「脳卒中」に対する離床。安全かつ積極的に離床を促しましょう。


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みなさんこんにちは。
PT井上(@Rehacon)です。

急性期病院で働くPT・OT・ST、看護師にとってこの「脳卒中」に対する離床をどういう風に進めていくかはとても重要になります。

急性期では安全かつ積極的に離床を進めていくことができれば、クライアントさんのその後の回復に大きく貢献できます。

しかし、怖いから・危ないからこんな理由で離床しないのは逆に不利益を与えることになります。

主治医・看護師・リハビリテーション職種、チームになって関わることが重要です。

本日は「脳卒中」に対する離床の記事を書きますよ。

【Keyword】脳卒中・急性期リハビリテーション・早期離床
【対象者】PT・OT・ST・看護師

脳卒中に対する急性期リハビリテーションの重要性

脳卒中に対する急性期リハビリテーションの重要性は理解していると思います。

「脳卒中治療ガイドライン」でも推奨されています。

  1.  廃用症候群を予防し、早期のADL向上社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる。
  2. 脳卒中ユニット、脳卒中リハビリテーションユニットなどの組織化された場で、リハビリテーションチームによる集中的なリハビリテーションを行い、早期の退院に向けた積極的な指導を行うことが強く勧められる。
  3.  急性期リハビリテーションにおいては、高血糖、低栄養、痙攣発作、中枢性高体温、深部静脈血栓症、血圧の変動、不整脈、心不全、誤嚥、麻痺側の無菌性関節炎、褥瘡、消化管出血、尿路感染症などの合併症に注意することが勧められる。

    ※引用元:脳卒中治療ガイドライン2009

ガイドラインでも示されていますが、「早期座位・立位」は強く推奨されています。

 

脳卒中に対する早期離床の効果

  1. 廃用症候群の予防(過去の記事:廃用症候群に対するリハビリの基礎知識
  2. 運動機能の予防・改善
  3. 認知機能の予防・改善
  4. 早期歩行能力の獲得
  5. 基本動作(寝返り・起き上がり・端座位・立ち上がり・立位保持・移乗)の獲得
  6. 日常生活動作(トイレ動作・入浴動作など)の獲得

 

こんなところが挙げられます。

 

脳卒中に対する離床開始基準と中止基準

基本的な原則

意識障害が軽度で入院後24時間神経症状の増悪がなく、運動禁忌の基礎疾患がない場合に離床をすすめる。

脳梗塞に対する離床開始基準

【ラクナ梗塞】診断日より開始
【アテローム血栓性梗塞】進行型脳卒中に移行する可能性があるため、発症から3~5日は神経症状の増悪がないか確認しなければ開始
【心原性脳塞栓症】心機能を評価、心内血栓の有無を確認後に離床開始

 

脳出血に対する離床開始基準

  • 発症及び手術24時間後CTにて血腫の増大、水頭症が認められない。
  • 収縮期血圧160mmHg以下でコントロールされている。

 

クモ膜下出血に対する離床基準

  • 破裂脳動脈瘤の処置がされている。
  • 血圧がコントロールされている。

 

早期離床中止基準

意識レベル

意識レベルや反応が鈍くなった時は中止する。

血圧低下時

  • 血圧低下が30mmHg以上の時は中止
  • 血圧低下が30mmHg未満の時は自覚症状やその後の回復具合で判断

血圧上昇時

【脳梗塞】220mmHg以上になった場合は中止
脳出血】安静時より30mmHg以上の上昇、もしくは180mmHg以上になった場合は中止

早期離床の開始基準と中止基準については以前にも記事に書きましたので、合わせて読んでいただくと理解がさらに深まります。
早期離床とワッサーマンの歯車

 

まとめ

脳卒中ガイドラインでも示されているように、脳卒中の方に対する早期離床は非常に重要です。

安全に早期離床を行うことで、クライアントさんのその後の回復具合は必ず変わります。

つまり、その後の人生に関わるということです。

早期離床は非常に有効ですが、闇雲に離床させるのはよくありません。

あくまでも安全にそして安全の中で早期に離床させることが重要なんです。

主治医や病棟看護師と協力して離床させていくことが最も重要です。

参考になれば幸いです。

 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。