脳梗塞や脳出血などの脳卒中によく起こる膝の障害として「反張膝(はんちょうひざ)」というものがあります。
反張膝というのは、膝が必要以上に伸びてしまう状態を言い、膝が逆Cの字のようになってしまうことを言います。
反張膝が起こると、膝の痛みなどの機能的な障害が起きてしまいます。
放っておくと膝だけでなく、足首や股関節、腰など様々な場所に悪影響を及ぼすことがあります。
今回は脳卒中による反張膝にフォーカスをあてて概要とリハビリを中心とした治療・予防方法について解説をしていきます。
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反張膝の原因
脳卒中による片麻痺で反張膝になってしまう方は多いです。
その原因として考えられるのは、麻痺によって筋肉をうまく使えない、筋力が落ちてしまっている、筋肉のつき方のバランスが悪いなど、膝そのものの問題と、骨盤が過度に前に傾いてしまう(前傾)などの膝とは別の部位の問題でも反張膝は起きてしまいます。
これらの原因により、膝は骨や靭帯で膝を支える状態が起こり、このような状態を専門用語では「膝の骨性支持」と言います。
骨性支持が続いてしまうと、当然のことながら、膝の関節や靭帯にはストレスが大きくかかり、反張膝が作られてしまうということになります。
反張膝に対しての治療とリハビリテーション
反張膝は最初からあるわけでなく、段々と作られてしまうことの方が多いです。
つまり、脳卒中後の歩行訓練などで反張膝にならないように進めていくことが大切です。
そのために行われることとして、
- 筋力強化トレーニング
- 電気治療
- 筋肉の再教育
- 装具療法
- サポーターや弾性包帯の使用
一般的にはこのような方法で反張膝を予防しながら進めていきます。
筋力強化トレーニング
筋力強化としては、膝周りの筋力だけでなく、股関節周りの筋力強化も必要です。
股関節周りの筋力強化トレーニング、膝周りの筋力強化トレーニングの方法については、以下の記事で詳細にまとめていますので参考にしてください。
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電気治療
電気治療の目的は、麻痺の影響で上記に説明した筋力トレーニングが行えない場合などに行います。
自ら動かすことができない場合、電気刺激によって強制的に筋肉を収縮させて、筋肉の萎縮や筋力低下の予防を行います。
筋肉の再教育
反張膝を予防するために膝周りの筋肉を改めて使える、使いやすくなるために再教育をしていきます。
【方法】
- 平行棒や手すりなど、何かに捕まって行う。
- 立った状態から、該当する足を一歩前に出す。
- 一歩前に出した足の膝の曲げ伸ばしを、ゆっくりと一定のリズムで行う。
【間違った方法】
膝の曲げ伸ばしの際、膝が外側や内側に入らないように真っ直ぐ行うようにします。
注意点として、麻痺の状態によっては転倒する危険性がありますので、担当の理学療法士や作業療法士に指導してもらいながら行うようにしてください。
ご自宅で自主トレとして行う場合、転倒に十分注意しながら行うようにしてください。
装具療法
装具療法を行う目的は、歩行訓練を行う際の反張膝を予防することにあります。
麻痺の程度によって、長下肢装具・支柱付きの短下肢装具など使い分けます。
この辺りは、理学療法士が義肢装具士と相談しながら決めていきます。
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サポーターや弾性包帯の使用
目的は装具療法と同様ですが、装具をつける程でもない、でも少し不安定であるという場合にサポーターや弾性包帯を使用して立位・歩行訓練を行います。
まとめ
脳卒中後の障害の1つ、反張膝について解説をしましたがいかがでしたでしょうか。
反張膝は絶対に作ってはいけない障害であり、予防できるものです。
膝だけに捉われず、骨盤や股関節、足首など広い範囲で捉えていく必要があります。
ここでご紹介したものは一部になりますが、是非参考にしていただけたらと思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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