疾患別リハビリテーション
「サルコペニア」とは?診断基準や栄養・予防方法について分かりやすく解説します。
みなさんこんにちは。
人間は歳をとると、徐々に筋力や体力が落ちてきます。
30代前半でも、日頃の疲れが取れなかったりちょっとした運動でも筋肉痛が酷かったりしませんか?
将来のために「貯金」をしている方も多いと思いますが、体のことも将来に備えていくことで「健康長寿」を伸ばしていくことができます。
そこで必要なのが「貯筋」です。
筋肉を貯めていくことはサルコペニア・ロコモティブシンドローム予防となり健康長寿につながります。
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今回記事に書くのは、「筋肉の喪失」を意味する「サルコペニア」について解説していきます。
さあ!貯筋をして健康長寿を目指していきましょう。
【Keyword】サルコペニア・筋肉の喪失・筋力低下・栄養・予防
【対象者】すべての方
サルコペニアとは
ギリシャ語で「Sarco/Penia」となり、2つを合わせた造語になります。
サルコとは「筋肉」を表し、ペニアは「喪失・減少・不足」を意味します。
つまり、サルコペニアとは「筋肉の喪失・減少・不足」を意味します。
40歳を過ぎると徐々に筋肉の量は減少していきます。そして高齢になればなるほど加速していきます。
80歳になるとピーク時の40%程度筋肉量が減ってしまうとの報告もあります。
半分近く筋肉量が減ってしまうんですね。これは恐ろしいことです。
加齢に伴い、歩くことをはじめとした「運動機能の低下」が見られるようになります。
運動機能の低下とは
人間が活動するために必要な機能です。
「骨・関節・筋肉・神経」などがこれに該当します。
補足
文科相からも発表されていますが、高齢者に限らず、乳幼児の運動機能低下も危惧されています。また、小中学校でも運動機能検診が今後導入されます。
サルコペニアの定義
進行性かつ全身性の「筋肉量」および「筋力低下」を特徴とする症候群。とされています。
もともと言葉の意味を考えると筋肉量の喪失などを意味しますが、最近の研究では筋肉量の喪失よりも「筋力低下」のほうが運動機能低下への影響が大きいと言われています。
つまり、
筋肉の量が多い=筋力がある
とはならないことがお分かりいただけるかと思います。
筋肉というのは、使わないと筋肉の反応が鈍くなります。筋肉量は少なくても、状態に応じて運動を行っていくことが重要ということになります。
サルコペニアの診断基準
欧州のワーキンググループ、EWGSOPによると診断基準は、
「筋肉量の低下を前提とした上で、筋力あるいは筋肉機能のいずれかの低下を併せもつこと」
としています。
- 低筋肉量
- 低筋力
- 低身体動作
この①を裏付ける証拠に加え、②あるいは③を満たす場合に診断されます。
筋肉量を調べるにはDXA法やBIA法という検査方法が推奨されていますが、かなり細かいので割愛します。
筋肉量を調べる手段はこんなものがあるのか程度でご理解いただければいいです。
筋力を調べるには、基本的に「握力測定」が推奨されています。この背景には、以外かもしれませんが握力は体全体の筋力をみる指標になっているからです。
細かな筋肉を調べるには理学療法士などの専門家が詳細に調べる必要がありますが、大まかに筋力を知るには握力測定が適しているということです。
指標となる握力数値
身体機能をみるのには、「歩行速度」を調べることが推奨されています。
歩行速度は、筋力ももちろんそうですし、バランス機能や体の協調性などもそれで大まかに評価することができます。
歩行速度の指標
筋肉量の低下を認め、さらに上の指標を下回った場合にサルコペニアと診断されます。
サルコペニアと栄養
サルコペニアに対する栄養は特に「タンパク質」が重要とされています。
高齢になると食欲も低下し、食事の絶対量が減ります。これによってタンパク質の摂取量が減ります。
また加齢に伴い、運動量も減っていきますので余計筋肉量や筋力というのは減っていく傾向になります。
タンパク質を効率よく摂取していくことがポイントになります。
タンパク質を多く含む食品
- しらす
- いくら
- 赤身のマグロ
- かつお
- いわし
- 牛ヒレ肉
- 豚ヒレ肉
- 豚もも肉
- 鶏胸肉
- 鶏ササミ など
一部を例に挙げてみました。肉はヒレなど脂身の少ないものがいいとされています。
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サルコペニアの予防方法
まずは上半身の運動をご紹介します。
「セラバンド」というゴムチューブを使用したトレーニングの例です。
セラバンドは様々な場面で使うことのできる優れものです。おススメするアイテムの1つですよ!
ゴムの強度(硬さ)は、黄色→赤→青→緑→黒 の順で硬くなっていきます。黄色、赤あたりから始めるといいですよ。
まとめ
筋肉量の低下や筋力の低下は決して高齢者だけに当てはまるわけではありません。
若くても過度なダイエットで食事が偏ればサルコペニアは十分にありえますし、運動習慣がない方にもありえます。
早いうちから「貯筋」していくことをお勧めします。
筋力トレーニングが苦手な方は、ウォーキングからはじめるといいですよ。
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参考になれば幸いです。
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