糖尿病の合併症の1つ。糖尿病性神経障害による「糖尿病性足病変」の症状やフットケアについて解説します。


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PT井上(@Rehacon)です。

先日、糖尿病の概要と運動療法を中心とした治療方法について解説しました。

その中で、3大合併症のことを説明しましたが、その中の1つで「糖尿病性神経障害」がありましたね。
 
糖尿病性神経障害は、糖尿病の中でも比較的早い段階で症状が現れます。
 
神経障害は感覚なども低下させ、様々なトラブルを起こします。
 
そんな中でも「足の潰瘍(かいよう)」「壊疽(えそ)」などが問題となり、これを「足病変」といいます。
 
糖尿病性神経障害のフットケア(足のケア)はめっちゃ重要になります。
 
今回は理学療法士としてのエッセンスを含めながら、「糖尿病性足病変」について解説していきます。
 
 
【key word】糖尿病性足病変・フットケア・靴の履き方、選び方
【対象者】一般の方・PT・OT・看護師・ケアマネさん含めた介護従事者
 

糖尿病性神経障害をもう少し詳しく説明します

糖尿病の合併症である神経障害。
 
実はなぜ起こるのかははっきり分かっていないのが現状です。
 
一説では、高血糖状態が続くと「ソルビトール」という物質が神経細胞に悪さをするといわれています。
 
神経症状ですので、「ジンジンする」「ピリピリする」などの「痛み」や「しびれ」の症状が起こります。
 
さらに、動脈硬化などで血流障害が起こり、進行すると「閉塞性動脈硬化症(ASO)」を発症する可能性があります。

 
補足

【閉塞性動脈硬化症(ASO)とは】
足の血管の動脈硬化により、血管が細くなったり詰まったりします。
 
そのことで血流が悪くなり、手先や足先に十分酸素や栄養を送れなくなる病気です。
 
主な症状
・手足の冷感
・手足のしびれ
・間歇性跛行(かんけつせいはこう)
→ 数十メートル〜数百メートル程度歩くと、足(主にふくらはぎ)に痛みが出て歩けなくなる。休憩すると歩けるようになる症状。腰部脊柱管狭窄症も同じ症状がありますので鑑別が必要です。
・安静の手足の痛み
・手足に治りにくい潰瘍や壊疽が起こる
 
 
そして神経障害は、糖尿病の中でも比較的頻度の高い合併症になります。
 
 

症状の進み方

最初は主に「足の指」「足の裏」に症状が出て、手指にはあまりみられません。
 
その後徐々に手指にも同様の症状がみられるようになります。
 
進行していくと、痛みやしびれというのも感じなくなるくらい感覚が鈍くなります。
 
これが厄介です。
 
こうなってしまうと、神経障害に加え高血糖が長期間続くと体の抵抗力が悪くなります。
 
つまり、感染しやすくなります。
 
万が一傷などができてしまっても気付かずに傷口から感染 → 切断という最悪な状況になっていく可能性もあります。
 
そのためには足病変を早期発見し治療することが重要になります。
 
 

足の潰瘍と壊疽

 
引用画像:糖尿病掲示板
足病変
足の神経障害と血流障害によって、「潰瘍」と「壊疽」を起こす方が増えています。
 

潰瘍(かいよう)

皮膚が欠損し、感染を起こすと周囲は赤く腫れ、膿(うみ)が出てきます。
 

壊疽(えそ)

皮膚や皮下組織が腐ってしまうことをいいます。そのため、皮膚は黒っぽくなります。
 
 

日常生活の注意点とフットケア

 
  • 傷を作らないために、家の中でも靴下を履くようにしましょう。
  • 爪で皮膚を傷つけたりすることもあります。爪切りは定期的に行い、綺麗にしておきましょう。
  • 胼胝(たこ)や魚の目ができた場合は、自分で処理せずに病院に行きましょう。
  • 常に清潔を保つようにしましょう。
  • 保湿クリームを塗るなどして乾燥しないように心掛けましょう。
  • 靴づれで傷をつけないように、靴の選び方・履き方に注意しましょう。

 

理学療法士としてのエッセンス

日常生活での注意点の最後に記載しました。
 
靴の選び方・履き方
 
糖尿病性足病変

これはとても大事ですよ。

 
殆どの方がサイズは合っていません。だいたい大きめの靴を履いている方が多いです。
 
糖尿病では「有酸素運動」が大切ですが、その1つであるウォーキングをする場合、靴はとても重要になります。
 
もう一回言います。

 
靴の選び方・履き方が重要です!
 
医療関係者はもちろんですが、ケアマネさんや介護関係者の方々、ご家族を介護している方々なども靴の履き方と選び方を知っているだけで様々な予防が可能です。
 
以下の関連記事をお読みいただき、是非現場でアドバイスしてあげてくださいね。
 
 
補足

靴の履き方・選び方とは別に、インソール(中敷き)も大切になります。
 
中には靴にインソールが入っていない靴もあります。
 
これは足に優しくありません。
 
インソールが入っているもの、できれば新たにインソールだけを入れ直してあげることも必要です。
 
その時は是非、理学療法士にご相談ください。
 
 
 
 

まとめ

糖尿病による足病変は軽症〜重症含めて非常に多いです。

まずは糖尿病のコントロールが重要です。

糖尿病のコントロールには食事療法・運動療法・薬物療法の3つの治療が基本であることは先日説明した通りです。

万が一、糖尿病性の足病変が起きてしまったら、そして起きる前に予防的に介入できるならこの知識は役に立つと思います。

では、参考になれば幸いです。
 
 
 
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。