理学療法士の井上(@Rehacon)です。
前回、リハビリテーション職種が覚えておくべきフィジカルアセスメントについて大まかな概要を書きました。
フィジカルアセスメントについて少しずつ、私なりに経験してきて大切だなと思うところをもう少し掘り下げて解説していきたいと思います。
今回は今の時期に多い「脱水」に対してのフィジカルアセスメントについて解説していきます。
【key word】脱水・フィジカルアセスメント
【対象者】療法士・療法士学生・看護学生
脱水に対する問診
訪問リハビリにおいて、脱水は問診がとても大切です。
まず脱水の症状があるか確認する必要があります。
脱水の症状
このような症状がないか問診とバイタルサインを確認することがまず重要です。
そのうえでさらに細かくチェックしていきます。
病院であれば実際にどれだけご飯を食べて、水分をとっているか、お小水はどれくらい出ているかというのを看護師さんが管理してくれています。
しかし訪問の場合、ご家族がちゃんと見てくれているところではご家族に情報を得ればいいと思いますが、独居の方もいらっしゃいます。
このような場合、実際にどの程度水分をとっていて、お小水がどれくらい出てるかを聞き出すことは重要です。
また注意が必要なのは、軽度の認知症があるとか、飲んでないと何か言われると思って飲んでいないにも関わらず、
「しっかり飲んでます。」
と、ちょっと話しを盛ってしまう方もいますので普段の様子からある程度推測していくことが重要です。
補足
できればどんな飲み物を飲んでいるのかも確認するとよりいいと思います。
高齢の方の場合、お茶が中心だったりしますが、お茶は利尿作用があります。
塩分制限されていない場合などは、水分摂取が少ない場合はお茶ではなく、スポーツ飲料やOS-1などの経口補水液をおすすめするほうがいいです。
脱水に対する視診
脱水を起こしている方は皮膚が乾燥しています。
特に高齢者では元々皮膚が乾燥していることが多く、さらに乾燥しているようなことがあると、この時点で重篤な脱水を起こしていることがあります。
確認すべき部位は、
- 脇が乾いてないか
- 口の中や舌が乾いてないか
- 唇が乾いてないか
このあたりの皮膚の乾燥状態を確認する必要があります。
脱水に対する触診
脱水では有名なテストがあります。
- ブランチテスト
- ツルゴール(皮膚の張り)テスト
この2つのテストがメジャーです。
ブランチテスト
親指の爪をグッと押して離してください。
爪の中の色を確認します。
圧迫すると色は白くなり、離して血行が戻ってくるのがお分かりいただけると思います。
目安としては3秒です。
3秒経っても色が戻らない場合、脱水を疑います。
ツルゴール(皮膚の張り)テスト
手の甲の皮膚をつまみ上げ、離してください。
つまみ上げた皮膚がすぐに戻ってくることがお分かりいただけると思います。
目安としては2秒です。
皮膚が2秒経っても戻ってこなければ、脱水を疑います。
トータルで考えることが大切
脱水のフィジカルアセスメントでは、問診・視診・触診が関わってきますが、どれか1つ当てはまれば脱水ということではありません。
問診をして、明らかな症状がある、食事量や水分量が明らかに少ない。体がだるい。
視診をして、皮膚の乾燥が強い。
触診をして、ブランチテストもツルゴールテストも陽性。
このようにトータルで考えた時に脱水傾向が強いなと判断できますので、速やかに医師に状況報告することが必要です。
まとめ
脱水に対するフィジカルアセスメントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
高齢の方の場合は、気づいたら重症になっているということも少なくありません。
注意深く観察していくことが、早め早めの予防になります。
参考になれば幸いです。
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