介護予防の鍵となる筋肉『脊柱起立筋』の概要と筋膜リリース・ストレッチ・トレーニング方法


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<2017年10月2日修正・追記>

理学療法士の井上(@Rehacon)です。

 
 
昨今の社会保障費は、削減方向に働いていることはみなさんご存知の通りです。
 
医療や介護にかかる費用は削減されていき、予防という方向にシフトされています。
 
それは今後も推し進められていきます。
 
つまり、予防をして、社会保障費を削りましょうということになります。
 
介護予防領域に理学療法士が携わる1つの役割として、主に「運動療法」があります。
 
良い姿勢を保ち、筋肉の「貯筋」をしておくことで、元気で長生き「健康長寿」でいることが可能です。
 
今回は介護予防領域で重要だと個人的に考えている筋肉「脊柱起立筋」の概要とセルフケア・セルフトレーニング方法について解説をしていきます。
 
今後、シリーズ化(全4回)をしていく予定です。
第1回:脊柱起立筋
第2回:腸腰筋
第3回:大殿筋・中殿筋
第4回:大腿四頭筋
 

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脊柱起立筋の概要

 
脊柱起立筋は、棘筋(きょくきん)・最長筋(さいちょうきん)・腸肋筋(ちょうろくきん)を合わせた総称を言います。
 
以下にそれぞれ説明をしていきますが、専門家でない方は専門用語ばかりで難しく感じると思います。
 
簡単に理解するポイントとして、
 
  1. 背中の奥にある筋肉
  2. 小さくて細かな筋肉
  3. 背骨を後ろに反る(伸展)、回す(回旋)、横に倒す(側屈)作用がある
  4. 名称的に、背筋を起き上がらせる(伸ばす)筋肉
 
この4つのポイントを理解するだけで十分だと思います。
 
脊柱起立筋
 
 

棘筋

 
棘筋は頚部と胸部に分類されますが、厳密には頭部もあり、横突起筋である頭半棘筋と融合しているケースが多いです。
 
棘筋は、脊柱起立筋の中で最も内側にある筋肉で、棘突起に付きます。
 
頚棘筋  胸棘筋
 

頚棘筋

起始:第7頚椎、第6・7胸椎の棘突起
停止:第2頚椎棘突起(第3、4頚椎棘突起に及ぶこともある)
作用:頚椎の伸展、回旋
神経支配:頚神経(脊髄神経後枝)
 

胸棘筋

起始:第1、2腰椎・第11、12胸椎棘突起
停止:第1〜第4胸椎棘突起(第1〜第8胸椎にまで及ぶこともある)
作用:脊柱の伸展、回旋
神経支配:胸神経、腰神経(脊髄神経後枝)
 
 

最長筋

 
最長筋は、頭部・頚部・胸部の3つに分類され、脊柱起立筋の中央に位置する筋肉になります。
 
頭最長筋  頚最長筋  胸最長筋
 

頭最長筋

起始:第1〜第5横突起下部、第4〜第7関節突起
停止:側頭骨(乳様突起)
作用:頭部の伸展、側屈・回旋
神経支配:頚神経(脊髄神経後枝)
 

頚最長筋

起始:第1〜第5胸椎横突起
停止:第2〜第6頚椎横突起
作用:頚椎の伸展、側屈
神経支配:頚神経・胸神経(脊髄神経後枝)
 

胸最長筋

起始:第1〜第5腰椎横突起、仙骨
停止:胸椎の横突起、第1〜第3腰椎の副突起、全肋骨(肋骨角と肋骨結節の間)
作用:脊柱の伸展、側屈
神経支配:胸神経・腰神経(脊髄神経後枝)
 
 

腸肋筋 

 
腸肋筋は頚部・胸部・腰部の3つに分類され、脊柱起立筋の外側に位置する筋肉になります。
 
頚腸肋筋  胸腸肋筋  腰腸肋筋
 

頚腸肋筋

起始:第1〜第6肋骨(肋骨角)
停止:第4〜第6頚椎横突起
作用:頚椎の伸展、側屈
神経支配:胸神経(脊髄神経後枝)
 

胸腸肋筋

起始:第7〜第12肋骨(肋骨角の内側)
停止:第1〜第6肋骨(肋骨角)
作用:胸椎の伸展、側屈
神経支配:胸神経(脊髄神経後枝)
 

腰腸肋筋

起始:仙骨と腸骨(腸骨稜)
停止:第7〜第12肋骨(肋骨角の下縁)
作用:腰椎の伸展、側屈
神経支配:胸神経、腰神経(脊髄神経後枝)
 
 
 
このように、脊柱起立筋は複数の筋肉を総称したものを言います。
 
背中全体に張り付いており、姿勢を保つために必要な筋肉になります。
 
高齢者は腹筋よりも『背中の筋肉』の方が圧倒的に筋力低下している。の記事にも書きましたが、経験上、高齢者に限らず、多くの方は腹筋よりも背中の筋力が落ちています。
 
また、猫背などのよくない姿勢を続けることで、筋膜や筋肉は伸びてしまい、組織の癒着を起こしやすいため、腰痛の原因の1つになります。
 
専門家に徒手的に治療をしてもらうことはとても大切ですが、セルフケアをすることは十分に可能です。
 
以下に脊柱起立筋に該当する、セルフで行える筋膜リリースやストレッチ、筋力トレーニングなどのご紹介をしていきますので、是非実践してみてください。
 
 

脊柱起立筋に対する筋膜リリースとストレッチ

 

筋膜リリース

脊柱起立筋の筋力が落ちてくると、背中が丸くなってきますので、背筋を伸ばしていく筋膜リリースが有効になります。

また、脊柱起立筋の作用は伸展以外に、回旋と側屈がありますので、身体を回す・横に倒す方向の筋膜リリースも効果的です。

以下にそれぞれ説明をしていきます。

猫背筋膜リリース 

【方法】

  • 両膝を立てて仰向けになり、肩甲骨の一番下に丸めたタオルを置く。
  • 両手をバンザイして伸ばしていく。
  • 伸ばしながら、腰を床に押し付けるように行う。
  • 20~30秒間キープ。

 

猫背筋膜リリース 猫背筋膜リリース 猫背筋膜リリース

【方法】

  • 椅子に腰かけて、両手を前方へ伸ばす。
  • 伸ばしたまま肩甲骨をより前方へ押し出すように手をさらに伸ばしていく。
  • 肘を後ろに引いてそのままキープ。腕が下がらないように注意する。
  • 肘を前に少し戻し、手のひらが前を向くように開く。
  • 写真それぞれ、20~30秒間キープ。

 

脊柱起立筋 筋膜リリース

【方法】

  • 正座をして両手を前方へ伸ばす。
  • 手を伸ばしたまま、腰を後ろに引く。
  • 20~30秒間キープ。

 

Lateral Line 筋膜リリース

【方法】

  • 椅子などに手を置いて、伸ばしたい方の足を前に交差させる。
  • 伸ばしたい方の手を上に持ち上げ、同側の足は床に押し付けるようにして伸ばしていく。
  • 20~30秒間キープ。

 

腹斜筋群・肋間筋筋膜リリース 腹斜筋群・肋間筋筋膜リリース 腹斜筋群・肋間筋筋膜リリース

【方法】

  • 伸ばしたい方の手と足を前に出し、もう一方の手足は後ろに引く。
  • 伸ばしたままゆっくりと身体を回す。
  • 20~30秒間キープ。

 

ストレッチ

腰のストレッチ
【方法】
  • 椅子に腰をかけて、前・左右へそれぞれ腰を屈める。
  • 伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。

 

腰痛ストレッチ

【方法】

  • 床に仰向けになり、膝を抱える(写真左)。
  • 伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。
  • 床に正座をして、手を伸ばしながら腰を丸めていく。
  • 伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。 
 
 

脊柱起立筋に対する筋力トレーニング

 
マッケンジー体操

【方法】

  • うつ伏せになり、肘・手のひらの順につき、肘を伸ばし背筋を伸ばす。
  • 腰を反らしすぎないように注意して行う。
  • 腰に痛みが出る場合は中止する。

この方法はマッケンジー体操といい、腰痛に対する体操の1つですが、背中の筋肉のトレーニングにもなります。

 

四つ這い位・多裂筋トレーニング

【方法】

  • 四つ這い位になり、片方の手と反対側の足を伸ばす。
  • その状態を10秒間キープする。
  • 腰を反らしすぎないように注意して行う。
  • 腰に痛みが出る場合は中止する。

 

脊柱起立筋トレーニング 

脊柱起立筋トレーニング

【方法】

  • 仰向け又は立位のまま、片方の足にセラバンドやスポバンドなどを引っかけ、逆の手で持つ。
  • 斜め上に持ち上げる。
  • その状態を10秒間キープする。

 

 
 

脊柱起立筋にトリガーポイントができると腰痛を引き起こす

 
過剰に背中・腰の筋肉を使っていたり、逆に姿勢が悪くて背中の筋肉や筋膜が伸びきってしまうと、部分的に筋膜の癒着を引き起こすことがあります。
 
その癒着が姿勢をより崩したり、トリガーポイントとなり、痛みの原因となることがあります。
 
以下の記事では、腰痛を引き起こすトリガーポイントとしてまとめていますので、合わせて参考にしてみてください。
 
【関連記事】
 
 

まとめ

 
今回は第1回目として、脊柱起立筋についての概要とセルフケア方法について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
過去の記事でも書いていますが、背中の筋肉のケアはとても大切です。
 
是非、参考になれば幸いです。
 
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。