ガイドラインに基づいた『顔面神経麻痺(ベル麻痺)』の原因とリハビリ治療について解説します。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)

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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
先日、顔面神経麻痺(末梢性)のリハビリを教えてほしいとお問い合わせをいただきました。
 
脳腫瘍や脳卒中の後遺症である中枢性の顔面神経麻痺は、理学療法士として多くの経験をしていますが、私自身、末梢性の顔面神経麻痺(ベル麻痺)の方は殆ど担当したことがありません。
 
記憶が正しければ、2名だったと思います。
 
ここで改めて知識整理のためにもまとめたいと思います。
 
ベル麻痺は日本神経治療学会においてガイドラインが出されています。
 
今回はガイドラインに基づいたベル麻痺の概要とリハビリテーションについてお伝えしていきます。
 

 
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顔面神経麻痺(ベル麻痺)とは

 
ベル麻痺は、顔面神経によって支配される、顔にある筋肉の運動麻痺を言います。
 
表情筋 表情筋
 
ベル麻痺の原因は明らかにはなっていませんが、ヘルペスウイルスなどが関与しているとされており、顔面神経麻痺のおよそ6割がこのベル麻痺です。
 
ベル麻痺は特発性の顔面神経麻痺になります。
 
また、その他にも、帯状疱疹や腫瘍、外傷性のものでも起こります。
 
年代的にはどの年代でも起きますが、40歳台でピークとなります。
 
男女差はなく、およそ70%は後遺症なく、自然に回復すると言われています。
 
ガイドラインによると、顔面神経の伝導性が保たれている場合は90%が完全回復すると明記されています。
 
 

顔面神経の解剖生理

 
顔面神経は脳神経のうちの1つであり、第7神経とも呼ばれます。
 
顔面神経は運動と感覚の両方の機能を持つ混合神経になり、細かく枝分かれしていく神経になります。

顔面神経 顔面神経  顔面神経

 
顔面神経  顔面神経  顔面神経
 
目や耳、口、舌など幅広い範囲に影響を及ぼします。
 
特に注目すべき点として、顔の表情を作る「表情筋」が大きく関与しています。
 
表情筋は30以上もの筋肉が関わっており、それらを総称したものを表情筋と呼びます。
 
以下に、いくつか代表的な筋肉をご紹介します。
 
  • 前頭筋(ぜんとうきん)
  • 口輪筋(こうりんきん)
  • オトガイ筋
  • 眼輪筋(がんりんきん)
  • 笑筋(しょうきん)
  • 口角挙筋(こうかくきょきん)
  • 口角下制筋(こうかくかせいきん)
  • 頬筋(きょうきん)
 
表情筋
 
 

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の症状

 
顔面神経麻痺
 
左右どちらか片方だけの麻痺が殆どです。
 
  • 麻痺側の顔を動かせない
  • 麻痺側の口角が下がる
  • 麻痺側の口角から食べ物やよだれがでてしまう
  • 麻痺側の口の中に食べ物が残ってしまう
  • しゃべりにくい
  • 目を閉じたくても閉じられない
  • 耳鳴り
  • 味覚を感じにくい
 
このような症状が主に起こります。
 
顔の筋肉が動かなくなるため、表情が歪んだり、乏しくなったり、うまく食べられない、しゃべりにくい、感覚が鈍いなどの症状が出ます。
 
また、耳・目・舌の症状も出ると理解してください。
 
 

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の治療

 
内科的な治療としては主に以下の内服が用いられます。
 
  • 副腎皮質ホルモン療法
  • 抗ウイルス薬療法
  • メチルコバラミン投与 
 
またこの他に、星状神経節ブロックなどが行われますが、エビデンスレベルとしては低く、必ずしも顔面神経麻痺に効果があるかどうかは分かっていないのが現状です。
 
内服やブロック治療については、主治医と相談しながらすすめていくようにしてください。
 
 
エビデンス:科学的根拠
 
 
 

顔面神経麻痺(ベル麻痺)のリハビリテーション

 
現時点でベル麻痺に対してリハビリテーションがエビデンスレベルで効果があるとは言われていないものの、少なくとも効果は期待できます。
 
現時点で行われている方法としては、
 
  • 温熱療法
  • マッサージ
  • 鏡を用いたバイオフィードバック訓練
 
この3つがリハビリで主に行われる方法となります。
 
ポイントとしては、
 
  • 強いマッサージで行わないこと
  • 治したいという一心で頑張りすぎないこと
 
この2点には注意して行ってください。
 
リハビリはマイペースで行うことで、精神的にも落ち着いて行えるようになります。
 
 

温熱療法

急性炎症が認められる場合は、炎症症状が悪化することがあるため注意が必要ですが、炎症がない場合は、皮膚や皮下組織の柔軟性を得るために効果的となります。
 
マッサージを行う前段階として行うことが推奨されます。
 
方法としては、家庭で行うには、蒸しタオルなどを利用して行うようにしてください。
 
 

マッサージ

マッサージはベル麻痺において最も多く処方されるリハビリになります。
 
何となくマッサージするのではなく、筋肉の走行に沿ってゆっくりと滑らすように行ってください。
 
強いマッサージは逆効果になることもあるため、優しく愛護的に行うようにしてください。
また、顔にある筋肉で組織の癒着が起こりやすいポイントがあります。
 
ベル麻痺によって筋肉がうまく働かなくなることで癒着は起こりやすくなることが考えられるため、ポイントになる部分をマッサージすることも有効だと考えます。
 
以下の画像の✖︎印を30秒間圧迫+30秒間解放を繰り返し行ってみてください。
 
それで効果を感じる場合は継続して行うようにしてください。
 
表情筋トリガーポイント
 
よく美顔ローラーのようなコロコロ動かすマッサージ器具がありますが、負荷が小さいものなので、使い方次第では有効だと考えます。
 
試してみて、効果を感じるようなら継続するのも良いと思います。
 
 
 
 

頭皮マッサージも効果的だと考えられる

 
頭皮は顔の表情筋と連結しています。つまり、頭皮が硬いと表情筋にも影響してしまいます。もちろん、逆も然りです。
 
つまり、頭皮をチェックして硬い場合は、頭皮マッサージも有効であることが示唆されます。
 
以下の本は私も読んだのですが、医師が監修した頭皮マッサージの方法なども記載されていますので、安価ですし、是非読んでみてください。
 
 
 

鏡を用いたバイオフィードバック訓練

 
この訓練の目的は、麻痺後に起こる共同運動の抑制にあります。
 
共同運動とは、一部の筋肉を動かした際に動かなくてもいい筋肉まで一緒に動いてしまうことをいいます。
 
効率よく顔の筋肉をトレーニングしていきたいため、共同運動を抑えながら顔の筋肉を動かしていく必要があります。
 
そのために鏡を使用して、視覚で確認しながら行うことでより効果的となります。
 
鏡で確認しながら、動いていない部分があれば自分の手で補助しながら行うことも可能となります。
 
以下のサイトは、ご本人が顔面神経麻痺になってしまい、ご本人なりに作った運動方法がうまくまとめられています。
 
画像転載不可のようですので、こちらを参考にして行うようにしてみてください。
 
 
 

顔面神経麻痺(ベル麻痺)に低周波治療器は有効か?

 
中には、低周波療法が効果的と言われていることもありますが、否定的な報告も多く、積極的に行う必要はないと言えます。
 
なぜ否定的かというと、顔にある筋肉は非常に細かく繊細な動きをします。
 
しかし、低周波療法を行うことで、筋肉の収縮を強制的に起こすことは可能でも、繊細な収縮(分離運動)は促せません。
 
逆に低周波療法で余計な部分までの筋肉を収縮させてしまうことが(共同運動を誘発してしまう)考えられ、有効な効果は期待できません。
 
 

まとめ

 
顔面神経麻痺の1つである、ベル麻痺についての概要とリハビリテーションについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
まずは適切な診断と内服加療がベースとなります。
 
また、それと並行しながらリハビリを行うことで相乗効果を得られます。
 
ここで解説した内容を元に、セルフケアを行ってみてください。
 
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
 
 

顔面神経麻痺に関連する一般書

 
 

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ABOUTこの記事をかいた人

井上 直樹

リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。