理学療法士の井上(@Rehacon)です。
目次
一過性脳虚血発作とは
血栓で血の通り道を完全に塞がれてしまうと「脳梗塞」となってしまいます。
2009年米国心臓協会・脳卒中協会での論文
TIAとは脳、脊髄または網膜の局所的虚血による一時的な神経学的機能障害で急性梗塞を伴わないもの
TIAの症状
- 頭痛・頭が重い
- めまい・立ちくらみ
- 片方の手足や顔が動きづらい・力がうまく入らない
- 片方の手足や顔がしびれる、感覚がにぶくなる
- 呂律が回らなくなる・回りづらくなる
- 片方の目が見にくくなるなど
TIAの危険度スコア(ABCDDスコア)
そこで、発症リスクを簡易的に判断するのに「ABCDDスコア」が使われます。
A | Age(年齢) | 60歳以上 | 1点 |
B | Blood Pressure(血圧) | 140/90mmHg以上 | 1点 |
C | Clinical Feature(臨床症状) |
・片麻痺がある ・麻痺のない言語障害 |
・2点 ・1点 |
D | Duraition of Symptoms(持続時間) |
・60分以上 ・10分~59分 |
・2点 ・1点 |
D | Diabetes(糖尿病) | あり | 1点 |
最高得点:7点
ABCDDスコアが3点以上の場合は、入院して治療を開始するべきとされています。
TIAの検査・診断基準
- 血圧測定
- 血液検査
- MRI
- MRA
- 頚動脈のエコー検査
- 心電図
また、診断基準として以下の診断基準が日本循環器病学会で定められています。
1.TIAの局所神経徴候は24時間以内(多くは1時間以内)に完全に消失する。2.発作の起こり方は急速(多くは2〜3分以内)である。3.TIAの症候a)内頸動脈系のTIA(1)症候は身体の半側にあらわれる。(運動・感覚障害、一眼視力障害、失語など)(2)発作回数は少なく、発作ごとの症候は同じ。(3)脳梗塞を起こしやすい。b)椎骨・脳底動脈系のTIA(1)症候は身体の半側、両側など多彩。(2)脳神経症候(複視、めまい、嚥下障害、両側視力消失、半盲など)(3)発作回数は多く、発作ごとに症候は変動する。(4)脳梗塞を起こすことは少ない。(注)発作はめまいのみ、意識障害のみのこともある。引用: 日本循環器病予防学会
TIAの治療
TIAの研究データ
過去7日以内にTIAを発症した、または軽症の脳卒中を起こした21ヶ国4,789人を対象に追跡調査を行い、その後1年間で脳卒中を発症する危険性と、発症にはどのような要因が関連しているか検証しました。TIAの発症後1年以内で脳卒中を発症する危険性は、全体の5%以上でした。
そのうちでも脳卒中を発症する危険性が2倍以上高くなる要因として、TIAがあった時点の画像検査で脳梗塞の跡が複数見つかること、大きな動脈に動脈硬化があること、TIAの重症度を判定するABCD2スコアが6点または7点であることが見つかりました。
引用:MEDLEY
TIA後1年以内に脳卒中を起こす確率は5%以上!注意が必要ですね。 https://t.co/mdYciw0C4Z
— 井上直樹(理学療法士) (@Rehacon) 2016年6月8日
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