき、スポーツ復帰することもできます。
しかし、捻挫だからと放っておくと足首に痛みが残ったり、関節の動きづらさというのが残ってしまうこともあります。
また、関節の不安定感というのも残り、捻挫を繰り返したり、膝など他の場所に影響を及ぼすことがあります。
そのため、適切な診断と治療が重要となります。
上にグレードを説明しましたが、グレードによって治療内容も変わってきます。
グレードⅠ
この場合はまずRICE処置というものが選択されます。また、怪我をした現場にいたとしたら、応急処置としてもまずRICE処置をしましょう。
グレードⅡ
グレードⅡでもグレードⅠと同様に、RICE処置をまず行い、靭帯の部分断裂がありますので、ある程度の固定期間が必要になります。
固定期間中もある一定期間が過ぎれば少しずつ、痛みに応じて足首の前後運動を開始します。
一定期間とは、一般的には2週間〜3週間と言われますが、状態に応じて行う必要があります。どのタイミングで動かして良いかの判断は担当医や担当の理学療法士にご相談ください。
一般的な固定方法としては、
これらが該当しますが、どの固定方法になるかは状態や環境に応じて変わります。
テーピングについては、
バトルウィンさんが写真・動画でとても分かりやすく解説していますので、参考にしてみてください。
個人的な意見としては、自分でも装着のしやすいサポーターは持っておいて損はないと考えています。
私がおすすめするサポーターを以下にご紹介しますので、参考にしてください。
また、足首の固定をしていたとしても、患部以外は動かすことが可能です。
固定期間に無駄な筋力低下が起こらないよう、特に足の指の運動は怠らないように行うようにしましょう。
グレードⅢ
グレードⅢでは、靭帯の完全な断裂が起きています。断裂した靭帯がつくまで、一定期間のギプス固定が行われます。
また、状態が悪い場合や痛みが取れない場合は「手術」が適応されることがあります。
捻挫後のリハビリと予防が大切
ここまで足首の捻挫について説明しましたがお分かりいただけたでしょうか。
足首の捻挫で注意すべきことは、痛みがひいたらもうそれでOKというわけではないということです。
むしろ、その後が大切です。
上述したように捻挫後はある程度の期間、患部の安静のため固定期間があります。
固定期間があると足首は全然使いません。つまり、足首に関与する関節が硬くなってしまったり、筋肉は痩せてしまい、筋力も落ちてしまいます。
また、皮膚や筋筋膜が硬くなってしまうことも考えられます。
この状態を放っておくと、それを補おうと他の場所でかばうことになります。
結果的に身体のアンバランスが生じて、他の場所の痛みなどを引き起こす要因となります。
こういうことを起こさないために、捻挫後のリハビリと予防はとても大切になります。
以下に捻挫後に行われる、一般的なリハビリの方法をご説明します。
物理療法
病院などではよく行われる方法になりますが、今は家庭用の低周波やホットパックといった温熱療法も安価で販売されています。
トレーニングを行う前段階の要素として行うのも効果的なことがあります。
以下の筋力トレーニングでご紹介する筋肉に対して行ってみるのも良いと思います。
筋力トレーニング
足首の捻挫により筋力低下を起こしやすい筋肉として、
- 前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
- 下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
- 腓骨筋群(ひこつきんぐん):長腓骨筋と短腓骨筋の総称
これらの筋肉が挙げられます。
以下に、それぞれのトレーニング方法について説明します。
写真では、スポバンドというトレーニング用品を使用してます。
ゴムチューブと違い、とてもメリットの大きいトレーニング用品です。
専門家の方もとても使い勝手がよく、おすすめです。詳細は以下の関連記事を合わせてお読みいただけると幸いです。
それぞれの運動は、痛みがある場合は痛みが出ない範囲で行い、いきなり負荷を強くするのではなく、少しずつ負荷量をあげていってください。
バランストレーニング
バランストレーニングに関しては、比較的レベルの高いトレーニングになります。
トレーニングによって再発してしまったら本末転倒です。
慎重に、そして少しずつ行うようにしてください。
バランストレーニングにおいて、バランスボードはよく使われる器具ですが、自宅で買っても使用用途も少ないですし、あまりメリットはないように思います。
その代わりにバランスクッションは様々な使用用途がありますし、値段的にも安価なので1つ持っていてもいいと思います。
【応用編】筋筋膜リリース
固定期間によって上記筋肉、筋膜が硬くなってしまうことが考えられます。
これまでも紹介しているゴルフボール、テニスボールでのセルフケアをおすすめします。
ポイントは「一定の圧力で、一定のリズムで、ゆっくり動かすこと」です。
また、最近では筋膜リリース用の商品も売っています。全身に使えますし、1つ持っていてもいいかもしれませんね。
まとめ
足首の捻挫について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
捻挫だからといって軽く考えていると、後々身体に悪影響を及ぼすことがあります。
- 捻挫を起こした時の適切な診断と治療
- 捻挫後のリハビリと予防
ここがポイントとなりますので、是非参考にしてもらえれば幸いです。
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