世の中にはマッサージや筋膜リリース、トリガーポイント療法など様々な手技が存在します。
どの手技にも当てはまる事ですが、実際に施術にあたる専門家の技術差というのは少なからずあります。
もともと持っている知識や触診技術、原因を見極める評価能力というのはその原因の1つですが、それ以外に考えられることとして、
リリース能力の差
ということが考えられます。
触診はしっかりできている、評価もできている、でも結果が出ないという方は、単純に軟部組織をうまくリリースしきれていないのかもしれません。
今回のこの記事では、Pickが示している「リリースの階層」を基に解説をしていきます。
ファッシャル・リリース・テクニックを一部参考にしています。
ジェームズ アールズ,トーマス・W. マイヤース 医道の日本社 2012-06-01
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Pickが示したリリースの階層とは?
医師であるPickは組織を、
- 表層
- 治療層
- 拒絶層
この3つの層に分けています。
表層から1層ごとに深くなっていく階層ですが、これらは解剖学的なものなど、身体の明確な層ではなく「特定部位の機能不全や敏感さのレベルに応じたもの」であるとされています。
表層
表層はいわゆる「肌」に該当します。
ですので、治療レベルが表層に留まってしまうとヒリヒリするような痛みが起こり治療としてはあまり効果的とはいえません。
治療層
名前の通り、治療として捉えるべき層になります。
治療やボディワークでもこの領域で行われます。
よくクライアントさんが言う言葉として、
- 痛気持ちいい
- 痛いけどやってほしい
- 痛いけど嫌な痛みじゃない
こういう表現をする方がいると思いますが、この場合は治療層レベルで行えていると捉えてよいと思います。
拒絶層
拒絶層も名前の通り、痛みが強すぎることや痛みに対して悪い意味で反応があることをいいます。
トリガーポイント療法でいえば「
ジャンプサイン」が起こるほどの痛みは拒絶層といえるかもしれません。
身体を仰け反るような痛みや、冷や汗が出るほどの我慢のできない痛みなど、このような場合は拒絶層領域になってしまっている可能性があります。
筋筋膜治療では痛みが2〜3日残ることがありますが、その後非常に身体が楽になります。
どのように進めていくべきか
いくらこのリリースの階層を意識してやったとしても、うまく進まないこともあります。
治療層を捉えてやっていたとしても、しっかりリリースするにはもう少し深く、拒絶層領域まで踏み込んでいかないといけないケースもあります。
逆に、精神的な問題などで痛みの閾値が低く、ちょっと触れただけでも痛い方もいます。
このような場合は表層から少しずつ治療層へ上げていくことが必要です。
つまり、クライアントさんによって様々であり、評価をしながらうまく合わせていく必要性があります。
この辺は経験もとても大事ですし、治療者側の感覚の問題もあります。個人的にもまだまだ悩みながらやっている部分でもあります。
まとめ
筋膜や筋肉には痛みを感じる受容器が豊富にあります。
そのため、施術を行っているときに痛みは少なからず感じます。
この痛みの度合いをリリースの階層で捉えるとうまく調整することができるようになります。
細かくいえば、触り方やリリースする指や肘の入れ方の角度でもだいぶ変わってきます。
この辺りをうまくできるようになると今まで以上に治療効果を出すことが可能になるはずです。
このリリースの階層については、解剖学的なものなどは重要視されていませんので、クライアントさん側とのコミュニケーション能力、つまり「ラポール形成」はとても重要になってきます。
この辺りをうまくできると、より一層治療効果も高まってくると考えられます。
治療する側の1つの方法として参考にしてみてください。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
おすすめ書
この書籍は専門書になりますが、アナトミートレインの執筆者でもある
「トーマス・マイヤース」さんが書かれたものです。
アナトミートレインは治療要素はやや少ないですが、このファッシャル・リリース・テクニックは、アナトミートレインをベースとした筋膜リリースの治療本です。
アナトミートレインを読んでいる方はこちらも必ず読むことをおすすめします。
ジェームズ アールズ,トーマス・W. マイヤース 医道の日本社 2012-06-01
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