みなさんこんにちは。
PT井上(@Rehacon)です。
脳卒中では脳のどこの部位に障害を受けるかで症状は変わってきます。
しかしながら原因が分からない症状があるのも事実。
今日は原因がはっきりと分かっていない症状の代表格「肩手症候群」についておもしろい研究がありました。
今日はその研究を紹介します。
セラピストの方々は試す価値はあると思いますよ。
ここでは脳卒中の症状としてますが、「橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)」など整形外科疾患でもよくみる症状ですね。
そういうケースも試す価値はあるかもしれません。
では、はじめます。
【Keyword】肩手症候群、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、有酸素運動
【対象者】PT・OT・柔道整復師・その他治療家
目次
複合性局所疼痛症候群とは
まずこちらの説明をします。
英語でComplex Regional Pain Syndromといい、略して「CRPS」と医療現場では言います。
これは慢性痛の病態の1つで外傷に引き続いて発症するものです。
名前の通り、全身性ではなく「局所性」に起こるのが特徴です。
このCRPS、女性に多く男性の約3倍の高い発症比率なのが特徴です。小児から成人まで幅広い年齢に発症します。
CRPSの症状
- 痛み(しびれた針を刺すような痛み)
- 浮腫(むくみ)
- 灼熱感
- 腫脹(腫れる)
- 運動制限
- 血管運動性変化(角質化、肥厚、脱毛など)
- 拘縮
- 心理面の異常
- 発汗異常 など
CRPSの分類
typeⅠとtypeⅡに分類されます。
typeⅠ:反射性交感神経性ジストロフィ(RSD)・肩手症候群
typeⅡ:カウザルギー
1994年に国際疼痛学会がこの2つに分類し規準化しました。
元々臨床症状や経過からRSDと肩手症候群はほぼ同一視されていますが、好発年齢においてRSDが交感神経過敏な40歳以下に多いところが肩手症候群とRSDの違いとなります。
では、ここからが本題になっていきます。
元々「肩手症候群」の治療方法はどんなものがあるか
- 経皮的電気刺激療法
- 渦流浴
- ホットパック(温熱療法)
- 交代浴
- パラフィン浴
- 関節可動域調整
こんなところが有名ではないでしょうか。
私はよく「交代浴」を行っていました。これはこれで結構効果はありました。
で、今回紹介する研究では「有酸素運動」が有効だったという研究です。
脳卒中後の肩手症候群に有酸素運動が効果的!?
以下にMEDLEYで紹介されていた記事を引用します。
今回の研究では、脳卒中の発症6か月後にCRPSタイプⅠの診断を受けた患者52人を、有酸素運動を行う群と従来の理学療法を行う群の2群にランダムに分けました。
有酸素運動を行う群では、「手でエルゴメーター(手を漕ぐ自転車)」と従来の理学療法を組み合わせて行い、4週間後の効果を検証しました。
有酸素運動を行うと痛みがより改善するという結果が得られたようです。
こちらも引用します。
UEAE群では、患者が痛みの有意な改善(89.9%)とCRPSの徴候と症状の有意な減少を報告した。
群間の肩、手の痛み、NHP、BDSスコアの平均変化量が統計的に有意であった。
有酸素運動を行うと、CRPSの痛みやうつ症状が改善するという結果です。
これくらい小さなものなら「手のエルゴメーター」として代用できるかもしれませんね。
これまでCRPSに対して色々なことを試してきましたが、いつも試行錯誤ですよね。悩みます。
なかなか困難症例であることは間違いありません。
今回の有酸素運動がここまで高い数値で効果が示されているのは無視できませんよね。
やはり「トライ&エラー」が重要ですから、次回CRPSの方を担当したら試してみようと思います。
PT・OTの方で試してめっちゃ効果あった!ということがあったら是非教えてくださいね。
では、参考になれば幸いです。
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