【専門家向け】続・診療報酬改定。新設・加算・算定要件の変更について解説します。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。

前回、診療報酬改定での回復病棟におけるアウトカムの評価について解説しました。

まだお読みでない方は合わせてお読みください。
 
今回は、一部加算になったものや算定要件が変更になった部分を解説していきます。
 
全文を読みたいかたはこちらをどうぞ。
 
注意
あくまでも個人的な見解に過ぎません。
【key word】診療報酬改定・加算・算定要件・新設
【対象者】PT・OT・ST・病院関係者
 

目次

回復期リハビリテーション病棟入院料。「体制強化加算」の施設基準の見直し

具体的な改定内容

(新設)体制強化加算2: 120点
 

体制強化加算2の算定要件

回復期病棟に専従の常勤医師2名以上及び専従の常勤社会福祉士1名以上が配置されていること。
 
専従する常勤医師のうち2名は、以下の全てを満たしていれば、回復期病棟の業務に従事していない日や時間において他の業務(外来など)をしてもいいよってことです。
 
但し、これに該当する医師はいずれも他の施設基準において専従医師として届けることはできません。
 
  1. 病院内において、前月に「外来リハビリ」「訪問リハビリ」を実施していること。
  2. 該当する2名の医師は、回復期病棟で働く曜日・時間を決めておくこと。要はシフトを決めておきなさいってことですね多分。
  3. 週に32時間(週4日)以上は、該当する2名の医師のうち少なくとも1名が回復期病棟で勤務していること。
  4. 該当する2名の医師は、いずれも回復期業務に週8時間以上は従事すること。
 
この4つ全てを満たしていれば加算対象ということになります。
 
1名は完全に常駐で1名は週1で回復期で働いていれば他業務と兼務できるということと私は理解しました。
 
病院で外来リハビリはしてても、訪問リハビリを実施しているところはまだまだ少ないでしょうから、算定できる施設は少ないのではないでしょうか。
 
前回の記事でも書きましたが、医療機関で訪問看護や訪問リハビリを立ち上げたほうがいいですねこれは。
 
ただ、ここでは細かく割愛しますが、訪問リハビリを導入しても様々な法の壁があります。
 
これらをクリアして加算をとるメリットがあるか検討が必要になりそうです。
 
 

ADL維持向上等体制加算の施設基準の見直し等

具体的な改定内容

ADL維持向上体制加算の増点。
25点 → 80点
 

算定要件

これまでの要件に追加要件が新設。

【追加要件を引用】

①自宅等、想定される退棟先の環境を把握し、退棟後に起こりうるリスクについて多職種とのカンファレンスで共有していること

②必要に応じて多職種と共同し、機能予後について患者がどのように理解しているかを把握し、多職種のカンファレンスで共有していること

③必要に応じて多職種と共同し、患者が再び実現したいと願っている活動、参加について、その優先順位と共に把握し、多職種のカンファレンスで共有していること

④専従又は専任者を含む5名以下の常勤理学療法士等を定めた上、該当者のいずれかが回復期で実際に6時間以上勤務した日に限り算定できる。
 

算定するための施設基準の見直し

回復期病棟に、専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士が2名以上又は専従の常勤理学療法士等1名と専任の常勤理学療法士等が1名以上配置されていること。
 
 
これは悪くない増点ですね。いやむしろいいですね。
 
施設基準もこの人数なら問題ないでしょうし、カンファレンスは当然行っているでしょうから、そこの内容を改変すればしっかり加算が取れますね。
 
 

初期加算、早期加算の算定要件等の見直し

具体的な改定内容

算定要件として、急性疾患及び急性増悪した慢性疾患に限る。また、初期加算、早期加算の算定起算日の見直し。
 
以下、追加要件・起算日について解説します。
 
 

心大血管疾患リハビリテーション料/呼吸器リハビリテーション料

追加要件として、急性疾患、手術、及び慢性疾患の急性増悪等の患者に限る。
 

起算日

発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いもの。
 
 

脳血管疾患等リハビリテーション料/運動器リハビリテーション料

追加要件として、急性疾患、手術、及び慢性疾患の急性増悪等の患者に限る。
 
 

廃用症候群リハビリテーション料(新設)

算定できる期間

廃用症候群に先行する急性疾患等の発症、手術若しくは急性増悪又は廃用症候群の急性増悪から30日
 

初期加算

算定できる期間

廃用症候群に先行する急性疾患等の発症、手術若しくは急性増悪又は廃用症候群の急性増悪から14日
 
廃用症候群について、詳細は以下にします。
 
 

経過措置

平成28年3月31日時点で早期リハビリテーション加算又は初期加算を算定している者については、従来通りとする。
 
 

疾患別リハビリテーション料、標準的算定日数等に関わる起算日の見直し

脳血管疾患等リハビリテーション料は180日、運動器リハビリテーション料は150日とこれまでと変わりません。
但し、追加明記されています。
 
急性疾患等の発症、手術及び慢性疾患の急性増悪等の患者は…
その他のものについては最初に診断された時点から180日以内に限り…
 
しっかりと主治医にこの起算日を書いてもらわないとコンプライアンス的にまずいという事になります。
 

廃用症候群リハビリテーション料(新設)

 
廃用症候群の診断又は急性増悪から120日以内
 
 

経過措置

平成28年3月31時点で脳血管疾患等リハビリテーション料(廃用症候群の場合を含む)及び運動器リハビリテーション料を算定している者については、当該時点における算定上限日数を適用する。
 
 

廃用症候群リハビリテーション料の新設

 

具体的な改定内容

廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位): 180点
廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位): 146点
廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ)(1単位):    77点
 

算定要件

廃用症候群も120日まで算定日数が設けられてますが、厚生労働大臣が別に定める疾患について治療が継続的に必要で改善の期待ができる場合、120日を超えても算定できる。
 
 

施設基準

  • 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)と同様。
  • 専従の常勤理学療法士・作業療法士については、その他の疾患別リハビリテーション料において常勤理学療法士・作業療法士として兼務することは可能。
  • 専従の常勤言語聴覚士については、第7部リハビリテーション第1節の各項目のうち専従の常勤言語聴覚士を求める別の項目について、別に定めがある場合を除き兼任は可能であること。
 

経過措置

平成28年3月31日時点で脳血管疾患等リハビリテーション(廃用症候群の場合)を受けている患者については、当該時点の算定上限日数を適用する。
 
 

要介護被保険者の維持期リハビリテーションの介護保険への移行等

今までも算定日数を超えた場合でも、1ヶ月に13単位まで疾患別リハビリテーションを算定できていました。
 
この制度を平成30年3月まで延長ということです。
 
これまでも維持期リハビリテーションについては廃止と言われ続けてますが、今回の改定でも延長となりました。
 
ただ、ここで問題が出てきました。
 
これまで、維持期リハビリテーションを受ける患者さんが要介護被保険者である場合に100分の90を算定できていましたが、100分の60に減算です。
 
さらに、介護保険のリハビリテーション実績がない場合は、これまでの100分の90算定から100分の80算定と減算です。
 
これはかなりの減収になることは間違いありません。
 
とんでもないですね。
 
今後病院の意向で「リハビリ打ち切り」という病院も出てくるかもしれません。
 
また「リハビリ難民」という言葉が出てくるかもしれません。
 
正直、介護保険への移行と言ってもうまくいってませんし、リハビリを適切に受けられる介護保険での受け皿も少なすぎます。
 
これには制度の壁があるからです。
 
結局厚労省は言ってることとやってることがめちゃくちゃですね。
 
 

目標設定等支援・管理料(新設)

要介護被保険者に対して、3ヶ月に1回機能予後の見通しの説明などを行えば加算をくれるというものです。
 
3ヶ月に1回の算定に限る。

初回: 250点
2回目以降: 100点
 
【算定要件 引用】

(1)脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション、運動器リハビリテーションを実施している要介護被保険者等に以下の指導等を行った場合に3月に1回限り算定する。

①医師及びその他の従事者は、共同して目標設定等支援・管理シートを作成し、患者に交付し、その写しを診療録に添付する。

②医師は、作成した目標設定等支援・管理シートに基づき、少なくとも次に掲げる内容について、医師が患者又は患者の看護に当たる家族等に対して説明し、その事実及び被説明者が説明をどのように受け止め、どの程度理解したかについての評価を診療録に記載する。

ア)説明時点までの経過
イ)治療開始時及び説明時点のADL評価(Barthel Index又はFIMによる評価の得点及びその内訳を含む。)
ウ)説明時点における患者の機能予後の見通し
エ)医師及びその他の従事者が、当該患者の生きがい、価値観等についてどう認識しており、機能予後の見通しを踏まえて、患者がどのような活動ができるようになること、どのような形で社会に復帰できることを目標としてリハビリテーションを行っているか、又は行う予定か。
オ)現在実施している、又は今後実施する予定のリハビリテーションが、それぞれエ)の目標にどのように関係するか。

③①及び②の交付、説明は、リハビリテーション実施計画書の説明、又はリハビリテーション総合計画書の交付、説明の機会に一体として行って差し支えない。

④当該患者が、以後、介護保険によるリハビリテーション等のサービスの利用が必要と思われる場合には、必要に応じて介護支援専門員と協力して、患者又は患者の看護に当たる家族等に介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等を提供する事業所(当該保健医療機関を含む。)を紹介し、見学、体験(入院中の患者以外の患者に限る。)を提案する。
 
(2)脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション又は運動器リハビリテーションを実施している要介護被保険者のうち、標準的日数の3分の1を経過したものについて、直近3ヶ月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合、当該リハビリテーション料の100分の90を算定する。
 
う〜ん…

加算ではあるものの、目標設定等支援・管理料を算定しないと減算。
 
確かに目標設定や予後予測というのは重要なんですけどね。
 
これは普通の療法士ならこれまでもいくらでもやってると思うんですが、強制的にやりなさい。ということになります。
 
やらないなら減算だからね。ってことです。
 
これまでのリハビリテーション計画書の内容も修正が必要かもしれませんね。
 
 

経過措置

目標設定等支援・管理料を算定していない場合の脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料の減算については、平成28年10月1日から実施する。
 
 

医療保険と介護保険のリハビリテーションについて、併給できる期間を拡大

これまで、医療保険のリハビリを終了し介護保険でのリハビリに移行すると、移行したその日から医療保険でのリハビリはできませんでした。
 
つまり、併用することもできませんでした。
 
今回の改定では一定の条件のもと、この点については緩和されました。
 
【追加要件のみ引用】

目標設定等支援・管理料を算定してから3月以内に、当該支援における紹介、提案等によって、介護保険におけるリハビリテーションの内容を把握する目的で、1月に5日を超えない範囲で介護保険におけるリハビリテーションの提供を受ける場合は当該「移行」に含まない。
 
「目標設定等支援・管理料を算定」という条件付きですが、1ヶ月に5日なら併用利用できるというのは患者さんにとってはいいことですね。
 
ここまで回復期ではどこも該当するようなところを解説しました。
 
 
以下は一部該当する部分の改定ですので、改定部分を列挙します。
 
気になる方は全文の方をお読みいただき、ご確認ください。
 
 

心大血管疾患リハビリテーション料の施設基準の見直し

具体的な改定内容

心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)の評価を充実するとともに、施設基準において、循環器、心臓血管外科の標榜を求めている施設基準を緩和し、循環器又は心臓血管外科の医師等がリハビリテーションを実施する時間帯に勤務していればよいこととする。
 
心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位)  : 105点  →   125点
 
 

生活機能に関するリハビリテーションの実施場所の拡充

医療機関外におけるリハビリテーションを疾患別リハビリテーションの対象に含める。
 
 

運動器リハビリテーション料の評価の充実

運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を増点。
180点   →   185点
 
 

リハビリテーション専門職の専従規定の見直し

難病患者リハビリテーション料において求められる「専従する2名以上の従事者」について、あらかじめ難病患者リハビリテーションを行わないと決めている曜日等において、他のリハビリテーション等の専従者と兼任できることとする。

また、当該リハビリテーションを実施していない時間帯は、別の業務に従事できることとする。

第7部リハビリテーション第1節の各項目の施設基準のうち、 専従の常勤言語聴覚士を求めるものについて、相互に兼任可能とする。ただし、摂食機能療法経口摂取回復促進加算については、前月の摂取機能療法の実施回数が30回未満である場合に限る。

 
 

リンパ浮腫の複合的治療等(新設)

リンパ浮腫複合的治療料

1.重症の場合: 200点(1日につき)
2.1以外の場合: 100点(1日につき)
 
リンパ浮腫指導管理料の実施職種に作業療法士が追加。
 
 

摂取機能療法の対象の明確化等

原因にかかわらず、内視鏡嚥下機能検査、嚥下造影によって多角的に存在が確認できる嚥下機能の低下であって、医学的に摂取機能療法の有効性が期待できる患者を摂取機能療法の対象とする。
 
経口摂取回復促進加算の施設基準について、現行より短期のアウトカム基準を満たすことで届出できる区分を設ける。
 
(新設) 経口摂取回復促進加算2: 20点
 
 

まとめ

 
いずれにしろ基本減算であり、加算となる部分も殆どが条件付き(書類は明らかに増える)となります。
 
書類関係の仕事が増えるということは、残業が多くなることや残業代が支給されない施設では書類をやるために早めに臨床を切り上げないといけないなど、かなり厳しい改定といえます。
 
ただ、厳しい厳しいと言ってばかりでは何も始まりません。
 
特にリハビリテーション科の管理者は、この改定を踏まえてやるべきこと・やった方がいいこと・やらない方がいいことを明確化する必要があります。
 
そして、新人さんでもコスト意識は持つべきだと私は考えていますが、リハビリテーション科全体でリハビリテーション科としての売り上げやランニングコストがどのくらい発生しているのか意識することが大切です。
 
その中でスタッフみんなが1つの方向を向いて進めていけば、きっとうまく対応できると思います。
 
 
今回はちょっと長くなってしまいました。申し訳ありません。

参考になれば幸いです。

 
 
 
 

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3 件のコメント

  • わかりやすくまとめていただき、ありがとうございます!
    一つ質問です。
    生活機能のに関するリハビリテーションの実施場所の拡充についてですが…
    医療機関外というのはどこまでの範囲なのでしょう??
    今回の改正で、どんどん病院外に出て、よりADLに特化したIADL訓練〈電車、バスの利用、買い物など〉を推奨してるということなんですか??
    見解を教えていただけると幸いです。

    • 通りすがりのOT小林さん。
      コメントありがとうございます。

      実施場所については明確化されていませんが、厚労省もICFを基に「生活機能」や「参加」などを重視してきている印象です。

      つまり、小林さんのおっしゃる通り、IADLの電車やバスの利用・買い物などがそれに該当すると私も考えます。

      勤務内の範囲で行え、患者様の日常に必要なことなら該当すると私は理解しています。

      • 早速の返信ありがとうございます!

        それを考えると、今までは医療機関外でIADL訓練を行っても算定とってはいけなかったのか…^^;?とか思ってしまいました。

        これからはどんどんと行っていこうと思います。
        ありがとうございます。
        次回の記事も楽しみにしております!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    井上 直樹

    リハビリテーションコンサルタントの井上です。 コンサルタントとはその道のプロが助言や指導をするという意味です。 リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。 リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。 コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。 どうぞよろしくお願いします。