さて、今回は介護予防で重要な筋肉シリーズ第2回目です。
今回は「腸腰筋(ちょうようきん)」にフォーカスをあてて解説をしていきます。
前回は
脊柱起立筋について解説をしました。まだお読みでない方はこちらの記事も合わせてお読み下さい。
腸腰筋については、腸腰筋を構成する1つの筋肉である
大腰筋に関する記事を過去に書きました。
こちらも合わせてお読みいただくと、より理解が深まります。
それでは、今回は腸腰筋の概要とセルフケア・セルフトレーニング方法について解説をしていきます。
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腸腰筋の概要
腸腰筋は3つの筋肉で構成される総称を言います。
- 腸骨筋(ちょうこつきん)
- 大腰筋(だいようきん)
- 小腰筋(しょうようきん)
この3つの筋肉の総称を腸腰筋と言いますが、小腰筋については実際に存在しない方もいるという報告が数多くあります。
ですので、実際に重要なのは腸骨筋と大腰筋と理解してもらえたらいいと思います。
以下にそれぞれ説明をしていきます。
腸骨筋
起始:腸骨窩
停止:大腿骨の小転子
作用:股関節の屈曲・わずかな外旋、脊柱の屈曲
神経支配:腰神経叢、大腿神経
大腰筋
起始:第12胸椎、第1〜5腰椎の椎体
停止:大腿骨の小転子
作用:股関節の屈曲・わずかな外旋、脊柱の屈曲
神経支配:腰神経叢
小腰筋
起始:第12胸椎、第1腰椎
停止:腸恥隆起
作用:脊柱の屈曲補助
神経支配:腰神経叢
腸骨筋は骨盤にべったりと張り付いている筋肉ということがお分かりいただけると思います。
個人的に腸骨筋は重要視していて、経験上、腰痛や股関節周りの痛みを訴える方の多くに腸骨筋に機能不全を起こしています。
実際に触るのは非常に難しい筋肉なのですが、以下の画像に示している位置(白丸)で触ることができます。
いわゆる、腰骨を触り、その内側から少し上にいった位置になります。
この部分を虚血圧迫や摩擦を加えることで反応がよくなるケースが多いです。
また、大腰筋と腸骨筋はつながりがあるため、相互に影響を与えますし、大腰筋は呼吸筋である横隔膜とのつながりもあるため非常に重要です。
腸腰筋がなぜ重要なのか
腸腰筋の主な機能は、足を持ち上げること(股関節の屈曲)です。
歩くときに足が引っかかるなど、足がうまく持ち上がらない場合、腸腰筋の筋力が落ちていることが考えられます。
また、腸腰筋のもう1つ重要な要素として、歩くときに支えている足が後ろ(股関節伸展)にある時(以下の写真の黄色い線)です。
腸腰筋の柔軟性が悪いと股関節の伸展が生まれません。つまり、推進力が落ちて歩行の効率が悪くなります。
さらに、腸腰筋の柔軟性が悪く、筋肉が短くなる短縮が起こると、股関節が伸びないため、いわゆる猫背や円背姿勢になります。
この姿勢になってしまうと、歩行効率が悪くなるだけでなく、膝や足首も曲がってしまい他の筋肉の短縮にもつながります。
結果的に膝の痛みや腰の痛みなど全身に悪影響を及ぼします。
そうなってしまう前に、早め早めの予防をしていきましょう!
腸腰筋に対する筋膜リリース
【方法】左腸腰筋をリリースする場合(大腿直筋も同時にリリースされます)
- 右手を台の上に置き、左足を後ろに引き、左手で足を持つ。
- 頭を天井に引き上げ、上半身と下半身を引き離し20秒間キープ。
- 腰を反らしすぎないように注意する。
腸腰筋に対するストレッチ
【方法】左腸腰筋をストレッチする場合
- 右足を前に出し、左膝をつく。
- お腹を前方へ押し出し、伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。
- 腰を反らしすぎないように注意する。
【方法】右の腸腰筋をストレッチする場合(大腿四頭筋もストレッチされます)
- 仰向けになり、右膝を曲げ、左膝を立てる。
- 両手で左膝を抱え、お腹の方へ引き寄せる。
- 右側の腸腰筋が伸ばされていると感じるところで20秒間キープ。
腸腰筋に対する筋力トレーニング
【方法】
- 椅子に腰かけ、太ももを持ち上げる。
- 手で抵抗を加え、10秒間キープする。
- 身体が後ろに倒れないように注意する。
【方法】
- 仰向けになり、一方の足を持ち上げ、もう片方の足は膝を立てる。
- 持ち上げた足を膝が伸びないように注意しながら、10秒間キープする。
腸腰筋のトリガーポイント
腸腰筋にトリガーポイントができてしまうと、腰痛を起こすことがあります。
腰痛予防のために、トリガーポイントを起こしやすい部位のケアをしておくことをおすすめします。
以下の記事で詳細を解説していますので、合わせてお読みください。
【関連記事】
まとめ
腸腰筋の概要とセルフケア・セルフトレーニング方法について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
腸腰筋は介護予防領域だけでなく、スポーツ選手においても非常に重要な筋肉となります。
早め早めに予防を行うことで、怪我を未然に防げますし、パフォーマンスアップにも貢献します。
是非、参考にしてもらえたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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