トリガーポイント
『膝の痛み』を引き起こす代表的な6つの筋肉とトリガーポイント
膝の痛みは臨床経験としても非常に多い1つの症状です。
その代表的なものが変形性膝関節症ですが、変形性膝関節症は簡単にいうと、軟骨がすり減って骨同士が擦れ変形するというものです。
膝が変形して痛みがある場合、殆どがこの変形性膝関節症と診断されます。
しかし、いざリハビリを担当すると、膝そのものよりも「何となくこの辺が痛い」とか、痛みの場所が変わる方などが非常に多いです。
これが意味するのは、膝の変形による痛みではない。構造的な変化による痛みが原因でないということを示しています。
実際に構造的な破綻により痛みがある方もいて、そういう方は膝関節、脛骨の直上辺りから内側にかけて痛みが出ます。
そして、いつも同じ場所が痛いと訴えます。
こういった場合は、足元からアライメント(形状)を整えることや、膝関節そのものの負担を減らすために筋力をつけることは必要ですし、場合によっては手術が必要になることもあります。
しかしながら、構造的なものが原因とならない場合、筋筋膜にできるトリガーポイントによる関連痛ということが1つの原因として考えられます。
今回は、膝に痛みを引き起こす代表的な筋肉とトリガーポイントについて解説をしていきます。
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膝の痛みを引き起こす代表的な6つの筋肉とトリガーポイント
以下の6つの筋肉が代表例となります。
- 大腿直筋(だいたいちょくきん)
- 内側広筋(ないそくこうきん)
- 長内転筋(ちょうないてんきん)
- 短内転筋(たんないてんきん)
- 縫工筋(ほうこうきん)
- 薄筋(はくきん)
大腿直筋
起始:下前腸骨棘、寛骨臼上縁
停止:膝蓋骨上縁、膝蓋腱を介して脛骨粗面に付着
作用:膝関節の伸展、股関節の屈曲
神経支配:大腿神経
トリガーポイント
【関連痛パターン】
大腿部全面に波及し、膝周囲に関連痛を引き起こす。
内側広筋
起始:大腿骨転子線下部、大腿骨粗線内側唇
停止:膝蓋骨上縁〜内側縁、膝蓋腱を介して脛骨粗面に付着
作用:膝関節の伸展
神経支配:大腿神経
トリガーポイント
【関連痛パターン】
大腿部内側面、膝関節内側面に関連痛を引き起こす。この筋肉にトリガーポイントが形成されると、筋出力の低下なども起こり、膝崩れの原因となる。
長・短内転筋
長内転筋
起始:恥骨結合・恥骨の下方
停止:大腿骨粗線(内側唇)中央部
作用:股関節の内転・屈曲・内旋
神経支配:閉鎖神経
短内転筋
起始: 恥骨上枝、恥骨下枝の外側
停止:大腿骨粗線(内側唇)上部
作用:股関節の内転・屈曲・内旋
神経支配:閉鎖神経
トリガーポイント
【関連痛パターン】
膝関節の内側に関連痛を引き起こし、脛骨上にまで波及することがある。また、遠位部では股関節に関連痛を起こすこともある。鼠径部周囲の痛みや違和感に関与することもしばしば認められる。
縫工筋
起始:上前腸骨棘
停止:脛骨粗面の内側(鵞足を構成する筋肉の1つ)
作用:股関節の屈曲・外転・外旋、膝関節の屈曲
神経支配:大腿神経
トリガーポイント
【関連痛パターン】
膝関節の内側周囲にかけて、鋭く疼くような関連痛を引き起こす。
薄筋
起始:恥骨結合の外側縁
停止:脛骨の内側面(鵞足を構成する筋肉の1つ)
作用:股関節の内転、膝関節の屈曲・内旋
神経支配:閉鎖神経
トリガーポイント
【関連痛パターン】
大腿部内側面から膝関節の内側にかけて針で刺されたような関連痛を引き起こす。
トリガーポイント療法/筋膜リリース
- 上記トリガーポイント画像にある✖印を一定の圧力で30秒圧迫+30秒解放を何回か繰り返す。
- ✖印を一定の圧力で30秒グリグリゆっくりと動かす+30秒解放を何回か繰り返す。
- 上記に示した筋肉に対して、手のひらやゴルフボール、テニスボール、トリガーポイント用のボール、フォームローラーなどを使用して一定の圧力で、ゆっくりと動かす。
圧迫したりグリグリ押すには、親指や指の関節、ゴルフボール、テニスボール、トリガーポイント用のボールなどを使用して行うと効果的です。
筋膜を全体的にリリースしていくには、フォームローラーなどを持っておくのも便利です。
TRIGGERPOINT PERFORMANCE(トリガーポイント パフォーマンス)
TRIGGERPOINT PERFORMANCE(トリガーポイント パフォーマンス)
これで膝の痛みが軽減する場合には、セルフケアとして継続してみてください。
私自身も使用していますが、ここで挙げた筋筋膜に対しては、グリッドフォームローラーをおすすめします。
まとめ
膝の痛みを引き起こす原因となる筋肉とトリガーポイントについてご紹介をしました。
膝の痛みは冒頭にも挙げたように、構造的な異常で片づけられてしまうことが多いですが、トリガーポイントによる痛みが原因ということのほうが圧倒的に多いです。
もちろん、ここに挙げた部位だけが問題になるわけではありませんが、経験上、内側広筋・縫工筋・薄筋に形成されるトリガーポイントが原因ということが多いです。
是非、参考にしてみてください。
おすすめ書籍
以下の2冊は一般向けに筋膜性疼痛症候群研究会(MPS研究会)でもおすすめしている書籍です。
加茂整形外科医院院長 加茂 淳 風雲舎 2009-01-10
Clair Davies,Amber Davies エクスナレッジ 2010-03-10
以下の書籍は個人的におすすめしたい2冊です。
筋肉の絵やトリガーポイント、セルフストレッチや筋力トレーニングも丁寧に説明されています。
Dimitrios Kostopoulos,Konstantine Rizopoulos 医道の日本社 2002-08
シメオン・ニールアッシャー 緑書房 2010-07-06
筋膜リリースの本を読むなら
「竹井 仁」先生の本がおすすめです。
筋膜博士と呼ばれるくらい筋膜では有名な先生であり、TVなどにも数多く出演されている方です。
私も持っていますが、超絶おすすめ一般書です。
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