理学療法士が解説『車椅子フィッティング』の方法と不良姿勢の修正方法

車椅子フィッティング

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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
前回の記事で疾患別リハビリテーションで診療報酬が算定できるようになる、シーティングのことについて書きました。
 
 
シーティングは療法士からすれば、極々当たり前のことですが、施設や在宅でシーティングのことをアドバイスすると凄く喜んでくれるという経験をしたことのある方も多いと思います。
 
療法士の中では当たり前になっていることも、他の方からしたら全然当たり前ではないということは多いです。
 
シーティングの意味は以下のようになります。
 
シーティングとは、長時間座位を続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が確保できるように、車椅子や椅子を調整することです。
 
引用元:WAMNET
 
心身機能や生活状況を考慮しないといけません。
 
身体を起こすことは、呼吸循環機能を促進させますし、認知機能の予防にもなります。
 
また、食事をする上で良好な姿勢をとることは、摂食嚥下機能に影響します。
 
 
つまり、良好な姿勢を保つことは様々なメリットがあるということになります。
 
今回は、車椅子を選ぶ際に必要な車椅子フィッティングのことについてポイントを絞ってお伝えします。
 
ケアマネジャーさんやヘルパーさんなど、介護関連職種の方に読んでいただけたら幸いです。
 

 
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まずは車椅子と身体のサイズを合わせるところから

 
まず車椅子を選ぶ際は、リクライニング式にするか、通常のティルト式ものを選びます。
 
場合によっては両方の機能をもつものを選ぶ必要があります。
 
 
ここでは、ティルト式のものを選択したと仮定してお伝えしていきます。
 
ポイントとしては、以下の通りです。
 
  • 座面の幅と奥行きを決める
  • 座面の高さを決める(床から座面)
  • 背もたれ(バックレスト)の高さを決める
  • 肘掛け(アームレスト)の高さを決める、跳ね上げ式にするかを決める
  • 車輪の大きさ、手で操作する補助(ハンドリム)がついているものにするかどうか
  • フットレストの高さと開閉式にするか、取り外せる機能のものにするかを決める
 
 

車椅子の座面の幅と奥行き

車椅子フィッティング
テクノエイドから引用します。
 
「自走用」の場合は、腰幅+3〜4㎝程度。
「介助用」の場合は、腰幅+4〜5㎝程度をめやすとします。
 
引用元:公益財団法人 テクノエイド協会 高齢者のための車椅子フィッティングマニュアル
 
概ね3〜4㎝ということになりますが、長さを測るのは大変なので、指2〜3本分程度の隙間を目安にしてください。
 
ゆとりがありすぎると、座面でズレてしまったり、自走する時に手が届きにくいことがあります。
 
 

座面の高さを決める(床から座面)

車椅子フィッティング
 
座面の高さは、
 
  • 足で自走すること
  • 座りやすさ
 
この2つがポイントになります。
 
足で自走できる・したい場合は、足裏が床に着いているか、膝の曲がっている角度がどうか、実際に自走してもらってうまく足が使えているか。
 
この点を確認するようにしてください。
 
また、座りやすさについては、足を下ろした時、足をフットレストに乗せた時を確認し、本人に座り心地を確認してください。
 
フットレストに足を乗せた時に、太ももが持ち上がり過ぎてしまうと、骨盤が後ろに倒れてしまい、仙骨座りになりやすくなるので注意が必要です。
 
仙骨

不良姿勢・猫背・仙骨座り
 
この座面の高さについては、座布団やクッションを入れるかどうかの想定も含めて行う必要があります。
 

背もたれ(バックレスト)の高さを決める

車椅子フィッティング 肩甲骨下角
 
テクノエイドで推奨しているのは、40〜45㎝ですが、バックレストは、肩甲骨の一番下に位置する下角という部位を目安にします。
 
肩甲骨にバックレストがかかってしまうと、肩甲骨の動きが妨げられてしまい、腕を使いにくくなってしまいます。
 
つまり、車椅子の操作が行いにくくなってしまいます。
 
肩甲骨の下角を目安に、操作性がどうかを確認しながら決めてください。
 
 

肘掛け(アームレスト)の高さを決める、跳ね上げ式にするかを決める

車椅子フィッティング

アームレストの高さは、名前の通り腕を休めるために使われる場所です。

 
ですので、アームレストの高さが高すぎたり、低すぎたりすることは体や頭が前屈しすぎたり、後屈しすぎたりしてしまうということになります。
 
今は高さを調節できるものが多くありますので、そういうものを選ぶことをおすすめします。
 
ここでも、座面にクッションを入れる場合と入れない場合を考えて調節するようにしてください。
 
 

車輪の大きさ、手で操作する補助(ハンドリム)がついているものにするかどうか

車椅子フィッティング

車輪の大きさは駆動能力に影響します。

 
大きい車輪は、小さい力で駆動させることができるのに対して、小さい車輪では大きい力が必要になります。
 
ハンドリムについては、肘の曲がり具合で操作のしやすさが大きく変わります。
 
実際に操作してもらい、操作のしやすい肘の角度を見つけて決めるようにしてください。
 
 

フットレストの高さと開閉式にするか、取り外せる機能のものにするかを決める

車椅子フィッティング

フットレストの高さを決めるにあたり、目安にするのが、股関節と膝関節の角度で、90度曲がる程度を目安にしましょう。

 
股関節が曲がりすぎている場合は、太ももが持ち上がりすぎということになりますので、重心も後方にいきやすく、座面でのズレが起きて仙骨座りになりやすいです。
 
また、フットレストの高さが低いのも、視点となるお尻が前方にいきやすいため仙骨座りになりやすいです。
 
 

車椅子上の不良姿勢

 
ここまで説明してきた通り、一番多いのが「仙骨座り」です。
 
車椅子のサイズが大きすぎて合っていない、浅く座っている、こういうことで仙骨座りになります。
 
また、対象の方の背骨が曲がっているなどのアライメント不良がある場合は身体が左右へ傾いたり、首が傾いたりします。
 
 

不良姿勢の修正方法

 
仙骨座りになっている場合、まずは深く腰掛けるように修正をします。
 
それでも身体がずれてしまう場合は、お尻の一番後ろから仙骨部にクッションやタオルを丸めたものをかませることで骨盤を前傾に促すことができます。
 
この方法はよくやるのですが、姿勢を修正しやすく、持続性もあるので是非やってみてください。
 
左右への傾きについては、その状態に応じてタオルやクッションを利用して、なるべく姿勢をバランスの良い状態に修正することが重要です。
 
もし分からない場合やうまくいかないという場合は、骨盤や背骨などの可動域を改善する必要もあるかもしれませんので、理学療法士などの専門家に相談するようにしてください。
 
 

まとめ

 
車椅子のフィッティング方法について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
車椅子のサイズが合っていない方は多いですし、車椅子上の姿勢が悪い方も多いのが現状です。
 
ちょっとした工夫で姿勢を修正することは可能ですし、そのひと手間が利用者さんの呼吸循環機能、認知機能、摂食嚥下機能の予防に大きく貢献できます。
 
食事姿勢の記事でもご紹介した、MTK&HのH、
 
放っておかない
 
ということが何よりも大事です。

車椅子上の姿勢が悪いなと気づいた場合は、放っておかないで積極的に姿勢を修正するようにしてあげてください。

【関連記事】
療法士が教える『車椅子食事姿勢』の考え方。良好なポジショニングは誤嚥を防ぐ

 
もっと詳しく知りたいという方は、テクノエイドさんがマニュアル化をしてダウンロードできるようになってますので、合わせて参考にしてみてください。

高齢者のための車椅子フィッティングマニュアル

 
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

井上 直樹

リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。