医療・介護施設が行うべきデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?事例を含めて紹介します

医療・介護施設が行うべきデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?事例を含めて紹介します

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合同会社Relate・合同会社ALLMERU代表の井上です。
 
デジタルトランスフォーメーション?
IT導入?
 
医療介護領域におけるICTの導入が、ここ近年でだいぶ進んできたように思います。
 
弊社が関わらせていただいている医療機関においては、電子カルテはもちろんのこと、チャットツールを導入した関連機関との情報共有、クラウドFAX、電話の転送サービス、スケジューリングのオンライン化等々、デジタル技術を限りなく駆使しています。
 
ただ、このようにICTを導入したからといって必ずしも業務効率化できるかといえば決してそのようなことはありません。
 
むしろ、場合によっては業務負担になることもあるのです。
 
デジタルトランスフォーメーション(以下、DXと略します)とは、このようなデジタル技術を用いて『業務効率化』の仕組みを作っていくことだと筆者は解釈しています。
 
業務効率化できれば、無駄な残業代を削減でき、従業員の負担を軽減できます。また、経営者からしてみれば、無駄な人員コストを削減することができ、結果的に利益率の改善が期待できます。
 
さらに、アウトソーシング(外注)をうまく活用することで、責任の所在を明確にできること、必要なところに必要な分だけ費用やリソースをかけられることが可能となり、雇用リスクが軽減することは間違いありません。
 
特に医療や介護・障害などの福祉領域では、人にかかるリソースが大きいため、DX化していくことは極めて重要なポイントとなります。
 
また、特に介護・障害福祉領域ではDXの進みが遅いのが現状です。
 
介護人材難が叫ばれている中、従業員1人1人の負担を軽減することが運営上必要となります。そのため、しっかりとDX化を推し進める必要があります。
 
今回、この記事では、介護施設・障害者施設のDX化をどのように進めていくべきか事例を含めて説明していきます。
 

デジタルトランスフォーメーションとは?

下記、総務省から発表されているデジタルトランスフォーメーションの定義です。
 
そもそも「デジタル・トランスフォーメーション」という概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された。
 
教授の定義によると、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」とされている。
 
その後、平成30年12月に経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」において、デジタル・トランスフォーメーションを、抽象的かつ世の中全般の大きな動きを示す考え方から進めて、企業が取り組むべきものと示した。
 
現在、世の中で使われている「デジタル・トランスフォーメーション」の定義は厳密には一致しておらず、使い方も人や場面によってまちまちであるが、本白書における「デジタル・トランスフォーメーション」の定義は、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(令和2年7月17日閣議決定)におけるものを踏襲することとする。
 
引用:総務省公式HP
つまり、元々の考え方とは少し変化してきて、使い方・考え方もまちまちであるということになります。
 
よく、IT化とかデジタル化などが言われますが、例えば当たり前のようにパソコンを使用するようになることや、メールを使うようになる、または、最近ではSlackなどのチャットツールを使うようになるなど、単発的にITを導入するということはもう珍しくありません。
 
但し、単発的にこのようなものを導入した=業務効率が図れた、業務負担が軽減したということにはなりません。
 
元々、その業務において何か課題があったとして、ITをうまく導入したことによってその課題が改善された。これはDXがうまくいったということになります。
 
各企業が抱える業務課題を解決するためにDX化していく必要がある。これが本質だと筆者は考えています。
 
 

医療・福祉業界におけるDX化とは

冒頭にも書いたように、医療・福祉業界はこのDX化が本当に苦手であり、進みが遅い分野となります。
 
逆に、DX化がうまく進んでいる医療・福祉施設は、大幅に業務効率化ができており、また無駄な経費削減に成功しています。
 
つまり、経営効率がよくなっているということです。
 
一番大切なことは、DXを推し進めるのにあたり、必ずキーマンになる・タクトを振れる人間が必要になるということです。
 
 

医療業界におけるDXの筆者の経験・体験

筆者は現在、訪問診療クリニックにおいて、リハビリテーション部門の創設と安定した運営サポートに加えて、クリニック外との対外的なやり取り、人事サポートを担わせていただいております。
 
訪問診療において、まず課題となるのはスケジュール管理です。
 
元々、ここの院長がデジタルに非常に強く、そういうものを積極的に導入している先生であることが大前提にはありますが、Googleのcloudサービスを積極的に採用していることから、スケジュールは診療・訪問リハビリなど全てGoogleカレンダー管理、スタッフ全員が仕事用スマホを持っているため、どこにいてもスケジュール確認をすることができます。
 
また、地図URLも貼付け、駐車位置も全てクラウド管理しているため、そのスケジュールを1クリックするだけでナビが案内してくれます。
 
仮に、誰か急な運転サポートが入ったとしても必ず患者様のご自宅までたどり着け、停車位置まで把握できるようになっています。
 
つまり、業務を属人化させないということになります。 
 
 
現在は、クロスログさんのような訪問診療に特化したサービスもありますので、ご興味ある方はのぞいてみてください。
 
医療の場合、診察や薬物処方はもちろん医師しかできませんし、処置などは医師と看護師、リハビリについては、理学療法士や作業療法士という資格を持っていないと厳密には提供できません。
 
但し、車の運転などの事務的なサポートについては誰がやっても問題ありません。レセプト請求においても同様です。
 
このように、属人化しないと提供できない仕事と属人化させないでもできる仕事をしっかり分けていく必要があります。
 
属人化させないでもできる仕事に対して、まずDXのテコ入れをしていくことが良いと筆者は考えています。
 
訪問診療においては、電話対応というのも非常に課題になります。関係医療機関だけでなく、ケアマネジャーさん、薬局、体調不良による患者様ご家族、営業電話、等々非常に多くの電話がかかってきます。
 
電話対応は通常、医療事務が担うと思いますが、もし1人であればこれら全ての電話対応をすることは不可能です。必ず電話中に別の電話と被ってしまうことがあるからです。また、その電話内容をすぐに報告しなければならない案件も多数あります。
 
さらに、配達の荷物が届いたり、レセプト請求業務をしたりと、とてもじゃないですが1人で対応することは物理的にできません。
 
では、2人・3人と雇用していくという話になるのですが、経営者視点でいけば、金銭的な負担・マネジメント負担など雇用リスクが雇えば雇うほど増えていくのです。
 
この辺をうまくDX化できないだろうか。と考えていくと、結論的にかなりうまくできるということになります。
 
ここで書くと、かなり長文になるので控えますが、結論間違いなくできます。
 
ちょっとしたことですが、ここで書いた課題を感じている医療機関は相当数あると思います。
 

福祉業界におけるDXの筆者の経験・体験

筆者の経験から例として挙げると、数十の通所介護施設を運営している企業において、リハビリテーション領域のサポートをしている企業があります。
 
まずその前に、よくある話として、筆者のような理学療法士や作業療法士に必ず直接現場にきて対応してほしいというものがあります。
 
その気持ちや重要性もよく理解した上で言うと、もちろん現場にも必要に応じて行きます。
 
但し、「医療・福祉業界におけるDX化とは」のところでも書いたように、DXを進める上でキーマンになる人、タクトを振る人が必要になります。
 
何を言いたいのかと言うと、現場に理学療法士や作業療法士が行くとして、そのようなサービスは実際にありますし、雇用することももちろんできます。
 
そのようなサービス提供が悪いということではなく、同等かそれ以上のサービスを『DX化』によって提供するには、何が課題で何が必要なのかをまず考えられる人が必要で、そういう人と一緒になって考えて進めていくと非常にうまくいくという経験をしています。
 
数十の通所介護施設を運営している企業さんと一緒に仕事をしていて、非常にうまくいっている例としては、キーマンになる人が、複数ある施設の課題感を取りまとめています。
 
その課題をどのように解決すべきか、筆者とオンラインで定期的に打合せをし、提案し、提供します。実際に試してみて、うまくいくこといかないことがあります。
 
それらを常にアップデートしています。PDCAを常に回しているということになり、それを現場の方がやるのではなく、キーマンになる人材が担うわけです。
 
そうすることで、現場の人は現場の仕事に集中できます。結果的にご利用者さまに良いサービスを提供できるということになります。
 
現場に落ちている課題を現場の方からヒアリングし、キーマンが拾い上げて、課題解決のためのものを現場に落とし込んでいきます。この繰り返しです。

ここまで、基本オンラインを活用したものだけで対応することができます。

 
さらに、現場におけるリハビリに関わる課題(質問など)は、チャットツールを通じて筆者のところまで届きます。その日のうちに必ず返信し、すぐに解決できるようにしています。
 
これがオフラインだけだと、現場に行ったときにしか課題を解決できないということになります。
 
これらを繰り返し、現場の変化を時々訪問して確認する作業をしています。
 
これは1つの例ではありますが、デイサービスの業務負担の最たる例では、計画書の作成・管理です。
 
様々な業務負担を軽減するサービスが出てきていますが、それらを利用することで改善することもありますし、改善しないこともあります。
 
それらも全てキーマンになる人材がどう対応するかで大きくその企業の成果は異なります。その企業や施設のコンセプトや達成したいことをしっかりと言語化し、実行できるか。そこに全て集約されます。
 
オンライン化だけではなく、オンラインとオフラインを融合させることが必要です。
 
それが医療・福祉領域の本質的なDXであると筆者は考えています。
 
 

まとめ

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?医療現場や福祉現場で必要なDXとは何か、筆者の経験を踏まえて書かせていただきました。
 
  • DXとは何かを理解する
  • 属人化しない領域のDX化をまず考える
  • 医療現場におけるDXの事例
  • 介護現場におけるDXの事例
  • オンラインとオフラインの融合
 
これらをもとに、現場が何を達成したいのかを考え、達成するためにどんなことを導入していきたいのかを考え実行していくこと。
 
現場の人間として、経営者として、いずれの両面から考え書かせていただいたつもりです。少しでも何かのお役に立てれば嬉しく思います。
 
それでは、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
 

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井上 直樹
(同)Relate・(同)ALLMERU代表社員/理学療法士の井上直樹です。 このサイトでは一般の方に向けたリハビリの基本的な情報発信を行っております。また、不定期ですが雑誌や新聞などのマスメディア・WEB上のメディアにも情報提供を行っております。リハビリについての適切な情報発信は現在少ないのが現状です。リハビリのことはリハビリの専門職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士)が情報発信するべきだと考えています。コンセプトは誰にでも理解できるように分かりやすく解説していくことです。リハビリに関わるコンサルティング事業を展開しております。お仕事依頼もお気軽にお問合せくださいませ。