理学療法士の井上(@Rehacon)です。
骨折は高齢者に限らず非常に多い怪我の1つです。
ただ骨折ってそもそも何なんだ?と思われるかたもいると思います。
 今回はその「骨折」とはそもそも何なのか、骨折がどのような過程で治っていくのか、部位によって骨のつく期間がどうなのか、このような骨折のメカニズムについて解説をしていきます。
【Keyword】骨折・メカニズム・骨癒合期間
  【対象者】一般の方・医療関係者
骨折の概要
通常、皮膚や筋肉・内臓などの大半の組織は損傷を受けると、健康な組織に代わって「瘢痕組織(はんこんそしき)」が生じて傷になった部分を治してくれるように働きます。(瘢痕組織とは皮膚などが損傷を受けて治るまでの課程と思って下さい。)
これに対して骨に損傷が生じた場合には瘢痕組織ではなく、「新しい骨の組織に置き換わる」のが特徴です。
骨折の修復過程で発生する新しい骨は「仮骨(かこつ)」と呼ばれます。
骨折の治癒過程(治るまでの課程と思って下さい)では、「炎症期」・「修復期」・「リモデリング期」の3段階に分けられます。
 ※引用画像:骨癒合画像
 
炎症期
炎症期では損傷を受けた軟部組織や骨のかけら、内出血した血液などが免疫系の細胞によって取り除かれます。
 
 この時期は骨折周囲に腫れや痛みを伴います。
この炎症期は2〜3日でピークを迎えると言われていて、骨折後の痛みは主にこれによる痛みになります。
修復期
修復期は骨折から数日のうちに始まり、数週間から数カ月続きます。
 仮骨はこの時期から少しずつ作られていきます。仮骨は最初にできたときにはカルシウムを含んでいません。
 
 そのためこの新しい骨は強さや安定性に欠けるため、修復期の間は簡単に変形したり骨折部がズレたりします。
3~6週間後には、この仮骨が石灰化し、硬く強くなっていきます。
リモデリング期
「骨が元の正常な状態に修復される時期」で何カ月間も続きます。
 
 この時期に強い骨に置き換わります。この段階にその骨が本来もっていた正常な形や構造が回復されていきます。
この時期になると再び骨折することはまずありませんが、再生中の骨に圧力をかけると痛みを感じることがあります。
痛みを感じるメカニズム
まず痛みは「神経」で感じ取ります。
 
 神経はほとんどが筋肉の中にありますが、筋肉以外では靭帯や腱、脳や内臓などにも痛みを感じる神経があります。
基本的に骨や椎間板、軟骨、毛や爪などは神経がありません。
骨折をして痛みがあるというのは、骨折した部分の「骨膜」や周囲の筋肉や靭帯の損傷や断裂などによって痛みを感じるということです。
骨そのものは痛みを感じる受容器がないので痛みは感じません。
人体の中で痛みを最も感じるのが「骨膜」と言われています。
この骨膜の損傷によって強烈な痛みを感じます。
椎間板なども同じで椎間板が痛みを感じているのではなく、椎間板が飛び出て神経に触れたり神経を圧迫したりすることで痛みを発するのです。
Gurlt(グルト)の骨癒合日数
骨折での部位別癒合日数ではグルトが有名です。
 
 骨折が治るまの期間はあくまでも目安になります。
年齢や内科疾患、服薬状況によって個人差があります。ご参考程度で見てくださいね。
| 
 部位  | 
 Gurlt  | 
|
| 
 指骨  | 
 2週  | 
|
| 
 中手骨  | 
 2週  | 
|
| 
 中足骨  | 
 2週  | 
|
| 
 肋骨  | 
 3週  | 
|
| 
 橈・尺骨  | 
 骨幹部  | 
 5週  | 
| 
 肘関節内  | 
 5週  | 
|
| 
 手関節内  | 
 5週  | 
|
| 
 鎖骨  | 
 4週  | 
|
| 
 上腕骨  | 
 骨幹部  | 
 6週  | 
| 
 上端部  | 
 7週  | 
|
| 
 大腿骨  | 
 頚部  | 
 12週  | 
| 
 骨幹部  | 
 8週  | 
|
| 
 脛・腓骨  | 
 膝関節内  | 
 7~8週  | 
| 
 骨幹部  | 
 7~8週  | 
|
| 
 足関節内  | 
 7~8週  | 
|
まとめ
いかがでしたでしょうか。
骨自体が痛みを感じないのは意外でしたか?
 どういう流れで骨折が治っていくかなんとなくイメージできたでしょうか?
 
 この辺りを理解しているかどうかでだいぶ違うはずです。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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