メディカルフィットネスというものをご存知でしょうか?
最近では24時間運営のフィットネスジムが非常に流行っており、様々な企業が参入しています。
有名な所ではエニタイムフィットネスやフィット24、ゴールドジムなどこういったところが皆さんが知っているフィットネスジムになるのではないでしょうか。
今回この記事において、メディカルフィットネスとはどんなものなのか?普通のフィットネスジムとの違いは何なのか、現在弊社でメディカルフィットネスの企画から始まり、運営サポートをしているメディカルフィットネスがあり、その内容についても色々と書いていきたいと思います。
メディカルフィットネスとは
メディカルフィットネスとは名前の通り、医療的な要素を取り入れたフィットネスのことを指します。また、医療機関との架け橋になる・なれる場所と筆者は定義しています。
現在、日本では超高齢社会になっており、医療に限らず介護健康における社会保障費増大が一つの課題となっており、予防的な要素からこのメディカルフィットネスは大きな注目を集めています。
本来、医療法人というのは、原則として病院やクリニックの運営以外の業務を禁じられていますが、
医療法第42条によって病院やクリニックの附帯業務として運営が認められています。
定義としては、疾病予防のために有酸素運動を行わせる施設となっております。医療法第42条では、以下のように施設基準が設けられています。
医療法第42施設の基準
厚生労働省では、医療法第42施設の施設基準を以下のように定めています。
職員に関する基準
健康運動指導士、その他これに準ずる能力を有するもの
設備に関する基準
- トレッドミル自転車エルゴメーター。その他の有酸素運動を行わせるための設備
- 筋力トレーニング、その他の補強運動を行わせるための設備
- 背筋系、肺活量測定用具。その他の体力を測定するための機器
- 最大酸素摂取量を測定するための機器
- 応急の手当てを行うための設備
運営方法に関する基準
- 成人病その他の疾病にかかっている者及び血圧の高い者、高齢者その他の疾病予防の必要が高い者に対し、適切な保健指導及び運動指導を行う。施設として運営されること
- 附置される診療所は、施設の利用者に対する医学的な管理を適切に行えるよう運営されること
- 会員等の施設の継続的な利用者に対して、健康診断保健指導及び運動指導を実施すること
- 会員等の施設の継続的な利用に対して、健康記録カードを作成し、これを適切に保存、管理すること
42条施設で義務付けられている、42条施設に附置される診療所については3点の規定があります
- 医療法第12条の規定による管理免除または2箇所管理の許可は原則として与えないこと
- 診療所と疾病予防運動施設の名称は、紛らわしくないよう、別のものを用いること
- 既設の病院または診療所と同一の敷地内、または隣接した敷地に疾病予防運動施設を設ける場合にあっては、当該病院、または診療所が疾病予防運動施設の利用者に対する適切な医学管理を行うことにより、新たに診療所を設けなくとも良いこと
以上、このように医療法第42条によって医療法人でもメディカルフィットネスを運営することは可能ですが、施設基準を満たすためのハードルは非常に高くなっています。
例えばトレッドミルなどを導入するということになると、100万円単位の設備が必要になってきますし、背筋系や肺活量、測定用具などの体力を測定するための機器。こちらについても非常に高価な投資をしなければなりません。
一方で医療法第42条にこだわりがない場合では、医療法人ではなく、株式会社などの営利法人によって、メディカルフィットネスを独自の内容で提供することは可能です。
現在弊社で行っているメディカルフィットネスのサポート事業では、運営母体が医療法人ではあるものの、グループ企業の株式会社でメディカルフィットネスを運営しています。
本来であればメディカルと言ってるぐらいですから、医療国家資格を持つスタッフが関わることが可能であれば、質の高いフィットネス事業を提供することが可能となります。
現在、弊社でサポートをしているメディカルフィットネス事業の概要について少し説明をしていきます
普通のフィットネスジムとメディカルフィットネスの違い
昔からあるジムというのは、駅前にあり、マシントレーニングや個別のヨガクラスとかシェイプアップクラス、プール、お風呂がついているような大きいフィットネスジムというのが定番でした。
有名どころでは、ティップネスやルネッサンスなどがそれにあたります。
ここ最近では、24時間運営をしているジムが増えて、コアタイム以外はスタッフは無人。マシントレーニングを中心に、パーソナルトレーニングは予約制でシャワーのみがある、気楽に自分の時間に合わせて通えるジムというのが主流になってきました。
有名どころでは、エニタイムフィットネスやフィット24、ティップネスもファストジムという24時間フィットネスを始めているくらい、24時間フィットネスが定着しつつあります。
日本は、国民健康皆保険があるため安く医療を受けられます。その背景から、自身の『健康増進』という部分についてはアメリカなどの他国と比較して、あまり意識が向かない現状(良くも悪くも)があります。
サプリメントなどもアメリカなどと比べれば、圧倒的に遅れを取っているのはこのような背景があると考えられます。
とはいえ、健康産業は大きな市場となってきており、今後の日本は社会保障費の増大から、現在の国民健康皆保険を継続するのが難しくなってきます。
今でも徐々に2割負担、3割負担というのが出てきてますし、介護保険においても同様です。
つまり、これまでの医療費負担が大きくなるわけですから、自分自身で健康を守っていかなければなりません。
そういった視点からも、フィットネス産業が大きくなっていくことはもう明白です。
そのような中で、これまでのフィットネスジムや今定着しつつある24時間フィットネスに続いて増えていくことが考えられるのがメディカルフィットネスです。
これまでのフィットネスジムとメディカルフィットネスは似てるようで全く違うものです。
メディカル=医療
医療に関わる国家資格者が関わり、医療機関とつながれる存在になること。ここが一番重要なポイントになります。
これまでの健康産業の課題
メディカルフィットネスが増えていくということは、医療に関わる専門家が健康予防領域に関わるということです。
これまで医療機関とフィットネスジムなどの健康産業の間には、大きくぽっかりと空いた課題がありました。
これまでは、医療機関はあくまでも医療機関。医療にかかる前のフィットネスジムやリラクゼーションサロン・整骨院などは、あくまでも単体で動いているだけであって、医療機関側と繋げられる中間地点、つまりメディカルフィットネスのような存在がなかったと言えます。
整骨院も柔道整復師や鍼灸師という医療類似国家資格者がいますが、あくまでも骨・関節・筋肉などの運動器系が対象です。
つまり、医療という視点でみれば整形外科領域となります。
ですが、健康というのは整形外科領域のみならず、内科領域も必要です。この領域なども予防という視点でみれる存在が必要です。
そのような存在がこれまでいなかった、ぽっかりと大きな課題がそこにあったと言えるでしょう。
メディカルフィットネスは、この大きな課題を解決するためにとても重要な立ち位置となります。そして、ここのニーズは広がりを見せていくことが予想されます。
医師・理学療法士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・健康運動指導士が立ち上げたメディカルフィットネス事業
医療機関で提供されているサービスというのは、二次予防や三次予防がほとんどです。
二次予防というのは、健康的な異常が現時点で出ている段階であり、早期発見・早期治療によって重症化を予防することを指します。
三次予防というのは、治療過程において保健指導やリハビリテーションを行うことにより社会復帰を促したり、再発を予防することを指します。
これまでの医療機関では、この二次予防・三次予防の関わりがほとんどでしたが、社会の流れ的にも一時予防、つまり、病気になる前から健康増進をして疾病予防していく、ここに重点を置く医療機関も出てきました。
冒頭にも書いたように、医療法第42条による施設はハードルが高く、なかなか進まないこともあるため、ここにこだわるのではなく、民間サービスとして医療従事者が関わり、質の高いサービスを提供していく。これもまたメディカルフィットネスの1つの形であります。
現在関わらせていただいているメディカルフィットネスでは、声を上げたのが医師であり、企画提案をしたのが筆者である理学療法士、その企画をベースに形を作っていったのが、医師・理学療法士・柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師・健康運動指導士・その他経営層です。
今よくあるフィットネスのようなマシントレーニングをベースとしたものではなく、症状や目的別に応じたクラス設計をし、会員さんは自分の目的や体の症状・状態、そういったものに応じたクラスに入会することができます。
例えば、肩こり・腰痛クラスがあったとして、日常的に肩こりや腰痛がひどい方向けの運動プログラムを専門家たちが作成し、提供しています。
会員種別に応じて、専門家からボディケアを受けることも可能です。もちろんオプションでボディケアを受けることも可能です。これらボディケアも、医療系国家資格を持つ人が必ず対応しています。
また、コロナ禍であることから、オンラインを活用したサービス提供もしています。
医師・看護師・理学療法士・管理栄養士、このような職種に医療・健康・栄養に関わる相談をオンラインを活用して相談できる仕組みにしています。
医療機関、医療従事者との架け橋になるジムを目指して現在も運営しています。
他のフィットネスとの差別化を図る
冒頭に申し上げた通り、いわゆるフィットネスというのは、マシントレーニングが中心となっています。そこにパーソナルトレーニングがオプションであります。
これをメディカルフィットネスでも同じようにやったところでうまくいかないと私は考えています。せいぜい、国家資格をもつスタッフが関わっていますという程度の差別化にしかならず、お客さまにとっては実はそんなに大きなことではありません。
確かに、国家資格をもつ人がいるほうが安心感や信頼感にはつながるかもしれませんが、マシントレーニングをメインにしていては、あまりその優位性を活かせません。
それよりも、国家資格者がいることでどんな価値を提供できるか、他にはないサービスを提供できるか、ここを追求していく必要があります。
また、事業展開していく上で当然ですが、周囲の商圏分析や市場調査をしっかりやることで、競合他社がどの程度いてどんなターゲット層が多いのか把握できます。
その上で、価値提供を考えていく。医療従事者がフィットネスにどう価値を落とし込んでいけるのか、それをどう認知してもらうのか。
ここが差別化を図る上で重要なポイントになります。
保険サービス(例:デイサービス)と自費でのメディカルフィットネスを併用する
1つの例として、通所介護(デイサービス)事業と自費でのメディカルフィットネスを併用することもおすすめしています。
保険サービスは、人員基準や施設基準があったり、保険点数が決まっているので売上上限があります。
そこがデメリットとなりますが、それでもある程度稼働率を保つことができれば、安定的な利益を生むことができます。
一方で、自費サービスは単価が上がるために集客までに時間を要すこと、すなわち広告宣伝費もある程度投下しないといけないことがデメリットとなります。
これらお互いのデメリットを補填し合うことができれば、リスクも軽減できます。
また、厚生労働省の指針としては、自立支援です。現在のデイサービス産業は、競合他社も多いため、とにかく囲い込み通い続けてもらわないと収益が安定しないという現状があります。
ですが、今のデイサービスは、厚労省の指針の通り自立支援を向けたサービスでないといけないわけであり、長く通い続けてもらうのではなく、自立支援に向けたサービスを本来はするべきであり、今後もそのような流れに間違いなくなります。
日常生活が自立したら、メディカルフィットネスに通って身体の心身機能の維持増進をしてもらう。ここを目指すべきでもあります。
そのためにも、保険事業に加えてメディカルフィットネスを併用した仕組み作りができていれば、デイサービスを運営する企業もご利用されている方々もWin-Winの関係になります。
このように、実は、デイサービスやデイケアといった医療機関に近い保険事業である通所サービスは、メディカルフィットネスとの相性が良いので、是非自費サービスの展開を考えてもらいたいと個人的に思います。
まとめ
少し長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
メディカルフィットネスは注目されてきているのにも関わらず、なかなか参入しにくい産業だとも言われています。
これまでフィットネスジムを運営する企業も、医療機関との隔たりをどう解消したらいいのか分からない、医療機関は医療のことは分かるけど、ヘルスケアという領域になるとどうしたらいいか分からない、このような状態に今あります。
弊社では、代表が理学療法士ということもあり、メディカルフィットネス運営サポートも現在も行なっています。
随時無料で相談(オンライン)にも乗っていますので、メディカルフィットネスを検討している企業様はお気軽にご連絡いただければと思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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