『電通』過労死から学ばなければいけない理学療法実習での学生の自殺について。


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理学療法士の井上(@Rehacon)です。
 
 
痛ましい事件がまたもや起きてしまいました。
電通に勤めていた若い女性の方(24歳)が自殺した問題は、毎日のようにテレビでもネット上でも報道されています。
 
この報道を見て、以前にあった理学療法士を目指す学生さんの自殺の件について思い出しました。
改めてこのうような実態はあるべきではないし、是正してほしいものです。

私なりに考えてみました。

 
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電通の過労死

 

昨年のクリスマスに起こったこの痛ましい事件。過労によるものだと「労災」認定されました。

自死直前のSNSの書き込みには、

・「男性上司から女子力がないと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である」「鬱だ」
・「もう体も心もズタズタだ」
・「眠りたい以外の感情を失った」
・「毎日次の日が来るのが怖くてねむられない」
 
引用:毎日新聞ニュース
と記されています。

どうでしょうか?

まずここで着目すべき点は、「長時間勤務による過労」ということではない点です。

上司からは「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」というようなことも言われていたようです。

明らかにパワハラですよね。これは。

メディアでの報道では「長時間勤務」というところに多くの注目が集まっているようにみえますが、それだけで片付けられる問題ではありません。

 
 

理学療法学生さんの自殺

 
「理学療法士 実習 自殺」というキーワードでTwitterの書き込みを見てみたのですが、結構出てきますね。
 


貼られているリンクはなぜか削除されていてもう見られなくなってますね。

 
 

どのような事件だったのか

 
理学療法士を目指す近畿リハビリテーションの学生さんが、2013年の11月から辻クリニックという医療機関へ臨床実習を受けていました。

指導者であるバイザーから過度な課題、理不尽な叱責を含むいじめ、パワハラがあったようで、学校側も適切な対応を怠たり、結果的に自死へ至ったという事件です。

この事件については、業界内でも非常に注目されましたし、ここ何年以上も前からこういう問題は挙げられていたように思います。

当事者である学生さんは、近畿リハビリテーション学院という学校に在籍していましたが、何とこの5年でここの学生さんが2人も自死しているとのこと。

私が学生だった頃も実習は厳しいもの、厳しくて当たり前、バイザー(指導者)がイエスと言えばイエスと言え。と教えられました。

これはこの業界の古き悪き時代の考え方そのものが残っており、乗り越えた学生が指導者となった時にまた繰り返されることがあります。

これは人によって様々で、「やられたからやり返す」みたいな人がいるためこういうことになってしまいます。

実際にこう言ってた上司がいましたからね。本当にあり得ないし悪循環。

 
 

理学療法士学生の実習問題を問う

 
見出しのタイトルの通り、

「理学療法士学生の実習問題を問う・近畿リハビリテーション学院と辻クリニックに対する裁判を通して考える」というサイトがあります。

こちらのサイトは、近畿リハビリテーション学院と辻クリニックに対して提訴し、裁判の経過を情報公開しているサイトになります。

ここのサイトを覗いてみると、提訴の理由とサイト開設の経緯がこのように書かれています。

 
当事者であるはずの辻クリニックおよび近畿リハビリテーション学院両者に全く反省の色が見られないことから、この問題を広く世に問うため、提訴することに決めました。この訴訟を通じ、医療系、特に理学療法士を目指す学生の置かれた状況を明らかにし、問題の原因解明と業界の体質改善を追求する決意です。
 
 
 

電通の事件との関連性

 
ここまで読めば誰でもお分かりいただけるとは思います。
 
 
パワハラ
 
 
という一言に凝縮されるんだろうと思います。

理学療法実習では、実習先がどこの病院か、担当する指導者が誰かで大きく変わります。もちろん、仕事でも上司や会社によるとは思うので同じです。

明らかに、物理的にも無理難題な課題が与えられる、セラピストの見学をするときは膝をつけ、暴言、態度等々、パワハラが横行している施設もあります。

 
  • 結果的に膨大な課題により寝る時間がない
  • 暴言や酷い態度などが積み重なり、眠れなくなる
 
こういうことで睡眠不足になり、心身ともに侵されていきます。

電通の女性もそうです。

長時間勤務になる根本はパワハラにあります。睡眠不足になる根本はパワハラにあります。

そして身も心も壊れます。

 
 

全てがそうではないということも理解する必要がある

 
ただし、勘違いしないでほしいのはそんなところばかりではないということです。

私が行った実習では、めちゃくちゃ厳しいところもありましたが、愛のあるムチでした。

体は疲れていましたが、精神的にはそこまでではなかったように記憶してます。

これは知らず知らずのうちに指導者がフォローしてくれたり、周りのスタッフがフォローしてくれてたおかげだと思います。

仕事もそうです。

はじめに就職した病院では、上司がまあ厳しかったのと理不尽なことばかり言われましたが、周りの先輩達や同僚の仲間が助けてくれました。

そのお陰で今があります。

 
 

理学・作業療法士を目指す学生さんに伝えたいこと

 
ここまで自殺の根幹はパワハラだということを長々書いてきましたが、学生の皆さんには1つ理解しておいてほしいことがあります。
 
  • あいさつをしっかりする
  • 言葉遣いを気をつける
  • 患者様に対して敬意を払う
  • 遅刻をしない
 
病院スタッフや担当させていただく患者様には、このような「礼儀」だけはしっかりしてください。

これはバイザー云々の問題ではありません。これができずに怒られて、「パワハラだ!」というのはおかしな話です。

ちゃんと礼儀があって真面目に実習に取り組んでいれば、本来であれば実習はクリアできるはずです。

 
 

免許を取得して働き出してからもあるパワハラ

 
これは電通の事件でもそうですが、どこの会社でも起こり得ることです。
 
  • 仕事ができないんだから〇〇〇
  • なんでそんなことやってるんだ
  • さっさと仕事を覚えろ
  • 給料泥棒

もしこんなこと言われて悩んでいる療法士の方々がいたら、さっさと辞めて転職をしましょう。

素晴らしい療法士はたくさんいますよ。

【関連記事】
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最後に

 
礼儀をもって真面目に実習に取り組んでいるにも関わらず、酷い暴言を浴びたり、物理的におかしな量の課題を与えられたり、パワハラを受けるようなことがあれば、まずは学校の先生に相談をしましょう。

それでもうまく事が進まない、改善されず精神的に辛くなってきたら以下のようなところもあるようですので、活用するのも良いと思います。

 
 
 
命は何よりも大切なものです。

自分の体と心をまず第一に考えてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 
 
 
 
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2件のコメント

悪質な実習先やバイザー相手に
礼儀や真面目であることなんて通用しませんよ。
学生のせいにするのやめませんか?

コメントありがとうございます。

仰る通り、バイザーによって通用しないことも理解した上で、基本的な部分は忘れないようにしましょう。と言ったつもりです。

根本的な解決をするには、実習の在り方そのものの構造を変えないといけないことなんだと思います。

ですので、本文の流れを全て読んでいただければ、学生のせいにしているとはならないと思うのですが… むしろ学生さんのことを応援している気持ちの方が個人的には強いので…

言葉足らずだったのかもしれません。

不快な思いをさせたのなら申し訳ありませんでした。

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。